東京・上野公園周辺で、開催中の注目の展覧会・展示ニュースをまとめました。美術館や博物館巡りの参考にご覧ください。
※新型コロナウイルスの影響により展覧会やイベントの内容が変更されている場合がございます。最新の情報は各施設の公式ホームページなどでご確認ください。
2023年9月のまとめ
特別展「古代メキシコ -マヤ、アステカ、テオティワカン」
会場:東京国立博物館 平成館 特別展示室
会期:2023年6月16日(金)~2023年9月3日(日)
メキシコには35もの世界遺産があり、なかでも高い人気を誇るのが、古代都市の遺跡群です。前15世紀から後16世紀のスペイン侵攻までの3千年以上にわたり、多様な環境に適応しながら、独自の文明が花開きました。本展は、そのうち「マヤ」「アステカ」「テオティワカン」という代表的な3つの文明に焦点をあて、メキシコ国内の主要博物館から厳選した古代メキシコの至宝の数々を、近年の発掘調査の成果を交えてご紹介するものです。普遍的な神と自然への祈り、そして多様な環境から生み出された独自の世界観と造形美を通して、古代メキシコ文明の奥深さと魅力に迫ります。
展覧会詳細:https://mexico2023.exhibit.jp/
「横尾忠則 寒山百得」展
会期:東京国立博物館 表慶館
会場:2023年9月12日(火)~2023年12月3日(日)
本展は、現代美術家・横尾忠則が、寒山拾得を独自の解釈で再構築した「寒山拾得」シリーズの完全新作102点を一挙初公開するものです。このシリーズは、寒山と拾得という、中国、唐の時代に生きた伝説的な2人の詩僧をテーマとしたものです。彼らはその奇行ぶりから「風狂」ととらえられ、日本、中国では伝統的な画題となりました。新型コロナウィルス感染症の流行の下、横尾は、寒山拾得が達した脱俗の境地のように、俗世から離れたアトリエで創作活動に勤しみ、まさに時空を超越し、あらゆる世界を縦横無尽に駆け巡りました。描き出された寒山拾得からは、めくるめく物語が紡ぎ出されています。画家活動の最大のシリーズとなる「寒山拾得」は百面相のように、観る人にさまざまな問いを投げかけることでしょう。
展覧会詳細:https://tsumugu.yomiuri.co.jp/kanzanhyakutoku/
浄瑠璃寺九体阿弥陀修理完成記念 特別展「京都・南山城の仏像」
会期:2023年9月16日(土)~2023年11月12日(日)
会場:東京国立博物館 本館 特別5室
京都府の最南部、木津川流域は南山城(みなみやましろ)と呼ばれます。奈良時代には都が置かれ、その後も大寺院や中央貴族と深く関わるなど、独自の仏教文化が展開したこの地域には多くの貴重な仏像が伝わります。平安時代に九体阿弥陀(くたいあみだ、9段階の極楽往生に関わる9体の阿弥陀如来像)の造像が流行しましたが、九体寺とも呼ばれる浄瑠璃寺のものは現存する唯一の群像です。また、かつて恭仁京(くにきょう)があった瓶原(みかのはら)を山腹から望む海住山寺(かいじゅうせんじ)の檀像、東大寺の僧侶が創建した禅定寺(ぜんじょうじ)の巨大な本尊など、この地域ならではの魅力にあふれています。本展では浄瑠璃寺九体阿弥陀の修理完成を記念し、南山城に伝わる数々の仏像を通じて、その歴史や文化の奥深さを辿ります。
展覧会詳細:https://yamashiro-tokyo.exhn.jp/
東京国立博物館
住所:〒110-8712 東京都台東区上野公園13-9
公式サイト:https://www.tnm.jp/
アクセス(GoogleMap):https://goo.gl/maps/YWjaJoqwxGUJLaEM7
永遠の都ローマ展 Rome, the Eternal City: Masterpieces from the Capitoline Museums’ Collection
会期:2023年9月16日(土)~12月10日(日)
会場:東京都美術館 企画展示室
本展は、カピトリーノ美術館の所蔵品を中心に、建国から古代の栄光、教皇たちの時代から近代まで、約70点の彫刻、絵画、版画等を通じて、「永遠の都」と称されるローマの歴史と芸術を紹介します。なお、2023年は、日本の明治政府が派遣した「岩倉使節団」がカピトリーノ美術館を訪ねて150年にあたります。使節団の訪欧は、のちの日本の博物館施策に大きな影響を与えることになりました。この節目の年に、ローマの姉妹都市である東京、さらに福岡を会場として、同館のコレクションをまとめて日本で紹介する初めての機会となります。
展覧会詳細:https://roma2023-24.jp/
うえののそこから「はじまり、はじまり」荒木珠奈 展
