藝大アートプラザ「初」の常設展がはじまりました

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藝大アートプラザ
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主夫アートライターの、かるびこと齋藤久嗣と申します!

今回から、藝大アートプラザをもっと皆さんに楽しんでもらえるように、展覧会レビューから知られざるエピソードまで色々なトピックを定期的にご紹介させていただきます。 今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

さて、先日藝大アートプラザは、無事オープン1周年を迎えることができました。

筆者のまわりにいる熱心なアートファンの間でもかなり認知度も上がってきているようで、「行ったことあるよ~」という人も増えてきました。でも、藝大アートプラザでは、まだまだもっと多くの人にこの場所を知っていただきたい!という思いがあります。

そこで、記念すべき連載第1回では、改めて「藝大アートプラザとはどんなところなのなのか?」をご説明させていただきながら、今回の「常設展」の魅力をたっぷり紹介していきますね。

藝大アートプラザとは?

常設展内観

藝大アートプラザは、いわゆる一般的な意味での「美術館」や「画廊」ではありません。なぜなら、作品を収集し、収蔵することはありませんし、特定のアーティストだけを強力にプロモーションし続けることもないからです。でも、いわゆる展覧会の「おみやげ品」としての“グッズ”を取り扱う「ミュージアムショップ」とも違うんです。

では、一体どんなところなのか・・・というと、非常にユニークな形式のギャラリーなんです。展示されるのは、アーティストが精魂込めて自らの手で制作したこの世に1点しかない正真正銘のアート作品のみ。でも収蔵はしません。一定期間、作家さんの作品をお預かりして展示し、希望者に販売します。

もう一つの特徴は、出品作家は東京藝術大学ゆかりの人物に限られるということです。現役の学生や卒業生、教員の作品のみを取り扱うんです。だって「藝大」アートプラザですからね。藝大ゆかりのアーティストを最優先で、かつ全力で応援するギャラリーなんです!

さて、藝大アートプラザでは、オープン以来非常にハイペースで企画展を開催してきました。個性的でかわいい猫づくしだった「藝大の猫展」や、夏の定番でもある妖怪をテーマとした「藝大もののけ祭り 百鬼夜行展」など、工夫をこらした展示企画は楽しかったですよね。2019年秋には無事にオープン1周年を迎えました。

そこで、これを一つの区切りとして、次の1年間へ向かう前に「常設展」という集大成的な展示を行うことにしたのです。

今回の「常設展」は、今までの展示と何が違うのか

常設展内観

今回の常設展は、これまでと一体何が違うのか?というと、これまで壁際のみで展示されてきた常設展示を、アートプラザの全スペースを使って行おう、という企画なんですね。

これまで約1年強、多くの企画展を手掛け、走り続けてきたわけですが、その甲斐あって、この間に本当にたくさんの藝大ゆかりのアーティスト達がこのギャラリーで作品を披露してきました。

そこで、今回の常設展は、これまで企画展や常設展示で出品してくれた作家さんを中心に、特別なテーマを設けること無く絵画・工芸・服飾・アクセサリーなどあらゆるジャンルをまんべんなくカバーする、いわばこれまでの「総集編」的な位置付けでの展示をやってみよう、ということになりました。次の企画展までの間、約1ヶ月とちょっとありますが、その間は藝大アートプラザの全スペースを使って、できるだけ多くの作品を展示&販売することにしています。

ところで、今回の常設展は、今まで藝大アートプラザに来たことがなかった人や、美術作品を購入した経験がなかった人にとって、入門編にうってつけの展示でもあるんです。

それには3つの理由があります!

理由1.とにかく作品の点数が多い!

常設展内観

今回の常設展では、とにかく過去最高の作品数が揃っているんです。

今回、展示スペースをざーっと見てみると本当に出品数が多い!絵画や版画、木工芸・漆芸・陶磁器・金工などあらゆるタイプの作品が数百点ズラリと並べられています。

間違いなく藝大アートプラザ過去最高の展示数となっているので、たんねんに見て回れば、絶対に気に入る作品があるはず!ぜひ、1回だけでなく2度、3度と常設展の期間中、安心して何度も足を運んでくださいね。

しかも、展示スペースに出ているだけが全てではありません!アートプラザのバックヤードには、今出ている作品が売れたあと、次に展示されるのを今か今かと待っているたくさんの予備軍が到着しているんです!

