藝大アートプラザ・アートアワード(旧藝大アートプラザ大賞)の受賞作家を招待して、一年に一度開催する本展。
「藝大の星」とも呼べるアーティストたちの、新作を含む作品たちが一堂に会します。ここでは、作品の写真とともに各出展作家をご紹介します。
※コメントは、Web担当による解説です。
※並びは展示風景のおおよその順路に従っています。
※写真にない作品もございます。ぜひ現地で全ての作品をご覧ください。
会期:2024年8月17日(土)〜10月20日(日)
前期:2024年8月17日(土)〜9月15日(日)/後期:2024年9月21日(土)〜10月20日(日)10月の休業日:7(月)、15(火)
※通常月曜定休ですが、14(月)は祝日のため営業、翌15(火)が臨時休業営業時間:10:00-18:00
※営業日時が変更になる場合がございます。最新情報は公式Webサイト・SNSをご確認ください入場料:無料
会場:藝大アートプラザ(東京都台東区上野公園12-8 東京藝術大学美術学部構内)
公式Instagram:https://www.instagram.com/geidai_art_plaza
公式X(旧Twitter):https://twitter.com/artplaza_geidai
野村 絵梨
東京藝大の彫刻科では石彫を学んだ作者。現在は一転して「チープで軽くて可愛く柔らかい」彫刻を探求している。一見おもちゃのように見える品々は、作者の生活空間を映し出している。ドールハウスの小物のような愛らしいフォルムに、あえてゴミや汚れ、人の痕跡を付与する。本作は藝大のアトリエがテーマ。雑に止められた安全靴のベルト、少し斜めに干されたランニングや煙草の箱のつぶし方にも、持ち主の癖が滲み出ている。
2019年 東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻 修了
2022年 「複号の彫刻家たち展」 (ファーレ立川街区、東京)
2024年 「第27回岡本太郎現代芸術賞展」(川崎市岡本太郎美術館、神奈川)
2024年 「KODOMO CIBONE」(CIBONE、東京)」
2024年 「さよなら△またきて□」( WADA GAROU TOKYO Lab.、東京)
杉本 ひなた
ラグや食卓といった何気ない日常の一場面が描かれている。シルクスクリーンのインク、鉛筆の線、何も描かれていない余白の三つの要素が、ちぐはぐなまま絵の中に収まっている。
点在する余白は具体的なモチーフを表しているものもあれば、背景や絵の外側になっているところもあり、同じ余白であっても個々に異なる機能を生み出している。「何かに見えるけど、そうではないかもしれない。そうした曖昧さを感じてくれたら嬉しい。」と作者が語るように、認識を揺さぶられる作品となっている。
2021年 「Liquitex THE CHALLENGE 2021」坂口寛敏賞受賞
2022年「ムーンライト/サンライト」 DESIGN FESTA GALLERY、原宿
2023年 「藝大アートプラザ大賞展 – Geidai Artplaza Festival 2023」 準大賞
「第2回FEI PURO ART AWARD」 入選
2024年 「grid next:Emerging Artists Showcase」biscuit gallery、渋谷
現在 東京藝術大学 美術学部絵画科 油画専攻に在籍
RO KIKO
1970年代のロックスターが描かれている。変形キャンバスやギターのハンドルの実物などを持ち込み、「絵画=イメージ」からの脱却を図る。古い映像のピントがずれて不鮮明な様子は、モニターを眺めている感覚を呼び起こす。「昔撮ったビデオの映像の熱のようなものを描きたい。それ自体が発光しているような絵にしたい。映像と現実に隔たりがあるから、自分が主体となれる」と語る。
2019年 上海師範大学学部美術科絵画専攻卒業
2023年 第10回記念未来展 – 日動画廊
第6の予言 The 6th prophecy-Chapter2 “Heat Haze”- 西武渋谷
