現代アートを”見立てる”。企画展「The Art of Tea」参加作家紹介

ライター
藝大アートプラザ編集部
関連タグ
作品紹介

2024年6月1日(土)〜8月4日(日)にかけて開催されている企画展「The Art of Tea」。

東京藝術大学(藝大)の前身である東京美術学校の校長を務めた岡倉天心(覚三)の世界的なベストセラー『The Book of Tea』(『茶の本』)をテーマとした企画展は、エリアを3つに分け、3つのコンセプトで展示を行います。

コンセプトについては、こちらで詳しくご覧ください

ここでは、作品の写真とともに各出展作家をご紹介します。

※コメントは、Web担当による解説です。
※並びは展示風景のおおよその順路に従っています。
※写真にない作品もございます。ぜひ現地で全ての作品をご覧ください。

会期:2024年6月1日(土)〜8月4日(日)
前期:2024年6月1日(土)〜6月30日(日)/後期:2024年7月6日(土)〜8月4日(日)
※7月1日(月)〜7月5日(金)は展示替えのため休業

営業時間:10:00-18:00
※営業日時が変更になる場合がございます。最新情報は公式Webサイト・SNSをご確認ください

入場料:無料

会場:藝大アートプラザ(東京都台東区上野公園12-8 東京藝術大学美術学部構内)

公式Instagram:https://www.instagram.com/geidai_art_plaza
公式X(旧Twitter):https://twitter.com/artplaza_geidai

Art エリア

雨と祈り



大谷 陽一郎(平面作品)
雨が流れているように見えるのは、「雨」などの漢字を細かくランダムに配置することで表現したもの。「雨」の字は甲骨文字の時代からその形をほとんど変えておらず、アーネスト・フェノロサは漢字を「思想絵画(thought-picture)」と呼んだ。そうした漢字同士が、鑑賞者の視線の中で出会い、インスピレーションが生まれることを作者は意図している。

2024年  個展「云云」(Miaki Gallery、東京)「字影賦格」(Uspace Gallery、 台北)
     二人展「Follow the lines」三浦光雅×大谷陽一郎(AIFA、ヴェルビエ)
2023年  個展「AmE」(Bohemian’s Guild CAGE、 東京)
     「SICF24」 EXHIBITION部門 スパイラル奨励賞
2022年 野村美術賞
2021年  絵本『かんじるえ』(福音館書店)

佐治 真理子(立体作品)
東京藝大大学院鋳金専攻修了。鋳物の伝統技術を生かし、彫刻作品や茶道具の制作を続けている。お面のような顔をもつ人型は祈りや願いの依り代となるよう、あえて表情を持たない。「鋳金は素材を一度溶かして流すので、再生の意味合いがある。祭事の青銅器に用いられた技法であり、古来より祈りや願いの大きなエネルギーを伴っている。」と語る。三つ人形蓋置の細部に凝らされた、作者のユーモラスな視点に注目してほしい。

2021年  国際工芸アワードとやま2020(富山県美術館)
2022年 佐治真理子 鋳物作品展 「遊心」(ギャラリーhechi)
2021,2023年  泉屋ビエンナーレ出品(泉屋博古館)
2023年  TOKYO GEIDAI JAPAN ART WEEK(ニューヨーク)
現在 「コの字製作所」主宰、東京藝術大学工芸科助教

スカラベと空


城田 崚吾(平面作品)
具象と抽象のあわいを探るかのような本作。絹本と岩絵の具のそれぞれの繊細さが引きたち、あえての塗り残しである地の部分も画面に強度を与えている。「絵画を存在論的に捉えて制作をしたい」と作者は語る。

2023年 藝大アートプラザ大賞展 入選
    TOKYO GEIDAI ART FES 2023 佳作
2024年 藝大アートプラザ・アートアワード受賞者展
現在、東京藝術大学大学院美術研究科修正課程にて日本画を専攻

野村 俊介(立体作品)
金属にも見まがう質感を釉薬研究によって達成した本作。超絶技巧とは一線を画し、釉薬の魅力を伝えるために、有機形態と幾何学形態の両方を実現するフンコロガシをモチーフとした。虫本体の微妙な質感の違いに注目してほしい。

2023年 「アートプラザ大賞展」アートプラザ賞受賞、藝大アートプラザ
    「セラミック・シナジー展」セラミック・シナジー賞受賞、京都市京セラ美術館
    「国際瀧冨士美術賞」特別賞受賞
現在、東京藝術大学大学院美術研究科修士課程にて陶芸を専攻

