厳正なる審査の結果
藝大の学生を対象としたアートコンペティション「藝大アートプラザ・アートアワード」(旧「藝大アートプラザ大賞」)の審査結果を発表いたします。
第20回の節目となる本年度は、各学部・大学院の学生・院生70人の応募がありました。
藝大アートプラザで行われた審査会では、日比野克彦・東京藝術大学学長ならびに箭内道彦・東京藝術大学美術学部教授/藝大アートプラザ所長らをはじめとする審査員が厳正なる審査を行い(写真下)、以下の通り受賞者を決定しましたので、ここにお知らせいたします。
受賞作・入選作品は、2026年1月24日(土)〜3月22日(日)の会期で、藝大アートプラザにて展示・販売(ページ下部に案内を掲載)いたします。
また、各賞の受賞者を対象に授与式を行います。詳細は本サイト「ART PLAZA TIMES」にて近くご案内いたします。


大賞
上垣内若葉(うえがいと わかば)
作品名:よいしょ -キミのおかげ-
準大賞
望月嶺(もちづき れい)
作品名:泡影
準大賞
海田通孝(かいた みちたか)
作品名:Trace of the Crack
小学館賞
宇野萌花(うの もえか)
作品名:散歩道
入選
都澤 円
小田浩之
Chu
三浅 友
上岡和也
大江里実
藤村 栞
須藤倖
西澤 明里
山中春海
蓮本南欧
吾妻怜
志水緑芽
土井源
大越小雪
高橋未帆
伊佐優花
HIYORIの庭園
小山 明日翔
さかお みずほ
大村直子
中田開大
布留川颯
渡部ぼたん
藤田野々
鈴木航太郎
亀川豊未
大澤 志乃
河﨑海斗
大堀珠美
はらだつぐみ
Koki Sakakihara
Deer
LI JIAYU
えずみ まい
土屋春乃
永井大地
ウラン
林銘君
大谷玲生
加茂那由多
岡田周也
小林 椿
横山幸奈
色本藍
板倉夏海
江口暁香
石川廉太
新田燿基
藤田望愛
工藤梨花
城田 崚吾
奥村凪
内藤 丈晴
八木叶夢
西田光希
びゅん
あべねい
カナイ ミユ
はらだ ひまわり
Lulu
范 沁雨
鈴木 遥香
杉本ひなた
太田実来
高木いろ佳

審査員各氏のコメント
日比野克彦 東京藝術大学学長
受賞作について
大賞受賞作の上垣内若葉「よいしょ -キミのおかげ-」は、技術的な完成度の高さがまず目に留まった。けれども、私自身としては技術を前面に押し出す作品よりも、作者の個性や人柄が自然とにじみ出ている作品に、より強い魅力を感じる。その点で、本作は技巧だけでなく作者固有の表現がしっかりと立ち上がっている作品だと感じた。
展覧会の場で「良い」と感じる作品と、「自宅に持ち帰りたい」「誰かに贈りたい」と感じる作品は、イコールではないと思う。しかしこの作品はその両方を満たしていて、さらに「語りたくなる存在感」を備えている点を高く評価した。
技術面においても、陶という素材が持つ魅力を巧みに引き出している。荒々しさを残した頭部と、滑らかな胴体、そしてアーチ状の脚部が生み出す造形は、不思議な個性と生命感を感じさせる。作家によるコンセプト文を読むと、過去の作品からの連続性があるようで、作家がこのモチーフをライフワーク的に深めていることが伝わってきた。制作そのものが作者自身を支え、励ます行為になっているのだろう。作品の不思議な説得力はそこから来ているのかもしれない。学年を重ねる中で技術的課題を克服しつつ、表現の強度を高めている、現在進行形の成長を感じさせるという点で大賞に選んだ。
全体の講評
学部1年生から修士、博士、研究生まで、多様なレベルの作品が並び、技術的完成度だけでは測れない、学生ならではの自由さや荒々しさが感じられたように思う。工芸的な小作品に偏りすぎるといわゆる「工芸展」的な展示になりがちだが、今回は挑戦的な試みが多くあり、このアワードを意義深いものにしていると感じた。
藝大アートプラザ・アートアワードは展示だけでなく販売を前提とした場であり、作家は自身の作品が他者の手に渡り、いわば「一人歩き」していくという経験をすることになる。その経験はアーティストとして極めて重要であり、ぜひ今後も多くの学生に応募してほしいと思う。この賞が単なる金銭的支援にとどまらず、作家としての姿勢や経験を育む場として、今後も活かされることを期待する。

