豪華な空間に響く、ダイナミックな音楽 「É lan Saxophone Quartet」謝恩の会コンサート アフターレポート

ライター
中野昭子

2025年7月3日(木)、帝国ホテルの「孔雀の間」にて小学館主催の謝恩の会が開催され、藝大の学生によるコンサートが行われました。
出演はサックス4名で構成される「É lan Saxophone Quartet(エラン サクソフォン クァルテット)」。伏見はなさん(ソプラノサクソフォン)、髙野七菜実さん(アルトサクソフォン)、立畠花音さん(テナーサクソフォン)、𠮷田朋諒(バリトンサクソフォン)さんの4人によるカルテットで、30分ほどの演奏が2回行われました。大勢の来場者の注目を集めた当日の様子をレポートします。

『名探偵コナン』や『BLUE GIANT』関連の曲も……あのヒット作が思い浮かぶ

「É lan Saxophone Quartet」のメンバーが入場すると、会場には大きな拍手が沸き起こり、続々と人が集まってきます。音楽が始まると、にぎやかな場もいったん静かになり、お客様は4人の演奏に聞き入りました。

曲目は、いずみたく「見上げてごらん夜の星を」、大野克夫「名探偵コナンのテーマ」、モーリス・ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」、上原ひろみ「FIRST NOTE」「BLUE GIANT」「Count on me」の6曲。「名探偵コナンのテーマ」は、小学館から出版されている青山剛昌による推理漫画『名探偵コナン』の映画やテレビアニメのテーマ曲で、「FIRST NOTE」「BLUE GIANT」「Count on me」は、同じく小学館の石塚真一とNUMBER8による漫画『BLUE GIANT』の映画で流れる曲です。

特に多くの方々が聞き入っていたのは、やはり『名探偵コナン』と『BLUE GIANT』関連の曲。映画やテレビアニメでおなじみの旋律が生演奏で流れると、熱心に写真や動画を撮影するお客様もいらっしゃいました。

メンバーがこの日のために合わせたという鮮やかなブルーや華やかなシルバーグレーのドレス、シックな黒いタキシードといった装いは、曲のタイトルのほか、クラシカルでゴージャスな「孔雀の間」の雰囲気にぴったりとマッチし、目を奪われます。

4人の呼吸や動きがシンクロしているさまも美しく、光の加減で陰影が変わるドレスやタキシードに金色のサックスが映え、まるで映画のワンシーンのようでした。

4人の呼吸や動きはぴったりと合っていました。

演奏が終わると会場は大きな拍手に包まれ、パネル表示されたメンバーのプロフィールを確認する方もいらっしゃいました。

2回目の演奏では、さきほどの手ごたえを参考にして曲の順番を入れ替え、「見上げてごらん夜の星を」「亡き王女のためのパヴァーヌ」「FIRST NOTE」「BLUE GIANT」「Count on me」「名探偵コナンのテーマ」という流れに。
宴も佳境に入ってますます盛り上がる中、音に聞き入る方や、懐かしい曲をBGMに、思い出話やご家族の話をされる方も。にぎわいをみせる会場で、お客様はそれぞれの形で音楽と会話を堪能していました。

そして演奏を終えたメンバーは熱いアンコールに応え、大広間へと移動して「FIRST NOTE」をプレイ。広い空間に熱くダイナミックな音が響き渡り、コンサートは大きな拍手で締めくくられました。

広い空間で、演奏は更にダイナミックに。

コンサートを終えて「楽しかった」。 強い信頼関係で結ばれたカルテット

「É lan Saxophone Quartet」は、本イベントのために始めて組んだカルテットとのこと。ずっと昔から組んでいたかのような息の合ったセッションとチームワークで、4人の技術の高さと共に、互いに深い敬意を持っていることが伝わってきました。
今回のコンサートは、カルテットのメンバー編成、曲の構成、当日の演奏順などはおおむね「É lan Saxophone Quartet」側の提案によるもの。企画を進めるにあたり、藝大アートプラザとのやりとりも大変スムーズで、メンバーの的確な仕事ぶりと信頼関係の強さがうかがえました。

コンサートが終わると、全員「とても楽しかった」と明るい笑顔に。普段は藝大のほか、コンサートホールなどでクラシック音楽を演奏することが多いとのこと。クラシックの場合は音をきれいに出すことに集中するそうですが、今回は別の方向に力を注ぐ曲が多く、いつもと違う体験ができて新鮮だったそうです。

また、お客様の目の前で音楽を披露することは初めて、もしくは珍しい機会とのこと。出演時は相手に伝わっているかどうかが気になるので、聞き手の反応や表情などを確認しているそうですが、今回はお客様との距離が近かったのでとても良い経験になった、と話していました。

ダイナミックで息の合った演奏を聞かせてくれた「É lan Saxophone Quartet」の今後の活躍を楽しみにしたいと思います。

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