工芸から現代アートへ


長島 友治(平面作品)
「突然、世界の見え方が変わる、見慣れた景色が変容する瞬間がアートである」と作者は語る。日本の伝統技法である漆の画面に、モニターの漆黒やエラーコードが提示されることで、意味の変容を促す。

2020年  東京藝術大学 大学院美術研究科 工芸専攻 修了
2018-2019年 University of Fine Arts Münster(ドイツ) 交換留学
2023年  東京国際漆芸交流展( ⻁ノ門 )
2022年  枕崎国際芸術賞 入選
2020年  “Blooom” Public design, Recognition Prize (重慶 中国)
2019年  瀬戶内国際芸術祭 2019 ( 香川県高松市 )

早野 樹(立体作品)
陶芸領域での現代的な作風で注目される作者。ドローイング的な手法も取り込みながら「理想の女性像」を制作する。滑らかな肌理から荒々しい表情まで、手仕事の痕跡を作品に落とし込んでいく。イメージと物性の境界が、作品全体を通じて具現化されている。

2021年 安宅賞 受賞
2022年 geisai 参加
2024年 東京藝術大学大学院美術研究科修正課程工芸専攻陶芸研究分野修了
現在、同大学に研究生として在籍

儚さとあわい


真鍋 由伽子(平面作品)
日本画を専攻した後に、修士課程では銅版画を学ぶ。ふたつの領域を軽やかに横断しながら、
現実と空想が交差する瞬間を描き出す。「言葉では表しがたい感覚や、アンビバレントな感情をかたちにしたい」と作者は語る。軸に仕立てた2作品は、動物の姿ではあるが作者の感情を表現している。

2022年 「火山で踊る夢」数寄和、東京
2018年 「ART FAIR TOKYO」東京国際フォーラム、東京
    「ART EXPO MALAYSIA」 MATRADE、マレーシア
2019年 「Power of the Arts」伊勢丹新宿本店、東京
2020年 「OME WORLD:TOGETHER AT HOME」ヴロツワフ大学、ポーランド
2022年 「積水ハウスミーツアーティスト」SUMUFUMUテラス南青山、東京

石川 将士(立体作品)
鋳型を用い、原型を金属に置き換える鋳造技法によって、作品を制作している。花と器が融合した本作は、自然と人間の境界を示唆する。「時が止まったかのようなこの存在、永遠のように見える金属も、やがて再生のサイクルに取り込まれる。いつか来る、自然の一部に再統合される日を待っている。」

2017年 東京藝術大学大学院美術研究科修士課程工芸専攻修了
     東京藝術大学 教育研究助手(〜2022)
​2022年 富山大学 学術研究部芸術文化学系 助教

痕跡を捉える


牧野 真耶(平面作品)
胡粉地を施した画面に、藍を染み込ませたミニマルな絵画。光、時間、空間など現象を描くのではなく、鑑賞者の内にそれらを呼び起こす装置としての絵画を制作している。学生時代から一貫して追求を続ける、作者オリジナルの表現である。

2009年  東京藝術大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻油画技法材料研究室修了
2015年  VOCA展2015 現代美術の展望 – 新しい平面の作家達 (上野の森美術館:東京)
2022年  個展 Faded (CAI Gallery – Online viewing room:ベルギー)
2023 年 Making Their Mark: 7 Women in Abstraction (Heather Gaudio Fine Art:アメリカ)
     Night and Light (藝大アートプラザ:東京)
2024年  stillness (Gallery 57:イギリス)

作田 美智子(立体作品)
ガラスという素材は仕上げの違いによって、透明から不透明まで無数の表情を持つ。その性質を生かし、光の角度によって作品内部に光と影のドローイングを湛える 「光で完成するガラス」を追求、制作を続けている。

2007年 東京藝術大学大学院美術研究科修士課程工芸専攻ガラス造形修了
2009年~女子美術大学非常勤講師
2023年 第9回現代ガラス展in山陽小野田 大賞受賞

Teaism エリア

高度な技術力と芸術性

片岡 操(工芸作品)

東京藝術大学大学院美術研究科修士課程で彫刻を研究し、後にガラスについて学ぶ。現在はガラス作家として活動中。吹きガラスでこれだけ大きな水差しを作るには非常に高度な技術力が必要で、デザイン性の高さとともに確かな技術力にも注目したい。