箭内道彦 東京藝術大学美術学部教授/藝大アートプラザ所長
受賞作について
準大賞受賞作「Trace of the Crack」(海田通孝)は「アートと一緒に暮らす」という藝大アートプラザの理念を的確に体現している作品だと感じた。室内に置いて飾る作品とは異なり、身にまとうことで、アートと自分自身が一体化する。その発想が私にはとても魅力的に感じた。
何度も折りたたんだり使ったりすることによって銀箔が剥がれ、素材の輝きが変化していくというコンセプトも面白いと思う。アート作品をプリントした、あるいは描いた衣服ということではなく、購入者自身がアートの一部となり、時には額縁となり、時には作品そのものになる。そうした想像力を喚起する点に、この作品の大きな価値があるように感じる。とはいえ着るには少し勇気がいるだろうが、それでも決して突飛すぎない。その絶妙なバランスを取っている点を評価した。
全体の講評
全体として、多様なバックグラウンドから集まった作品群で非常に豊かな審査になったと感じる。一方で、学生の皆さんが「藝大アートプラザから求められているもの」を少し意識しすぎているのではという感もあった。もっと遠慮なく、これからの藝大アートプラザのあり方を「自分が定義する」くらいの挑戦があってもよかった。既存の枠に沿った、あるいは求められているであろう事柄に忖度するのではなく、自分の好きなもの、自らのやりたいことを率直に形にして応募してほしい。その自由さこそが、藝大アートプラザにとって、あるいは作家自身にとっての次の刺激になるだろうと思う。
小学館 審査員
準大賞の望月嶺「泡影」には各審査員から多くの票が集まった。足を一本失い、羽にも傷を負いながら飛ぶ蝶という、儚さ・無常性というテーマを軸に、素材・形態・光と影の関係性を活かした作品だと言える。作者が語る物語と哲学性に加えて、高い技術力、蝶が飛ぶ姿を壁面作品として立体的に提示する見せ方は、作品を空間的な深さに結びつけており、存在や時間といったテーマについて鑑賞者の内面にも問いを投げかけるように感じられた。
小学館賞には宇野萌花「散歩道」を選んだ。漆ならではの透明感と艶消しの表現を巧みに使い分け、非常に高い完成度かつ多層的な魅力を持つ作品だと感じた。
一方で、横位置と縦位置の作品を組み合わせた構成については、その意図がもう一段明確であれば、作品のポテンシャルがより一層引き出されたのではないだろうか。技術力は非常に高く、イメージ形成にも成功している。今後の成長への期待も込めて小学館賞に選定した。
(高橋木綿子・株式会社小学館文化事業局チーフプロデューサー/小坂眞吾・同取締役文化事業局担当/清水芳郎・同社長室顧問)


入選作を一挙展示・販売する「藝大アートプラザ・アートアワード受賞者展」は【1月24日(土)〜3月22日(日)】開催

会期:2026年1月24日(土)〜3月22日(日)
定休日:月曜日(祝日の場合は営業、翌火曜日が休業)
営業時間:10:00-18:00
※営業日時が変更になる場合がございます。最新情報は公式Webサイト・SNSをご確認ください入場料:無料
会場:藝大アートプラザ(東京都台東区上野公園12-8 東京藝術大学美術学部構内)
公式Instagram:@geidai_art_plaza
公式X(Twitter):@artplaza_geidai
公式Threads:@geidai_art_plaza

ツイートする
シェアする

