会期:2023年7月22日(土)~10月9日(月)
会場:東京都美術館 ギャラリーA・B・C
こどもから大人まで楽しめる、ちょっと怖くて懐かしい展覧会の「はじまり、はじまり」!本展出品作家である荒木珠奈(1970年-)は、へんてこなかわいらしさとゾクッとする感覚が混ざり合った世界観が魅力の作家です。光と影、昔話、家や舟といった物語を想起させるようなモチーフを用いて、私たちの心の底にある懐かしい感覚や感情、記憶を揺さぶりながら、日常を越えた非日常の世界へと誘う作品を数多く発表してきました。本展では、これまでに発表された詩情豊かな版画や参加型インスタレーションに加えて、本展のために新しく、開催地である「上野の記憶」に着想を得た大型のインスタレーション作品を制作。美術館の地下空間に、日常と非日常の境界を行き来するような不思議な体験を作り上げます。物語性あふれる作品がもたらす鑑賞体験を通じて、一人ひとりの日々の暮らしのかけがえのなさを見つめます。会期中には、幅広い年齢を対象に、作家による造形ワークショップやアート・コミュニケータとの鑑賞プログラムなどを多数実施します。この夏、東京都美術館の地下空間で、まるで絵本を1ページずつめくっていくように、日常と非日常の境界を行き来する不思議な旅をしてみませんか?
展覧会詳細:https://www.tobikan.jp/hajimarihajimari/
東京都美術館
住所:〒110-0007 東京都台東区上野公園8-36
公式サイト:https://www.tobikan.jp/index.html
アクセス(GoogleMap):https://goo.gl/maps/STJUT3f1V3a47re27
スペインのイメージ:版画を通じて写し伝わるすがた
会場:国立西洋美術館 企画展示室
会期:2023年7月4日(火)~9月3日(日)
スペインは、今でこそ世界中の観光客から高い人気を誇る国ですが、歴史的には「ピレネーの向こうはアフリカである」と揶揄されたほど、他のヨーロッパ諸国にとって未知の、馴染みの薄い異国でした。しかしナポレオンの侵略とスペイン独立戦争(1808-14年)を契機にヒトとモノの本格的な往来が始まり、ロマン主義の時代にスペインは他のヨーロッパ諸国からそのエキゾチックな魅力を本格的に「発見」されてゆきます。フラメンコ、闘牛、アルハンブラ、ベラスケス、そしてドン・キホーテ…我々が思い浮かべるスペインの典型的な「イメージ」の多くは、19世紀にこの国を訪れた外国人旅行者たちによって確立されたものでした。そしてそうしたイメージの形成、流通に大きな役割を果たした媒体が、大量に刷ることができ、簡単に持ち運びができた版画でした。「スペインのイメージ:版画を通じて写し伝わるすがた」展は、スペインに関わる版画制作の史的展開を 17世紀初頭から 20 世紀後半までの長大な時間軸で概観し、写し伝えることのできる版画が、スペインの文化・美術に関するイメージの形成や流布にどのように貢献したか、約240 点の作品から探るこれまでにない企画です。リベーラからゴヤ、フォルトゥーニ、ピカソ、ミロ、ダリら巨匠たちの仕事を含んだスペイン版画の系譜を辿ることに加え、ドラクロワやマネなど19世紀の英仏で制作されたスペイン趣味の作品を多数紹介します。また、本展は国立西洋美術館の収蔵品を中心に、国内約40箇所から作品を拝借し、今日までの日本におけるスペイン美術の受容と豊かなコレクション形成の様相を浮き彫りにすることも試みます。
展覧会詳細:https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2023spain.html
美術館の悪わるものたち
会期:2023年6月27日(火)~9月3日(日)
会場:国立西洋美術館 新館2階 版画素描展示室
国立西洋美術館には「悪ものたち」がたくさんいます。もちろん、職員のことではありません。当館が所蔵する作品のなかの話です。お金に目がくらむ若者、若い女性にうつつを抜かし、あるいは嫉妬する老人、盗人、等々。悪魔や魔女といった悪を象徴する存在や、その手先たちもうごめいています。そして私たちが何よりも恐れる「死」は、いかにも悪ものらしい憎々しげな骸骨として、あらゆる時代の作品に登場します。これら(人間に限らぬ)悪ものたちは忌むべき存在のはずですが、画面のなかでは個性あふれる、時にコミカルな姿で表わされ、しばしば善人や天使、聖人たちよりも魅力を放っています。私たちは描かれた悪ものたちに、芸術家の空想のはばたきを感じ、楽しむことができるでしょう。ところで、はるか昔に描かれた「悪」や「正しくないこと」には、現代と共通することもあれば、理解に苦しむこともあります。人を殺したり、嫉妬したりといったことは私たちにとっても「悪」や「良くないこと」ですが、たとえば「大食い」が罪とされるのには違和感を覚えるのではないでしょうか。善悪の線引きは、不変の場合もあれば、時代や地域、つまり社会によって揺れ動く場合もあります。悪ものたちの多様な姿を通じて、かつての西洋の価値観の一端にも触れてください。版画数十点に加え、油彩数点を展示予定です。
