暑いですね!今年の梅雨は長かったですが、いざ明けてみると、一転して全国的に猛暑日が続いています。そんな中、藝大アートプラザは今日もコロナに負けず営業中!
現在、藝大ゆかりの作家がコロナ禍の緊急事態宣言下で取り組んだ作品群を特集した「特別企画アトリエから~いまアートにできること~」が好評開催中です。出展した各作家が作品と共に寄せたメッセージを読むと、心にぐっとくるものがあります。
さて、8月12日から、新たにギャラリー最奥部の絵画コーナーの壁一面を使って、ミニコーナー“がんばれ藝大生「エールのアトリエ」”が展開されています。そこで、本日いち早く対象作品を見てきました!
頑張れ藝大生「エールのアトリエ」ってどんな企画なの?
「若手芸術家支援基金」ロゴ
制作者:澁⾕克彦⽒(1981年美術学部デザイン科卒業)
引用:https://www.geidai.ac.jp/wp-content/uploads/2020/06/HP_release20200609.pdf
新型コロナウイルス感染拡大対策が取られる中、芸術活動に影響が出たのはプロのアーティストだけではありません。藝大でアートを学ぶ全ての学生にもまた、生活面はもちろん、学業や制作活動など多方面で大きな影響が出ているのです。
そんな中、東京藝術大学では「新型コロナウイルス感染症緊急対策 東京藝術大学 若手芸術家支援基金」という基金を新たに設置。藝大に通う現役の学生を含む、藝大ゆかりのアーティストを金銭面で幅広く支援しようというプロジェクトがスタートしました。
その中で美術学部向けの目玉施策の一つとしてスタートしたのが、“頑張れ藝大生「エールのアトリエ」”でした。
仕組みはこうです。
まず、基金側から学生に作品を募集します。制作条件は、A4サイズの紙1枚を使うことだけ。テーマや表現手法は自由です。期限内までに応募があった作品については、基金側が一律一定金額(1万円)で無条件に買い上げ、学生への制作資金補助とします。次に、基金が購入した学生の作品を、藝大アートプラザや小学館のECサイト「大人の逸品」へと販売委託。複数の窓口を通じて一定金額(1万円/税込)で日本全国に販売されます。
小学館の通販サイト「大人の逸品」での特集ページはこちらから!
これは良い施策だな、と思いました。学生側はただお金をもらうのではなく、作品をきちんと残さなければならないので緊張感がありますし、もし作品が売れれば、名前が知られるのはもちろん、学生にとって非常に自信にもつながりますからね。
バラエティに富んだ作品群で、展示室内が一気ににぎやかに!
それでは、早速作品を見ていきましょう。
作品内容は、A4サイズの1枚の紙上で制作する、という共通の制作条件以外は、見事にバラバラ。バラエティに富んだ作品群が楽しめます。
上野水輝「#ねむれない女」10,000円(税込)
臼井琴梨「チンチラウサギ」10,000円(税込)
何気ない日常風景や旅の思い出を写し取った水彩画、お気に入りの動物を描いたドローイング、抽象的なイメージを表現したもの、鉛筆での素朴なデッサン、商業ポスターのようなポップな作品、写真作品など多種多様な作品がランダムに展示されています。
俵圭亮「絵の唄(CDサイズの絵画シリーズ」10,000円(税込)
何かの印刷に失敗したコピー用紙の裏紙を使って制作するアーティストなども。映画やドラマの設定資料集の一コマみたいで面白かったです。
菅野歩美「映像のためのエスキース」10,000円(税込)
また、それぞれの作品には、制作者の簡単なコメントも添えられ、各アーティストの作品制作にかける思いなども綴られています。
現在、25点が展示されていますが、この後も第2弾、第3弾が順次藝大アートプラザへと到着する予定。(絵画コーナーでの展示は、約2週間で終了しますが、その後も常設展示コーナーで永続的に鑑賞が可能になるとのこと)
未来の巨匠を探せ!思わぬ掘り出し物を探してみませんか!?
CHU LIANGWEN「セカイのカタチ」10,000円(税込)
今回到着した第1弾となる25点を拝見して感じたのは、アートというのはどんな状況に置かれたとしても、制作意欲が尽きない限り、面白い作品はできるものなのだな、ということ。
たとえ簡素な画用紙やコピー用紙の裏紙であっても、アーティストの個性がキラリと感じられるのであれば、それはもう立派な作品として後世に残っていく可能性があるわけです。
実際、ある凄腕のギャラリストと立ち話をした時、こんな興味深い話を聞いたことがあります。彼いわく、「僕はこれといったアーティストを見出したら、作品だけでなく資料やメモ書き、封筒やサインなど、ありとあらゆるアウトプットをちゃんと保管しておきます。将来、それはとてつもないお宝になる可能性があるんです。」とのことでした。
今回、「エールのアトリエ」企画を通じて作品が展示販売されるアーティストは、そのほとんどがまだ作品を発表したことがない未来の巨匠の卵たち。彼らが作家として名を上げ、世界的なアーティストへと成長した時、今回展示されているA4サイズの小品は「作家の原点」として貴重すぎるお宝になっているかも?!
是非、あなたのお眼鏡にかなった掘り出し物を探しに、藝大アートプラザへ遊びに来てくださいね!
また、特別企画「アトリエから~いまアートにできること~」は、引き続き9月13日まで開催中。購入後、作品を即日即持ち帰ることができます。随時、新作が追加されていくので、こちらも合わせてチェックしてみてください!
「特別企画 アトリエから~いまアートにできること~」
会期:2020年7月4日(土)~9月13日(日)
11:00~18:00、月曜定休
取材・撮影/齋藤久嗣
※掲載した作品の価格は、全て「税込価格」です。
※掲載した作品は、実店舗における販売となりますので、売り切れの際はご容赦ください。