現在 東京藝術大学大学院美術研究科修士課程 絵画専攻 油画研究分野 在籍
大島 利佳
華やかな色彩と装飾豊かな登場人物たちによる「幸福」の世界が広がっている。アクリル絵の具による緻密な描写と、水干絵の具の発色を活かして描かれる人体の温かみの対比が、特徴的である。作者は古今東西の縁起物や言い伝えをリサーチし、良い意味合いと装飾を織り交ぜながら絵を構成していく。「せっかく絵にするのだから良いものをたくさん描きたい」という言葉の通り、細部にまで工夫が盛り込まれている。
2018年 美術新人賞デビュー 2018 グランプリ 受賞
2020年 東京藝術大学卒業制作展 第6回平成藝術賞 受賞
2019年 KENZAN2019 Gallery Kogure賞 受賞
2022年 東京藝術大学大学院 デザイン科 第8研究室Draw 修了
齋藤 愛未
東京藝大で日本画の博士課程を修了し、現在は教員として在籍。岩絵の具ならではの表情や空間表現による絵画を制作している。出品作では、通り過ぎてしまう景色にフォーカスし、廃墟やショーウィンドウ、バーカウンターにひっそりと佇むアンティークの動物を描いている。「絵本を開くような感覚で、自分の好きな感情で絵を見てもらえたら嬉しい。」と語る。本の装丁をする感覚で選んだという、額の生地にも注目したい。
2020年 東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻(日本画)修了
2020年 信貴山縁起絵巻現状模写大学美術館買い上げ
2020年 佐藤国際文化育英財団 第31期奨学生
2023年 東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程(日本画)修了
現在 東京藝術大学日本画研究室 教育研究助手/日本美術院 院友
安河内 裕也
巨大な建造物や朽ちた都市の風景が、緻密な線の集積によって描かれている。大学では銅版画を学び、現在はプラスチック版を用いる手法も取り入れ、大型の版画作品を実現させている。作者の生み出す作品世界では、自然に飲み込まれていく廃墟も、変容する人像も、一貫して人間の在り方を問い続けている。
2016年 第84回日本版画協会版画展 /準会員優秀賞
2019年 第7回ガンラン国際版画ビエンナーレ /名誉作品賞
2023年 藝大アートフェア2023 /佳作賞
2024年 第21回中華民国国際版画ビエンナーレ /金賞
現在、日本版画協会会員 銅夢版画工房講師
堀口 晴名
2018年 東京藝術大学絵画科日本画専攻 卒業
2020年 東京藝術大学大学院 文化財保存学専攻(保存修復油画) 修了
2022年〜ロンドンに制作拠点を移す
2023年 『通販生活 2023年春号』「ネコの作家第25回堀口晴名」インタビュー掲載
2023年 初個展「堀口晴名個展 -動物たちの夢-」新生堂
東京藝大の学部では日本画を専攻し、大学院では油画の保存修復を学ぶ。絵画制作を続ける上で、作品を先の世代まで残す方法や工程への興味があったと言う。初期ルネサンスに活躍した修道士画家フラ・アンジェリコの祭壇画に影響を受け、古典技法を用いた黄金背景のテンペラ画を発表し続けている。画面に登場するのは、人間の暮らしぶりを真似た動物たちの姿。柔らかな毛並みは、ハッチングを丹念に重ねて生み出される。「観た人に物語を想像してもらいたい。人それぞれに違った物語が生まれ、それらを聞くことも楽しい。」と語る。
小倉 慎太郎
岩石標本プレパラートと同じ製法で石を削り、向こう側が透けるほどの薄さにした作品。作者が学んだ彫刻にとって、石という素材は重く、固まりである。量感を取り去られた後、石はその内側にある微細な表情を私たちに見せてくれる。モノの性質と存在の関係性を問いかけてくる「彫刻作品」である。
2016年 東京藝術大学美術学部彫刻科 卒業
2018年 東京藝術大学 大学院美術研究科 修士課程 彫刻専攻 修了
~2022年 東京藝術大学美術学部彫刻科 教育研究助手