これまで開催された企画展では、人気作家は会期前半であっという間に売り切れてしまうこともありました。会期後半には「あっ!これいいな!」と思ってもすでに売約済み・・・ということが結構ありましたが、常設展なら大丈夫。作品がなくなることはありません!

理由2.その場で持って帰れる、コンパクトで買いやすい作品が多い!

常設展内観

展示写真を見ていただくとわかりますが、今回は全体的に小さな作品を集めてみました。指輪・ネックレスといったアクセサリー類はもちろん、ぐい呑み、豆皿といった食器類、絵画や版画など、室内に展示されている95%以上は、その日そのまま気軽に持って帰ることができる作品ばかり。

常設展内観

しかも、価格帯も良心的なんです。よく、百貨店や有名な画廊の展覧会に行くと、小さな作品でも普通に100万円以上の値札がついていることがザラにありますが、藝大アートプラザに出品している作家さんは若い人が多いのでとにかく買いやすい!

安いものなら2000円とか3000円で買えたりしますし、数万円もあればほぼ狙った作品は普通に買えるといっていいでしょう。

でも、たとえ値段は抑えていても、作品のクオリティは本物。日本一ハイレベルで体系的なカリキュラムの下で学んでいるだけあって、藝大生(卒業生含む)はみな技術的な基礎がしっかりしているんですね。だから、たとえばうつわにしてもアクセサリーにしても、生活の中でちゃんと安心して使えるクオリティに仕上がっているんです。その上で、若い感性を広げて自由に創作しているので、面白い唯一無二の個性を持った作品ができあがるのですね。ぜひ、安心してご購入くださいませ!

理由3.気軽に手にとって確認できる!写真撮影もOK!

田原崇雄「工具付きマグカップ」
田原崇雄「工具付きマグカップ」

美術展って普通は作品に触ることはできないですよね。でも、藝大アートプラザでは、一部の絵画やインスタレーションなどを除いて、ガラスケースに入れられていないアクセサリーや小物類、うつわや食器類などは実際に手で触れてみることができます。使い心地を確認するのも大切ですからね。今回の常設展では、持ち帰ってその日から生活や趣味で使える工芸品が数多く出品されているので、手にとってじっくりと質感を味わってみる楽しみもあると思います。

常設展内観

もちろん、写真撮影も原則全作品OKです。一端目をつけておいて、一度じっくりと自宅で作戦会議をしてから、その後財布をマンタンにしてもう一度来る!というのも大歓迎です。

買わなくてもOK!とにかく来て!!

常設展内観

今回筆者も2時間ほどじっくり展示を隅々までチェックしてみて、今回の常設展は非常に買いやすいな~と思った次第ですが、最後に重要なことを書きます!

買わなくても全然OK!とにかく是非見ていって下さい!

まずは、ぜひ生で作品を見て欲しいんです。 画像や動画では、やっぱり本物の作品の質感や面白さっていうのはなかなか伝わりにくいもの。

山本真衣「sweet smell」
山本真衣「sweet smell」

1点1点の作品を見て頂くとわかりますが、藝大生たちがのびのびと若い感性を活かして制作した作品群は、どれも本当にフレッシュな出来栄えで面白いんです。しかも単なる素人芸ではなく、プロとしてのプライドを持って芸術活動に一歩踏み出した若い作家さんが揃っています。20年、30年後に大成して、世界的な有名アーティストになっているかもしれない、そんな未来の巨匠の夢が詰まった作家達の“初期作品”を、ぜひ楽しんで頂ければと思います。

中には、考え抜かれた迫真のコンセプトが込められた現代アートや、とにかく不思議な作品、わけがわからないけど、強烈なオーラを放っている作品など、凄い作品もいっぱいあるので、「発掘」する楽しみもあります。

その上で、気に入った作品があれば、ぜひその作家さんを応援するために気軽に購入して応援して頂ければ非常に嬉しいです。ぜひ、個性的な作品が揃った「常設展」にお越し下さいね。

藝大アートプラザ 常設展内容

会期:2019年12月13日~2020年1月19日
常設展特集ページ: https://artplaza.geidai.ac.jp/permanent_exhibition/


取材・撮影/齋藤久嗣  撮影/五十嵐美弥(小学館)

※掲載した作品は、実店舗における販売となりますので、売り切れの際はご容赦ください。

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