「見立てるアート」が今年も!THE ART OF TEA「茶の藝」作家紹介

ライター
藝大アートプラザ編集部
関連タグ
おしらせ 企画展情報

日本のアートの根底には、「茶の湯」の思想が確かに流れています。それは単なる作法や伝統文化ではなく、人と作品が出会うことの意味を問い直す、美の体系です。 私たちは、日本のアートは The Art of Tea であると考えます。

本企画展では、藝大アートプラザをひとつの「床の間」に見立て、平面作品5名、立体作品5名による展示をしつらえました。
また、併せて工芸作家8名による茶碗も展示・販売いたします。

ここでは、作品の写真とともに各出展作家をご紹介します。

※ここでご紹介する作品は通販(銀行振込)での購入も可能です。メールにてお気軽にお問い合せください。

<artplaza@and-next.jp>

概要

会期:2026年6月20日(土)〜7月19日(日)
※6月19日(金)13時よりプレオープン
※展示入れ替えなし

定休日:月曜日

営業時間:10:00-18:00
※営業日時が変更になる場合がございます。最新情報は公式Webサイト・SNSをご確認ください

入場料:無料

会場:藝大アートプラザ(東京都台東区上野公園12-8 東京藝術大学美術学部構内)
公式Instagram / 公式X(Twitter) / 公式Threads

川上 椰乃子(平面)/本間 賛(立体)

DSC06199
DSC06200
DSC06207
DSC06209
DSC06208
DSC06211
DSC06212
DSC06213
previous arrow
next arrow

川上 椰乃子 Kawakami Yashinoko
川上は日常のなかで見つけたものごとを、人の気配や物語へと見立てながら、和紙や絹に墨を主として描いている。散歩中に見かけた風景や、ふと気になった出来事をスケッチや文章で書き留め、時間をかけて温めながら作品へと展開する。《始業》では、小学校のフェンスにとまる雀と、その時聞こえてきた始業のベルから、教室で緊張した面持ちで座る子どもたちの姿を重ねた。《末客》では蛙が茶席へ向かう客に見立てられている。ちなみにこの客は、少し遅れてきてしまった様子らしい。日本画の古典技法を学んだ作者は、表現に応じて和紙を使い分けるほか、表具によって作品の周囲に余白を設け、路地の広がりや画面の外へ続く空間を想像させるなど、作品全体の構成にも意識を向けている。

本間 賛 Sun Homma
描くことも形づくることも、その両方ができるから陶芸を選んだと語る作者。西洋占星術や心理学への関心を背景に、感情や記憶、精神の動きといった目に見えないものを作品の主題としてきた。《双魚》は、魚座(双魚宮)のイメージと、茶を飲む静かな時間から着想を得た。茶を注いだグラス越しに室内を眺めると、違った場所にいるような不思議な感覚になったと言う。茶をたしなむひと時のように、意識を内的な世界へと導くための装置として、本作は構想されている。白い釉薬を施した六面体は、それぞれの面が似ていながらも異なる表情を持ち、見る位置によって関係性も変化していく。粒状のモチーフが配され、それはどこか星図を思わせる。

中津川 博之(平面)/及川 春菜(立体)

DSC06201
DSC06218
DSC06219
DSC06222
DSC06214
DSC06217
DSC06215
DSC06216
previous arrow
next arrow

中津川 博之 Hiroyuki Nakatsugawa
中津川は色や光の運動に関心を寄せ、鉱物や宝石をモチーフに絵画を展開してきた。郷里の長野県松本市に移り住んでからは、豊かな自然から受け取る色彩や光の変化に着目し、その土地に流れる空気や記憶の気配を絵画に定着させる試みを続けている。本作は見る角度によって色彩が変化し、「絵を動かしたい」という作者の思いを実現した作品である。満開の桜でも葉桜でもない、花から葉へと移ろう時間に目を向け、その変化の過程そのものを描き出そうとしている。鑑賞者が作品の前を移動するたびに風景は姿を変え、そこには自然と人、それぞれの時間の流れが重ね合わされる。『茶の本』から得た「間を見る」という発想のもと、対照的な色彩のあいだに、対立ではなく調和を見出そうとしている。

及川 春菜 Haruna Oikawa
人と人との間にある感情や、共感、共鳴、共振をテーマに、ガラスを用いた作品を制作する及川春奈。本作は「床の間」をテーマに、祖父母の家にあったような、なかったような記憶を手がかりとして制作された。木彫りの熊や赤べこ、花瓶、季節の花々など、どこか懐かしさを感じさせるモチーフは、「こんなものがあった気がする」という曖昧な記憶の断片から生まれている。モザイクガラス越しに覗き見る風景は、見る角度によって異なる表情を見せる。作者はそこに、人それぞれが異なる経験や感覚を通して世界を認識している姿を重ねている。異なる認識を持ちながらも、ふとした瞬間に他者と感覚が重なり合うような、共鳴や共振を生み出したいと語る。

城田 崚吾(平面)/柿坪 満実子(立体)

DSC06202
DSC06228
DSC06226
DSC06229
DSC06227
DSC06223
DSC06224
DSC06225
previous arrow
next arrow

城田 崚吾 Shirota Ryogo
誰しもの記憶のなかにある風景として海をモチーフに選びながらも、作者の関心は海そのものではなく、そのイメージに重なる時間や記憶のあり方へと向けられている。岩絵具による描画とシルクスクリーンによる写真の転写によって、複雑なマチエールの集積が生まれている。風景のなかに差し込まれた文字は、読めそうで読めないかたちで現れ、作品と鑑賞者とのあいだを緩やかにつなぐ橋渡しのようでもある。写真は作者にとって、どこか過ぎた時の残留であり、消失感を伴う存在だという。岩絵具や筆触による身体性と、写真が内包する時間性。その両者を往復しながら、記憶や喪失の感覚を層として重ねることで、時間の堆積した風景が立ち現われる。