展覧会詳細:https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2023villains.html
もうひとつの19世紀 ―ブーグロー、ミレイとアカデミーの画家たち
会期:2023年9月19日(火)〜2024年2月12日(月・休)
会場:国立西洋美術館 版画素描展示室(常設展示室内)
本小企画展では、ウィリアム・アドルフ・ブーグロー(1825-1905)やジョン・エヴァレット・ミレイ(1829-1896)をはじめとする両国のアカデミー画家たちのキャリアを辿り、多様化した主題やモティーフ、モデルに焦点をあてることで、その柔軟かつ戦略的な姿勢と彼らが率いた「もうひとつの19世紀」を浮き彫りにします。
展覧会詳細:https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2023painters.html
国立西洋美術館
住所:〒110-0007 東京都台東区上野公園7-7
公式サイト:https://www.nmwa.go.jp/jp/index.html
アクセス(GoogleMap):https://goo.gl/maps/qAq7EVGnuRjxwtRe9
特別展「海 ―生命のみなもと―」
会場:国立科学博物館 (東京・上野公園)
会期:2023年7月15日(土)〜10月9日(月・祝)
海は、水惑星地球の象徴であり、地球上のあらゆる生命のみなもとです。海は、様々な物質とエネルギーを運び、そこに成り立つ生態系を育んできました。また、私たち人類は、海のめぐみを享受すると同時に、海の厳しさを乗り越えることで繁栄してきました。そして現代では、人間活動に伴う環境への影響が、海でも様々な変化として顕在化しています。2013年及び2017年に国立科学博物館で開催した特別展「深海」では、極限環境である深海を探査する人々の挑戦や、そこで暮らす様々な深海生物や深海研究を紹介しました。そして2023年夏、私たちの身近にある「海」の誕生から現在について、多様な生物や人と海の関わりを紹介し、さらには海との未来を考えていく特別展を開催します。海で生まれ、進化し、海のめぐみとともに生きてきた生物の姿を知ることで、私たちが今後どのように海と関わっていけばいいのか、そのヒントも見つかるかもしれません。
展覧会詳細:https://umiten2023.jp/
国立科学博物館
住所:〒110-8718 東京都台東区上野公園7-20
公式サイト:https://www.kahaku.go.jp/
アクセス(GoogleMap):https://goo.gl/maps/zBoHtasXcNCq7FSt8
Cygames展 Artworks
会期:2023年9月2日(土)〜10月3日(火)
会場:上野の森美術館 本館1F 本館2F ギャラリー
私たちCygamesは、2011年の設立以来、「最高のコンテンツを作る会社」というビジョンのもと、さまざまなゲームを生み出し、皆さまにお届けしてきました。ゲームの世界をかたちづくるために、デザイン、イラストなど、さまざまなアートワークは、大きな役割を果たしています。さらに、それらがかたちになるまでには、膨大なラフやスケッチなどの試行錯誤が重ねられます。それら一つ一つには、携わったクリエイターたちの技術やこだわり、そして想いが込められています。このたびの『Cygames展 Artworks』では、私たちの原点である第1作『神撃のバハムート』から近作に至るまでのさまざまなゲームを、そうしたアートワークから、ひもといていきます。試行錯誤のあとを示す資料の一部も、併せてご紹介します。それらは、私たちCygamesが「最高のコンテンツ」を目指して描いてきた系譜に他なりません。皆さまには、それらをたどりながら、ゲームの新たな魅力や楽しみを発見していただきたいと願っています。
展覧会詳細:https://exhibition.cygames.co.jp/
上野の森美術館
住所:〒110-0007 東京都台東区上野公園1-2
公式サイト:https://www.ueno-mori.org/
アクセス(GoogleMap):https://goo.gl/maps/uJhhtLKG8JR9rK999
