COLUMN & INTERVIEW コラム&インタビュー

おめでとう!の春色展 出品作家インタビュー 阿部文香さん(建築学科4年生)

2019/04/17 インタビュー

photo_abeayaka.jpg

アートプラザの店内で、目につくシロやピンクの球体。これらは、建築学科の4年生の阿部文香さんが手がける建築のユニット「uniuni」です。春色展では、このユニットを利用して、阿部さんに会場を装飾していただきました。「uniuni」の考え方や、今後の展開について伺ってきました。

「uniuni」があることによって、会場の雰囲気がかなりかわりましたね。

ありがとうございます。(「となりのトトロ」の)「まっくろくろすけ」ならぬ、「まっしろしろすけ」「ももいろすけ」みたいなイメージで、会場にふわふわと浮遊しています。「uniuni」は、2つくっつけて、ストローを交差させることで、接合し、固まってくっつきます。どんどん増やしていくと強くなり、縦方向と横方向を両方つないでいくと安定していきます。

haruiro_tennai.jpg「uniuni」で装飾された店内

「uniuni」が、どのようにしてできたのか教えてください。

「uniuni」は、ストラクチュラルアート(構造的アート)として作っています。2つのタワシを押し付けてねじると枝がからみあって、摩擦力でくっつくことに気付いて、そのような接合から構造体をつくりたいと思いました。形や素材を考えていくうちに、ストローが候補にあがり、いろんな会社のストローを実験して調べてみました。はじめは一個つくるのに1時間半くらいかかっていたのですけれども、作り方を改良して、自分で機械もつくって、1個あたり、2分くらいに時間を短縮することができました。

abeayaka_seisaku.jpg
阿部さん自作の機械による、「uniuni」の制作過程

「uniuni」の機械はどのようなものなのですか?

ストローを60本針金で束ね、ハンドルを回して針金を巻き上げると、だんだんストローが開いていきます。ちょうど開ききったところで、圧力がかかって針金が切れるような仕組みです。

建築は、構造、デザイン、イメージなど、いろんな方向から多角的に考えて、一つのものをつくっていきます。さきほど話したのは、構造的なアプローチですけど、ほかの分野からも考えていて、小さい頃、人が歩いているときに、オーラみたいなものを、ぽろぽろ落としているように感じていました。その落とされたカケラをイメージしてできたのが「uniuni」です。「uniuni」は、摩擦力によってくっつきますが、固くつくらなければ、不安定でぽとぽと落ちていきます。会場に散らばっている「uniuni」も、いろんな作家さんの生命というか、かけらがぽとぽと落ちているようなイメージです。

abeayaka_uniuni.jpg
天井から吊るされた「uniuni」

会場装飾以外にも、「uniuni」で何かつくっているのでしょうか。

「uniuni」という言葉自体は、1個のことを指していますが、組み合わせて、さまざまに展開しています。はじめはドームをつくってみました。シロクマの毛がストロー状にできているため、断熱効果があって温かいことに注目し、「uniuni」を組み合わせてドームにしたら、保温性の高いドームになると思いました。また、「uniuni」をつかって茶室の生け花としての、大きなお花をつくったり、ウェディングドレスみたいな服もつくりました。

さらにプロジェクトを展開させていく予定なのでしょうか。

現在の「uniuni」は、2メートルぐらいまでしか積み上がりません。補強してストラクチャーとしても成り立つようにしていきたいです。また、点描画のように、組み合わせて混色できることも「uniuni」の面白さの一つだと思っています。ストラクチャーだけにとらわれず、ドレスや装飾もつくっていきたいです。

建築学科を目指したきっかけを教えてください。

もともとは理系で、科学とか物理とか理学系のものが好きでした。藝大を受けようとしていたわけではなく、理学系の大学を受けて、合格しました。ただ、入学金や教材費は納めていたのですが、授業料を入れ忘れていたことが発覚し、途中で入学許可が取り消しになってしまって。ショックすぎて、少しの間、引きこもったあとに、なんでもやりたいことをやってみようと思って、急に彫刻をやってみたくなり、予備校をまわって塑像の勉強を始めました。そこで美術にふれているうちに、ガウディとか、建築が総合芸術といわれていることを知って、建築に行けば彫刻もできるし、アートもできるし、理系の知識も役に立つということで、建築学科を目指しました。

今後はどういう方向に進みたいですか?

なにかものづくりをしていきたいです。建築は、大規模なものを扱うことができること、抽象的な思考で総合的に考えていくことが特徴だと思うのですけれども、それをいかしたようなアートをつくりたいです。ですので、建築家だけを目指しているわけではありません。「uniuni」だけを突き詰めたい気持ちもありますが、迷っていて、ほかのことにも挑戦していきたいですね。

●阿部文香プロフィール

1996 年  愛知県生まれ
2019 年  東京藝術大学美術学部建築科 在学中

[uniuni]
ストロー同士が噛み合う際の摩擦力を利用したユニット。
[uniuni]生産のための機械を制作し、生産を効率化。
[uniuni]を組んで内側に入ればシロクマの毛のようにあたたか。

[uniuni]の発展
2017年夏 構造ユニット[uniuni]を開発。パビリオン「綿毛の宴」を制作。
以後、[uniuni]を応用した様々な作品を制作

2017 年  秋:アーツイン丸の内の展示「優美な死骸」を企画。そこで[uniuni]の作品「海の〇〇」を出品
2017 年  冬:北川原温茶室プロジェクトの際[uniuni]の作品「生け花」として展示
2018 年  夏:ストラクチュラルアートコンテストにて「綿毛の宴」審査員佐藤淳賞受賞
[uniuni]のドレス「dropping clot of ...」を制作


取材・文/藤田麻希 撮影/五十嵐美弥(小学館)

※掲載した作品は、実店舗における販売となりますので、売り切れの際はご容赦ください。