2025年5月31日(土)より上野・藝大アートプラザにて企画展「ドン・キホーテによろしく Chasing Windmills: Regards to Don Quixote」を開催します。
ドン・キホーテはスペインの作家セルバンテスによる小説「ドン・キホーテ」の主人公です。騎士道物語の読みすぎ(!)で夢と現実の区別がつかなくなったドン・キホーテは、愛馬ロシナンテとともに遍歴の騎士になりきって冒険の旅に出かけます。ある日、ドン・キホーテは丘の上に巨人たちが立ち並ぶのを見かけ立ち向かいます。ですが、その巨人たちは夢の世界に生きるドン・キホーテの頭の中にだけ立ち現れた存在で、実は風車なのでした。
もしかするとアーティストはドン・キホーテなのかもしれません。あなただけに見えるたったひとつの世界は果たして虚構なのでしょうか? それとも私たちが現実だと思っている世界が実は幻なのでしょうか? 槍一つで風車に立ち向かったドン・キホーテのように、絶対に不可能だと思われることに立ち向かう行為は愚かなことなのでしょうか?
今回の企画では、制作という槍を携えて自分だけに見えている世界を追い続ける、アーティストの挑戦の数々をご紹介します。作家たちの声は果たしてドン・キホーテに届いているでしょうか?
※ご紹介した作品は通販(銀行振込)での購入も可能です。下記のメールまでお気軽にお問い合せください。
<artplaza@and-next.jp>
※コメントは、Web担当による解説です。
※並びは展示風景のおおよその順路に従っています。
※写真にない作品もございます。ぜひ現地で全ての作品をご覧ください。
会期:2025年5月31日(土)〜7月13日(日)
定休日:月曜日(祝日の場合は営業、翌火曜日が休業)
営業時間:10:00-18:00
※営業日時が変更になる場合がございます。最新情報は公式Webサイト・SNSをご確認ください入場料:無料
会場:藝大アートプラザ(東京都台東区上野公園12-8 東京藝術大学美術学部構内)
公式Instagram:@geidai_art_plaza
公式X(Twitter):@artplaza_geidai
公式Threads:@geidai_art_plaza
長谷川 雅子
チップボール紙にビビッドな色彩を施し、ユーモアやアイロニーを織り交ぜた絵画を制作する。カストリ雑誌を模したシリーズには、共感や笑いを癒しへとつなげるまなざしが込められている。ドン・キホーテを題材とする本作では、妄執によって世界をゆがめ、染め上げていく主人公の行く先が、フルイドアートによる偶発的なマチエールで表現されている。
城田 崚吾
主に風景をモチーフに日本画を制作。今作ではシルクスクリーンで写真を取り込み、描画を加えている。日本美術の本質を踏まえ、工芸品や道具のような自然な佇まいの絵画を模索。描かれたイメージだけでなく、壁に掛けた際に作品が生み出す空間そのものにも着目している。
芹澤 美咲
画面の中からこちらを見つめる人物に、作者の感情や身体感覚が繊細に映し出されている。作品タイトルは制作当時の日記を読み返して付けられている。油絵の具の透明度に着目し、ガラス製パレットを用いて透明感あふれる色彩を生み出している。
鈴木 啓正
画面には水槽の景色が繊細に広がる。ガラスへの映り込みで、ひとつの対象が三つの像となり、キュビズム的な多視点の絵画空間を思わせる。作者は絵画に時間を閉じ込めたいと語り、水槽の中を泳ぐ金魚をドン・キホーテの冒険譚に重ねる。細部まで描かれた水中の景色を、金魚の目線で巡ってみたい。
須田 日菜子
作品タイトルには、支持体や描画材料、そして描かれたモチーフが並列して記されている。作者は「肉体と精神の狭間」をコンセプトに、スプレーが生み出す線のみで人体を描いてきた。絵画にまとわりつく意味や物語性を意図的に無効化し、物質としての絵画が持つ在り方や、描くという行為そのものに鋭くフォーカスしている。
奥山 鼓太郎
絵画の制作過程や資料・写真との関係性から制作を展開。現在は「見る」という行為そのものへの関心を深めている。「目線の先にある足」や「落ちる自身の影」といったモチーフを通じて、画家の視点や視座の在りかを提示する。これまで手を描いてきた作者にとって、足は物理的にも意識的にも遠い存在であり、その距離が視点の変化を示唆している。
内山 悠
日本の暮らしに根ざした「かざり」の思想と、サブカルチャーに影響を受けた世界観を陶磁土でかたちにする。「水は落ちてたまる」と題された本作では、青い陶器で神秘的な夜の景色を表現。森に囲まれた暮らしのなかで、水や月明かりへの感謝と、それらを表現したいという思いに気づいたと語る。身近なものと想像上の存在を並べる試みでもある。
高橋 星
工芸科で金属加飾を中心とした彫金を学ぶ作者は、言葉にできない感情や心の傷を作品に刻む。ガラスや細かく切り出した金属など、硬質な素材から繊細さを引き出し構成する。作ることは、自身の思いを消化し、受け入れる手段でもあると語る。初めて取り組んだパート・ド・ヴェールには、幻想が朽ちてゆくドン・キホーテの結末への静かなまなざしが込められている。
鈴木 友晴
主に木を素材に、モノや景色、現象までもコラージュし、混然一体となった風景彫刻を制作している。本作では、日々の散歩で目にする緑地の池を題材に、春先の泥の中で蠢く生命の気配をとらえている。作者は「なんだか分からない感じ」をそのまま立体として立ち上げることに、彫刻の面白さを見出している。
亀岡 信之助
金属やガラスの鋳造技法を用い、架空の秘薬瓶や薬草瓶を制作する。世界各地で神聖視される生物や装飾文様を細部に込め、フィクションと現実を融合させる。幼少期から印籠や根付に惹かれ、鋳造後に丹念な仕上げを施す過程に最も心が躍るという。素材の表情を引き出しながら、幻想的な造形世界を立ち上げている。
futaba
東京藝大で染織工芸を学び、シルクスクリーンでプリントしたオリジナルの生地から作品を制作。円や四角などの幾何学模様は、数学や物理の法則から着想を得たもので、世界がそれらの原理で成り立っていることへの驚きが根底にある。幾何学模様をまとった一連の作品を「神様のような存在」と作者は語る。ロシナンテとともに巨人に立ち向かうドン・キホーテの姿が、そこに重ねられている。
会期:2025年5月31日(土)〜7月13日(日)
定休日:月曜日(祝日の場合は営業、翌火曜日が休業)
営業時間:10:00-18:00
※営業日時が変更になる場合がございます。最新情報は公式Webサイト・SNSをご確認ください入場料:無料
会場:藝大アートプラザ(東京都台東区上野公園12-8 東京藝術大学美術学部構内)
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