自然はアートだ!企画展「藝大動物園」(後期)出展作家を紹介

ライター
藝大アートプラザ編集部
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作品紹介

2024年3月23日(土)〜5月26日(日)にかけて開催されている企画展「藝大動物園 Welcome to the art zoo!」。

本物以上にリアルな生き物や想像の世界にしか存在しない動物、はては生物なのか無生物なのかわからない存在まで……。そしてもちろん、人間だって動物であることを忘れてはいけません。

アートによる、アートにしかできない特別な「動物園」には、どのような作品が集まったのでしょうか。
藝大アートプラザに開園した「art zoo」について、作品の写真とともに出展作家をご紹介します。

※コメントは、Web担当による解説です。
※並びは展示風景のおおよその順路に従っています。
※写真にない作品もございます。ぜひ現地で全ての作品をご覧ください。

会期:2024年3月23日(土)〜5月26日(日)
後期4月27日(土)-5月26日(日)

定休日:月曜日
※2024年4月より毎週火曜日を営業日としました。

営業時間:10:00〜18:00

入場料:無料

会場:藝大アートプラザ(東京都台東区上野公園12-8 東京藝術大学美術学部構内)

公式Instagram:https://www.instagram.com/geidai_art_plaza
公式X(旧Twitter):https://twitter.com/artplaza_geidai

写実的でありながら

瀬戸 優
自然科学を考察し、主に野生動物をモチーフとした彫刻作品を制作する。等身大で制作される動物たちは生命力に溢れ、玉眼によるまなざしは力強さを湛えている。写実的でありながらも、作者の手の痕跡があることで、制作の息遣いも感じられる作品となっている。「水源」というタイトルは、生命の象徴である水、生命力が湧き出るイメージで名づけられている。


2020年 東京藝術大学大学院美術研究科修士課程彫刻専攻 修了

2018年 四季彩舎にて初個展「瀬戸優展 月を知る」
    彫刻家として個人事業主となる
2019年 クラウドファンディング「瀬戸優パトロンプロジェクト」を立ち上げる
2021年 日貿出版社より瀬戸優ペン画集「PROGRESS」を刊行
2022年 二冊目の作品集「shiten」を自費出版
2023年 オリジナルボードゲーム「CIRCULATION」をプロデュース
その他個展多数

家を集める幽霊、雲を食べる山。

高橋 祐次
絵本、イラスト、絵画、立体作品など、様々な表現で発表を続けている。本作は小さな木片の集合でひとつの空間を生み出し、どこか不思議な世界を表出させている。小さな四角形の中には、この世界の住人や暮らしが描かれ、物語世界を巡るような鑑賞体験へと誘ってくれる。


2018年 東京藝術大学大学院修士課程デザイン専攻 修了、修了制作 <デザインN賞>
2019年 絵本『ぼくはくるま、みんなもくるま』刊行 / あかね書房
2021年 個展「島の行方」 / 新生堂
2022年 個展「何かが起こる3秒前展」 / 八犬堂
2022年 ボローニャ国際絵本原画展 <入選>
2022年 絵本『ずぼっ じー』刊行 / 講談社
2023年 個展「STRANGE VOYAGE」 / GINZA SIX

メキシコの風を感じて

岡田 杏里
東京藝術大学では壁画を学び、2017年ポーラ美術振興財団の在外研修研修員として訪れたメキシコを拠点に制作活動を続ける。現地での体験から得た死生観や神話からインスピレーションを得て、「現実と幻想」「現代性と土着性」というテーマで制作している。壁画から器まで、表現形態は異なりながらも、そこには人間の生活に開かれたアートという姿勢が一貫している。古来よりパブリックなものとしてあり続けた壁画の思想を、現代に受け継いでいる。


2017年 東京藝術大学大学院美術研究科 壁画専攻修了、杜賞受賞
2017年 公益財団法人ポーラ美術振興財団 在外研修員としてメキシコに滞在
2020年 個展「El yo y el Yo」銀座蔦屋書店 GINZA ATRIUM(東京)
2021年 公益財団法人吉野石膏美術振興財団在外研修研修員としてメキシコに滞在
2022年「第25回 岡本太郎現代芸術賞展」川崎市岡本太郎美術館(神奈川) 
2024年 個展「Cerrar los ojos, abrir las capas de la tierra como un libro / 目をつぶって、本のように地層を開く」京都岡崎 蔦屋書店(京都)    

空想と現実のあわい

岩﨑 拓也
「秘密の花園」と題されたシリーズでは、富士の樹海や西表島の密林、奥多摩の雑木林に取材し、ゾンビや鬼などのそこに棲むもののけたちの姿を垣間見るかのような絵画を制作。空想と現実のあわいを作り上げている。今作はその登場人物たちにフォーカスした標本図である。


2022年 東京芸術大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻油画技法・材料研究分野 修了

2024年 Saturday Night Once More/WALL alternative,Marco gllery
2024年 個展 秘密の花園「珍獣図鑑」〜私たちは何も知らない〜/gallery fu
2020年 日本の絵画2020/大賞
2020年 第38回上野の森美術館大賞展/入選
2019年 第67回東京藝術大学 卒業・修了作品展/取手市長賞受賞

丸く歪んだフォルム、シンプルな色彩

杉山 佳
たっぷりと盛られた岩絵の具のマチエールが特徴的な日本画。家具や部屋などを描くことで、その持ち主や住人を連想させる絵画を制作している。そこには「引用」や「見立て」などの日本美術的な思考回路が存在し、不在の存在が表現される。丸く歪ませたフォルムとシンプルな色彩によって半抽象化された動物たちは、鑑賞者に静かに語りかけるようである。


