企画展「藝大の猫展2020」店長・伊藤久美子さんによる、みどころ解説

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2019年4月26日から1カ月間開催され、大盛況だった「藝大の猫展」。今年も5月に「藝大の猫展2020」が予定されていましたが、コロナの感染拡大による自粛期間中だったため9月に延期に。でもそのおかげで展示期間が2カ月間と延び、「何度も見に行ける!」と喜んでいる方も多そう。昨年よりもさらに展示作品が増えてパワーアップした「藝大の猫展2020」の見どころを、アートプラザのチーフアートディレクター、伊藤久美子さんにうかがいました。

藝大の猫展2020内観

なんだか昨年の「藝大の猫展」よりも、展示されている作品の数がすごく増えたように感じます。

本展に先だって行われたコンペティションでは、83作家、116点の応募作品が集まりました。これだけの数が集まるのは、いまだかつてなかったように思います。昨年の「藝大の猫展」がお陰さまで大好評だったので、その影響もあるかもしれません。特に絵画は点数が多く、全て展示できるのか少し不安になったほどです。
参加アーティストだけでなく、見に来てくださるお客様の熱も感じます。初日は11時のオープン前に入店を待つ方の行列ができていたほど。初日から多くの作品に「売約済み」の赤いシールが貼られ、猫アートの人気の高さに驚きました。

今回は、展示方法も面白いと評判です。

藝大の猫展2020内観

藝大の猫展2020内観

いつもより高い台にある彫刻作品は、彫刻科有志の方々にお願いして等身大のサイズのものを作っていただきました。この猫たちと、観る方の目が合うようにしたくて、キャットウォークをイメージした展示台をスペシャルオーダーしました。

藝大の猫展2020内観

「キャットウォークSHOW」と名づけているのですが、思い思いのポーズでいる様が猫らしくて、リアル感を楽しんでいただけると思いますよ。

藝大の猫展2020内観

藝大の猫展2020内観

藝大生対象のコンペティションでは、作品サイズを30cm立方以下と規定して募集しました。このサイズなら家にも飾りやすいですし、価格的にも手が届きやすいので、初めてのアート作品購入にぜひトライしていただきたいですね。

特に気になっている作品はありますか?


小田隆「寝る三毛猫」(55,000円)

小田隆さんは1969年生まれで、本展の参加アーティストの中では最年長の方です。博物館のグラフィック展示や図鑑の復元画なども手がけておられるので、古生物学者の方々との幅広い交流があり、科学的な知識をお持ちならではのリアリティがありつつ、独自性もある、とても見応えのある作品だと思います。


宮下咲「其れについての記述(猫)No.2」(27,445円)

「時折、人のような咳をする」という心のつぶやきを表した文字が、絵と一体化しています。頭の中にふわっと浮かんだ言葉をそのまま絵画にしたような作品で、そこに不思議な等身大の存在を感じさせる作品です。

多くの人をひきつける「藝大の猫展」の魅力はどんなところにあるのでしょう?

現役の学生も、すでに大活躍されているOB、OGの方も、いろんな年代の方々が「猫」という同じモチーフで作品を作ることにあると思います。同じモチーフだからこそ、その作家の猫に対するまなざしの違いが作品から見てとれるんです。また自分の愛猫をモデルにした作品も多いのですが、人によって猫との距離感の違いが浮き彫りになります。そこに面白さや発見、共感を呼び起こすものがあるのではないでしょうか。


(左)藤崎りら「帰りを待つ猫」(38,500円)(右)藤崎りら「家族になった猫」(55,000円)


松原維子「あくび 小」(66,000円)


東條明子「いつもの背中」(308,000円)


白井雪音「Look at Me」(176,000円)

展覧会名:企画展「藝大の猫展2020」
会期:2020年9月19日 (土) ~ 11月15日 (日)
開催時間:11:00~18:00
休業日:9月23日(水)、28日(月)、10月5日(月)、12日(月)、19日(月)、26日(月)、11月2日(月)、9日(月)


取材・撮影・文/桑原恵美子 

※掲載した作品は、実店舗における販売となりますので、売り切れの際はご容赦ください。

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