現代では花見というと桜を思い浮かべますが、平安時代には梅のほうが人気があったとか。今回は、『梅のある風景@浮世絵』展をお送りいたします!
窪 俊満『島台三方図』
まずはおめでたい図で始めましょう!
古代中国で神々が棲むとされた蓬莱山(ほうらいさん)、それをかたどった島台(しまだい)は、鶴と亀、松竹梅と、おめでたいもの尽くし。婚礼や大切な客の接待などで使われたものです。
左前方に描かれた三方(さんぼう、さんぽう)も神仏や位の高い人への供物を置いたり、儀式で物を載せたりといった用途の、とてもおめでたい道具です。
鳥居 清満『岩井半四郎図』
2021年の干支である「丑」とのコラボ作品(という意図で描かれたものではないでしょうが)。
歌舞伎役者の岩井半四郎(いわい はんしろう)演じる遊女が、牛に乗りながら恋文を読んでいる場面、さて恋文にはなんと書かれていたのでしょうね。
鈴木 春信『梅の枝を折る女性』
おやおや、お嬢さんたちがなにかしていますね。
2人組で隣家の梅の枝に手を伸ばす女性たち。足元には脱ぎ捨てられた草履(ぞうり)が。
塀に手をついて台になっている女性は、背中の女性を見上げていますが、嫌そうな顔はしていないように見えます。
よく見ると、上の女性は豪華な振袖、下の女性は小袖。
2人の関係性も気になります。
鈴木 春信『遊女禿図』
こちらも先ほどと同じ鈴木春信の浮世絵。
待ちくたびれのか、遊女の付き人の禿(かむろ)が板の間で眠り込んでしまっています。
それを眺める、ひと仕事終えた様子の遊女。禿がつくということは、恐らく上級の遊女ですが、その優しい眼差しがとても印象的です。
襖(ふすま)に白梅が描かれています。
楊洲 周延『千代田の大奥』
雪景色を楽しむ、大奥の女性たち。
梅の枝や竹・岩には雪がこんもり積もり、寒そうです。中央に立っている女性も袖に両手を入れています。
池には2羽のカモたち。寒くないのでしょうか? 心なしか、少し羽がふくらんでいるようにも見えます。風邪ひかないようにね。
「誰でもミュージアム」とは?
パブリックドメインの作品を使って、バーチャル上に自分だけの美術館をつくる「誰でもミュージアム」。和樂webでは、スタッフ一人ひとりが独自の視点で日本美術や工芸の魅力を探り、それぞれの美術館をキュレーションしています。「誰でもミュージアム」はwebメディアだけでなく、各SNSアカウントや音声コンテンツなど、さまざまな媒体のそれぞれのプラットフォームに合わせた手法で配信。アートの新しい楽しみ方を探ります。
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主要参考文献:
・『ブリタニカ国際大百科事典』ブリタニカジャパン
・『日本大百科全書(ニッポニカ)』小学館
・『デジタル大辞泉』小学館