2020年 東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程美術専攻日本画修了博士号取得博士論文『不在』
2021年 東京藝術大学日本画教官室教育研究助手
​2024年 武蔵野美術大学通信課程非常勤講師

細やかな線の動きと釉薬の煌めき

村中 恵理
有線七宝の伝統技法に基づき、繊細で優美な動植物の世界を写し出す七宝絵画を制作。国内外で発表を続けている。「細やかな線の動きと、美しい釉薬の煌めきを間近で見て感じて頂けたら嬉しい」と作者は語る。


2009年 東京藝術大学美術学部工芸科彫金専攻卒業
2011年 東京藝術大学大学院美術研究科工芸専攻ガラス造形研究室 修了
2021年 村中恵理 七宝展(個展/靖山画廊)
2022年 北京国際七宝藝術展(北京)
    村中恵理 七宝展-息吹-(日本橋髙島屋)
2023年 村中恵理七宝展-花鳥風月-(横浜髙島屋)
2023年 承前啓後「七宝の現在」fusion ou metal and glass(日本橋三越)

日本画の古典技法で描き出す鳥と花々

須澤 芽生
長野県生まれ。沖縄県立芸術大学で日本画を学び、東京藝術大学大学院では保存修復を専攻、博士号を取得。丸山応挙などの古典絵画の研究とともに、作家としても精力的に活動している。支持体には主に絹本を用い、女性や四季折々の花と鳥の姿を描き出す。日本画の古典技法を駆使しながらも、現代的で軽やかな作風が特徴である。「今、自分が生きている世界や、その内面性を絵で表現したい」と語る。


2016年 第27回沖縄県立芸術大学卒業・修了作品展(沖縄県立博物館美術館/沖縄県)
沖縄県立博物館美術館館長賞 沖縄県立芸術大学買い上げ
2019年 東京藝術大学大学院美術研究科卒業修了作品展 平山郁夫奨学金賞受賞
2021年 東京藝術大学大学院美術研究科博士審査展 静岡銀行賞受賞
2022年 東京藝術大学大学院美術研究科文化財保存学専攻保存修復研究領域(日本画)
博士後期課程 修了
2023年 公益財団法人芳泉文化財団「令和五年度美しさの新機軸展」最優秀研究賞受賞  
現在 東京藝術大学専門研究員

揺れ動く境界に浮かぶ名前のない存在

中澤 瑞季
人間と植物、人とサル、過去と現在など、二つの存在を融合させることで揺れ動く境界を作り出す。「私の作品から、名前のない存在が浮かんできてほしい」と作者は語る。木、布、人毛などの異素材、時には別の作品のパーツなども組み合わせながら、イメージの揺らぎを実体化させている。


2021年 東京藝術大学大学院美術研究科修士課程彫刻専攻 修了
    東京藝術大学修了作品展 買い上げ賞受賞
2022年 第25回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)入選

鍛金によって打ち出されるリアルな生物

吉田 果歩
藝大大学院修士課程では、工芸を専攻し鍛金技法を学ぶ。打ち出し技法で主に動物をモチーフに立体作品を制作。自然の現象や人の心情を、動物の姿に反映させている。


2019年 東京藝術大学卒業修了制作展(杜賞受賞)
2022年 第70回北区伝統工芸展作品名(北区区長賞受賞)
2023年 吉田果歩 鍛金展 (東京上野/せんびゃく堂ギャラリー)
現在 東京藝術大学美術研究科 専門研究員

ユーモラスと悲哀はどこから

長谷川 有里
「本物になれないニセモノたち」をテーマに、アニメや映画、著名人やアート作品まで、記憶のなかにいるキャラクターたちを「うろ覚え」のまま、フェルトのぬいぐるみに仕立てる作品を制作、発表している。ユトレヒトから刊行した作品集は3冊目となり、同所での個展も定番となっている。プリントがズレてしまったような雑なディテールや、曖昧なフォルム、安価な素材で構成される「ニセモノ」たちは、ユーモラスと悲哀を湛えている。

三重県生まれ、2002年 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業

悲しみや不条理を「笑い」に転換させる

ねがみくみこ
テラコッタや木を主な素材として、ユーモラスな彫刻作品を制作している。人間や動物の悲哀や不条理を笑いに転換させる作風は、学生時代から一貫している。近年は昔話などの物語や、美術作品からインスパイアされたシリーズへと展開を広げている。

作者へのインタビューはこちらから。

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2008年 東京藝術大学大学院美術研究科修士課程彫刻専攻 修了

2020年 「ものすごくくだらなくて、ありえないほど品がない」  (Gallery 花影抄)

2021年 ナイロン100℃ 47th SESSION「イモンドの勝負」作品提供

2022年 MUSEUM OF INTERNATIONAL FOLK ART( U.S.A.)収蔵
、日南町美術館収蔵
2023年「ホルモンと情熱のあいだ」(日南町美術館)

会期:2024年3月23日(土)〜5月26日(日)
後期4月27日(土)-5月26日(日)

定休日:月曜日
※2024年4月より毎週火曜日を営業日としました。

営業時間:10:00〜18:00

入場料:無料

会場:藝大アートプラザ(東京都台東区上野公園12-8 東京藝術大学美術学部構内)

公式Instagram:https://www.instagram.com/geidai_art_plaza
公式X(旧Twitter):https://twitter.com/artplaza_geidai

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