柿坪 満実子 Kakitsubo Mamiko
さらば春よ、われらはいま永遠へ向かう——『茶の本』「花」の章の最後の一節から着想を得た本作。人体に落ちる葉の影のイメージから生まれた空洞は、見えているにもかかわらず存在しない、不在の痕跡として身体に刻まれている。これまで作者は、テラコッタの人物像をオーガンジーなどの薄い布で包むことで、記憶のなかで揺らぐ存在の輪郭を捉えてきた。本作では初めて「抜く」という手法を用い、人物の内部に潜む空虚へと視線を向ける。釉薬を施さず一度だけ焼成されたテラコッタは、水分を含みながら変化する身体にも似た質感を持ち、その脆さは人の存在とも響き合う。

高橋 梓(平面)/futaba(立体)

DSC06203
DSC06233
DSC06234
DSC06235
DSC06230
DSC06231
DSC06232
previous arrow
next arrow

高橋 梓 Takahashi Azusa
メゾチントとは銅版画の技法のひとつで、版の表面に無数の細かな傷をつけることで、滑らかな階調表現を可能にする。ベルベットのような深みを持つブルーの色面には、作者が滞在中のアイルランドで目にした風景の断片が静かに浮かび上がる。版画作品としては珍しく大きく余白を取り入れ、描かれていない部分にも想像を促す空間を生み出している。高橋梓は、家具の木目やタイル、石畳、布の編み目など、日常に潜む色や形のリズムに着目する作家である。そうした身近なモチーフを軽やかに再構成しながら、静けさと余韻をたたえた風景を描き出している。

futaba
futabaはシルクスクリーンやろうけつ染めなどの染織技法を用いて、自ら染めた布による立体作品を制作している。幼少期から抱いてきた「なぜ世界は存在するのか」という問いを出発点に、世界を動かしている法則や見えない存在への関心を作品へと展開してきた。本展では『茶の本』に記された道教の思想に触れ、不完全さや曖昧さを受け入れる自由なものの見方に惹かれたという。
《たぬきのともだち》は、夜の工房で聞こえた足音の主が、人ではなくたぬきだったという出来事から着想を得た作品である。たぬきに化かされた姿なのか、たぬき自身が化けた姿なのか。そのどちらとも取れる余白が残されている。その曖昧さは、自らの意思で生きているのか、それとも何かに生かされているのかという作者の問いにも重なっている。

堀田 紅音(平面)/石川 将士(立体) 

DSC06204
DSC06236
DSC06237
DSC06238
DSC06239
DSC06240
DSC06241
DSC06243
DSC06244
previous arrow
next arrow

堀田 紅音 Hotta Akane
顕微鏡で捉えた植物のミクロな世界を参照して描かれる本作には、松尾芭蕉の句から引用した季語がタイトルに添えられている。堀田紅音は東京藝術大学で日本画を学び、博士号を取得。現在は日本画の画材を用いながら、版画的な手法を手がかりに、抽象と具象のあわいを行き来する絵画作品を制作している。平滑で真っ白な下地を施し、そこに髪の毛ほどの細い針で無数の線を刻みながら画面を埋め尽くしていく。空白に対する恐怖心を持つ作者は、それを埋め、満たすことが制作の原動力になっていると語る。表面に生じた無数の傷は、制作の最中には白い画面の中に埋もれ、その全体像を見せない。岩絵具を溝に刷り込むことで、線ははじめて色彩を獲得し、姿を現す。小さな葉や種一粒であっても、拡大すると見たことのない模様が広がるように、堀田の絵画は私たちを「ここではないどこか」へと接続する。

石川 将士 Masashi Ishikawa
石川将士は、人体や植物、器のようなかたちを手がかりに、主に金属鋳造による作品を制作している。人の存在や記憶、時間の移ろいを主題に、青銅や鋳鉄を用いながら造形を行っている。作者にとって器は、何かを受け入れる形でありながら、空の状態でもひとつの存在感を持つものである。何かが入っている時だけでなく、何もない時にも気配を宿すような存在に惹かれているという。硬く永続的に見える金属もまた、制作の過程でさまざまな表情へと変化していく。石川はその変化のなかに、人や自然と同じような時間の層を感じながら、金属の持つ強さと柔らかさ、不確かさが同居するかたちを探っている。

荒谷 翔

DSC06263
DSC06265
DSC06266
previous arrow
next arrow

片岡 操

DSC06250
DSC06252
DSC06249
previous arrow
next arrow

馬場 隆志

DSC06248
DSC06247
previous arrow
next arrow

濱野 佑樹

DSC06257
DSC06256
previous arrow
next arrow

森 一朗

DSC06260
DSC06262
previous arrow
next arrow

八木 叶夢

DSC06246

吉田 周平

DSC06258
DSC06259
previous arrow
next arrow

渡邉 泰成

DSC06253
DSC06254
previous arrow
next arrow

概要

会期:2026年6月20日(土)〜7月19日(日)
※6月19日(金)13時よりプレオープン
※展示入れ替えなし

定休日:月曜日

営業時間:10:00-18:00
※営業日時が変更になる場合がございます。最新情報は公式Webサイト・SNSをご確認ください

入場料:無料

会場:藝大アートプラザ(東京都台東区上野公園12-8 東京藝術大学美術学部構内)
公式Instagram / 公式X(Twitter) / 公式Threads

おすすめの記事