1991年 武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン学科卒業 
1994年 東京藝術大学大学院美術研究科修士課程彫刻専攻修了 
1996年 東京ガラス工芸研究所卒業 
1997年 女子美術大学大学院美術研究科美術専攻後期博士課程研究生 (ー98年) 
2004年 「東京藝大のガラス作家たち」展 東京藝術大学 陳列館 
2006年 「片岡操展」 銀座柳画廊 (07,12,13,14年) 
2007年 国立台湾藝術大学工芸設計学系所 客員准教授 (ー09年) 《台北・台湾》他 
2016年 フランス工芸協会展覧会に出展 ルーヴル美術館別館 (18,20年中止) 《パリ・フランス》 2020年 「特別企画 アトリエから」展 東京藝術大学 藝大アートプラザ 
2023年 「テーブルウェアフェスティバル2023~暮らしを彩る器展~」 東京ドーム 

シンプルかつ有機的な形状

佐瀬 梓(工芸作品)

東京藝術大学大学院美術研究科工芸専攻で鍛金を研究した作家。本展の出品作は、金属を叩いて造形する鍛金の技術を用い、花器・香合を制作したもの。金箔のラインの美しさが目を引くが、銅から生まれるシンプルかつ有機的な形状は、新しい茶道具のあり方を提案している。

1994年  千葉県生まれ 
2019年  東京藝術大学大学院美術研究科工芸専攻鍛金領域 修了 
     荒川区長賞受賞

人の手が加わる前の粘土が持つ可能性

佐々木 誉斗(工芸作品)


ロンドン芸術大学を経て藝大へ。粘土は可塑性が高い素材であり、採取された場所や土地、種類などによって固有の特性を持つなど、人の手が加わっていない段階からすでにさまざまな可能性を内包する、示唆に富んだ素材であると語っている。

2009年  ロンドン芸術大学卒業
2011年  ロイヤル・カレッジ・オブ・アート修士課程修了
2016年  東京藝術大学大学院 美術研究科 博士後期課程修了、博士(美術)
2016年  東京藝術大学美術学部 工芸科 教育研究助手(~2019)
2016年  グループ展「BREAKING THE MOLD」 ニューハンプシャー、アメリカ
2019年  東京藝術大学美術学部 工芸科 非常勤講師(~2021)
2021年  令和2年度香川県文化芸術新人賞
2023年  個展「香川県文化芸術新人賞展 佐々木誉斗」 香川県文化会館
2024年  安田女子大学家政学部 造形デザイン学科 講師(~現在)

チェコと日本の共通点と相違

クリスティーナ ヴェントゥロヴァー(工芸作品)


チェコ出身。プラハ美術工芸大学のガラス専攻で学部・修士を卒業。2016年に富山のガラス造形研究所で交換留学生として3ヶ月来日。現在は東京藝大の博士課程に在籍。オブジェはガラスビーズを使って独自の方法で造形したもので、「言葉で表せないことを作品で表現したい。最後は自然のなりゆきになるところがあり、そこが面白い」と話す。現在、チェコと日本の現代ガラスの共通点と相違点を研究中。

2017年 プラハ美術工芸大学芸術学部ガラスデザイン専攻 卒業
2018年 京都造形芸術大学美術工芸学科総合造形コース 交換留学(6ヶ月間)
2019年 プラハ美術工芸大学芸術研究科修士課程ガラスデザイン専攻  卒業
2020年 東京藝術大学美術研究科工芸専攻(ガラス造形) 留学(5ヶ月間)
2023年 東京藝術大学美術研究科修士課程工芸専攻(ガラス造形) 卒業
現在 東京藝術大学美術研究科博士課程工芸専攻(素材造形・ガラス) 在学中

Teatime エリア

【出品作家】
奥澤 華/ウォーラー カミ/萩原 睦/樋口 唯/渡邊 浩幸など

コンセプトについては、こちらで詳しくご覧ください

ここでは、作品の写真とともに各出展作家をご紹介します。

※コメントは、Web担当による解説です。
※並びは展示風景のおおよその順路に従っています。
※写真にない作品もございます。ぜひ現地で全ての作品をご覧ください。

会場を3Dモデルでご覧いただけます

会期:2024年6月1日(土)〜8月4日(日)
前期:2024年6月1日(土)〜6月30日(日)/後期:2024年7月6日(土)〜8月4日(日)
※7月1日(月)〜7月5日(金)は展示替えのため休業

営業時間:10:00-18:00
※営業日時が変更になる場合がございます。最新情報は公式Webサイト・SNSをご確認ください

入場料:無料

会場:藝大アートプラザ(東京都台東区上野公園12-8 東京藝術大学美術学部構内)

公式Instagram:https://www.instagram.com/geidai_art_plaza
公式X(旧Twitter):https://twitter.com/artplaza_geidai

おすすめの記事