林武史退任記念展 石の勝手
会場:東京藝術大学大学美術館 本館 展示室3、4、陳列館1階
会期:2023年9月30日(土)〜2023年10月15日(日)
本展は、長きにわたり東京藝術大学美術学部彫刻科において教鞭を執ってきた林武史の退任記念展です。林は「空間にものが存在するとは、どのように解釈すればよいのか」という問いかけを起点とし、1980年第後半より彫刻家としての活動を開始しました。その後、この問いかけは、「空間」「身体」「物質」「記憶・時間」というテーマを内包した彫刻の実践へと展開されていきます。
展覧会詳細:https://museum.geidai.ac.jp/exhibit/2023/09/mind-of-stone.html
東京藝術大学日本画第一研究室研究発表展
会場:東京藝術大学大学美術館 陳列館1・2階、正木記念館 2階
会期:2023年9月1日(金)〜2023年09月13日(水)
縫い継ぐという言葉は、継承する、つなげる、つながるという意味があります。我々のコンセプトは、変化するという現代社会にあっても、日本画という伝承を継承しながら新しい価値を生み出すことです。縫い継ぐことで過去と現在、伝承と現代性という対面を超え、つながりを生み出し、未来へとつなげていくことができます。また縫い継ぐことで、個々の作品である一定のテーマやコンセプトに繋がり、一つのストーリーを描くことができます。正木記念館では、「掛け軸を中心とした表具の展示」を企画しました。この表具の展覧会のために去年クラウドファンディングに挑戦し多くの寄付を賜りました。 その寄付から学生の表具代を捻出し、クラウドファンディングの返礼品として研究室全員の作品をつなぎ合わせた巻子も展示します。 (表具は全て表粋会という江戸表具師の皆さんに依頼しました)
展覧会詳細:https://museum.geidai.ac.jp/exhibit/2023/09/ichikenten2023.html
うるしのかたち展 2023
会場:東京藝術大学大学美術館 陳列館2階
会期:2023年9月16日(土)〜2023年10月1日(日)
東京藝術⼤学漆芸研究室は、明治21年(1889年)2⽉、東京美術学校の最初の4つの学科の⼀つとして設置されてから現在に⾄るまで、漆に関わる専⾨的な教育を⾏ってきました。我々は2007年より研究室の研究成果展として、それぞれの「うるしのかたち」を発表して参りました。本年は名誉教授の⼤⻄⻑利先⽣、増村紀⼀郎先⽣、三⽥村有純先⽣をはじめ、研究室出⾝の現教員、海外からの留学⽣を含む博⼠・修⼠課程の学⽣の作品の数々を展⽰いたします。⽇本の伝統的漆芸技法のみならず、中国などの様々な国の⽂化で培われた感性から⽣まれた独特の表現など、バラエティーに富んだ作品をご覧いただけることと思います。ぜひご⾼覧いただけますようお願い申し上げます。
展覧会詳細:https://museum.geidai.ac.jp/exhibit/2023/09/urushi2023.html
東京藝術大学大学美術館
住所:〒110-8714 東京都台東区上野公園12-8
公式サイト:https://museum.geidai.ac.jp/
アクセス(GoogleMap):https://goo.gl/maps/rh87NMyKYSvundFy7
企画展「境界ーborderー」
会場:藝大アートプラザ
会期:2023年9月30日(土)〜11月26日(日)
「生と死」「国と国」「男と女」「立体と平面」「油画と日本画」「彫刻と工芸」「リアルとデジタル」「アートとデザイン」ー今、アートの世界における境界ーborderーはいたるところでぼやけはじめています。それはアートだけではなく世界中で起こっている事象かもしれません。今回、藝大アートプラザが掲げるテーマは「あなたにとっての『境界』は?」です。対立する境界、混じり合う境界、重なる境界、離れていく境界、今や境界はアートにとってもっとも重要なテーマのひとつ。そこから生まれる表現は今私たちが抱えている問題をあぶりだし、解決への道のりを示してくれるものかもしれません。ぜひあなたにとっての「境界」を私たちにお見せください。
展覧会詳細: https://artplaza.geidai.ac.jp/column/20552/
藝大アートプラザ
住所:〒110-8714 東京都台東区上野公園12-8 東京藝術大学美術学部構内
公式サイト:https://artplaza.geidai.ac.jp/
アクセス(GoogleMap):https://goo.gl/maps/w6T4HWuMghT2xfAX7
-2023年8月末更新-