アートアワード入選作すべてをデジタルカタログで公開!編集長がピックアップした作品は?

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藝大アートプラザ編集部
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藝大の学生を対象としたアートコンペティション「藝大アートプラザ・アートアワード」(旧「藝大アートプラザ大賞」)。
第18回となる本年度は、各学部・大学院の学生・院生約70人から応募があり、大賞は間瀬春日さんの作品「はろう」が受賞しました。

各受賞作の詳細、審査の様子はこちらからご覧ください

藝大アートプラザでは、入選以上の作品すべてを展示販売しているほか、今年度の受賞作・入選作すべてを掲載したデジタルカタログを小学館のデジタルコンテンツストア「CLOUDEAR」にて公開しました。
ここではデジタルカタログの中から、藝大アートプラザタイムズ編集長・高木史郎がピックアップした作品をコメントとともにご紹介します。
(※すでに売約済みの作品を含みます)

【審査員特別賞受賞作】Ro Kiko「the festival」

(油絵具、パネル)

「パッと見、妙な形をした木の箱に”HOTEL La Festae”という文字が青色で描かれ、背景はなんだかぼんやりしていてしかも箱の裏側はスカイブルーで塗られている。???? なんじゃこれ?が最初の感想でした。とにかく不思議に思っていろいろな角度から見ているとあら不思議、ある場所からこの作品が夜に佇むホテルの電飾看板そのものに見えたのです。それもそのはず本作は作者の友人の部屋から見える本当にあるホテルの電飾看板を木と油彩で再現しようとした試みだそう。正面から見ているとただの妙な形の木の箱が光り輝く電飾看板に見えた時の快感。激推しです。しかし、なんで油彩で電飾の光を表現しようとしたんだろう?これはもしかすると現代の印象派かもしれません」

Millie「木”ャ」レ:」レL|」

(素材:桧、ローズウッド 技法:木彫刻)

「本作は粘菌のルリホコリをモチーフとしギャル化した木彫(だと思う)。いまだにタイトルは読めませんがギャル語で”ギャルルリ”と読むのだとか。私もルリホコリ大好きですが、きっとあの愛らしい粘菌が人間になったらこんな感じなんだろうなぁと思いながら思わず微笑んでいました。粘菌は菌とつきますが菌類ではなく、動物でもなく植物でもない孤高の存在。それを街を闊歩するギャルに見立てるなんて! ステキです」

杉山こころ「last makeup」

(真鍮 精密鋳造)

「意味深なタイトルにまずは惹かれました(ごめんなさい、いい加減な気持ちではないのです)。どうしてこんなタイトルにしたんだろう? と思いながら作品を見ているとなんだか切ない気持ちになります。そうか、これは誰かの思い出の詰まったレースやフリルを型として作られたものなんだ。レースやフリルそのものは鋳造された瞬間にこの世から消え去り、金属による表現として生まれ変わる。永遠にして最後のメイクアップ。美しくて切ない作品です」

Kristyna Venturova「Reunion II.」

(フュージング)

「とにかくその技と造形表現に圧倒されます。ビーズ状の無数のガラスを型に流し込み鋳造することによって生まれ出た形は唯一無二の存在。ガラス表現の限界点にまで到達しようとする作者の強い意志を感じます。バレエダンサーは神へ近づくために高く高く跳躍することを志向するそうですが、本作はガラスの表現によって神へと近づこうとする祈りにも似たものを感じます」

土屋春乃「山羊」

(油絵具、キャンバス)

「絵を描くというよりは、絵を、形を、生命をキャンパスから削り出す。平面作品でありながら彫刻のような立体感、一匹の山羊に宿る生命力を余すところなく表現した作品です。と同時にこの山羊は作者自身の描く力、生きる力そのもののようにも感じます。自作の額も強い。なにもかも強い。何かを突破しようとする訳の分からない衝動を感じるのは私だけでしょうか」

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