加藤 萌
漆塗りの一種である乾漆技法を用いて、野生動物の姿が表現されている。卒業後に移住した岡山県の、山中で出会う動物からインスピレーションを得ている。写実的な表情と、漆の鏡面仕上げの二層構造は、作者独自の表現である。本作はリラックスしたキツネの姿だが、青貝で作られた鋭い爪に野生の気配を覗かせている。「子どもの頃、道端の落ち葉を両手ですくって、空中に放り投げる遊びが好きでした。木漏れ日を受けた葉の、ひらひら舞い落ちる様子を山の暮らしで思い出し、キツネの姿を借りて表現しました。」
2014年 東京藝術大学大学院 美術研究科修士課程 漆芸専攻 修了
2021年 開館30周年記念特別企画 片山康之×加藤萌「森のしずまる」(新見美術館/岡山)
第22回岡山芸術文化賞準グランプリ
個展 「夢二を見ていた猫たち」(夢二生家記念館・少年山荘/岡山)
2024年 個展「かくしごと 」 (岡山天満屋美術ギャラリー/岡山)
現在 岡山県の山奥に移住、及びワイン農家を兼ねる
水代 達史
加飾を専門とする彫金技法を駆使し、「生命」をテーマに動植物が写実的に作りこまれている。その繊細な表情は、金属が硬い素材であることを忘れさせてしまう。
「伝統技法と現代的な技法を組み合わせながら、自分のイメージする世界を表現できるよう日々模索しています。今回の作品では特に色と質感に拘って制作しました。」
2009年 東京藝術大学工芸科卒業
2011年 東京藝術大学大学院美術研究科彫金修了
2012-2017年 東京藝術大学彫金研究室教育研究助手/非常勤講師
現在 金沢美術工芸大学工芸科 准教授
満田 晴穂
「自在置物」とは江戸時代から始まり明治に隆盛した、主に生物をモチーフとした金属工芸で、関節が動くよう作られているのが特徴である。作者は在学中から自在置物師の冨木宗行氏に師事。自在置物を現代に継承する作家として活躍している。元来の虫好きでもあり、対象は必ず実物を観察する。本物と見間違うほどのリアリティを追及することで、更なる発展に挑んでいる。
2008年 東京藝術大学美術研究科修士課程彫金研究室修了
自在置物作家・冨木宗行に師事
2010年〜 個展「JIZAI」日本橋三越本店本館、東京
2017年 「驚異の超絶技巧!―明治工芸から現代アートへ―」三井記念美術館(東京~他巡回)
2017年 「平成 28 年度日本文化藝術奨学金」において「第 8 回創造する伝統賞」受賞
2023年 個展「満田晴穂JIZAI」米子市美術館(鳥取)
地村 洋平
東京藝大工芸科では修士課程まで金属鋳造を専攻し、その後ガラス造形の分野で博士号を取得。現在も本学で学生の指導に当たる。ガラス内部への金属鋳造は作者独自の手法である。金属とガラス、どちらも熱によって形態や硬度が変化する素材である。「始まりの実験」は、人類と火、その起源や精神性を根底に持つ、一連の作品である。淡いグリーンの2作品は、パラオ共和国で現地のリサイクル資源を用いて制作された。
2015年 東京藝術大学大学院博士後期課程美術研究科美術専攻ガラス造形 修了
2019年~東京藝術大学 ガラス造形研究室 非常勤講師 (現、テクニカルインストラクター)
2022年〜 JICA草の根技術協力事業 パラオ共和国 Belau Eco Glass Studio 非常勤講師
会期:2024年8月17日(土)〜10月20日(日)
前期:2024年8月17日(土)〜9月15日(日)/後期:2024年9月21日(土)〜10月20日(日)※9月16日(月)〜9月20日(金)は展示替えのため休業
営業時間(月曜休):10:00-18:00
※営業日時が変更になる場合がございます。最新情報は公式Webサイト・SNSをご確認ください入場料:無料
会場:藝大アートプラザ(東京都台東区上野公園12-8 東京藝術大学美術学部構内)
公式Instagram:https://www.instagram.com/geidai_art_plaza
公式X(旧Twitter):https://twitter.com/artplaza_geidai