ゴーフルが有名!「上野風月堂」のファンタジックな包装紙のひみつ

ライター
チヒロ(かもめと街)
関連タグ
上野 グルメ コラム 歴史

サクッと軽やかな、口当たりのよいゴーフル。

子どもの頃、家族が手土産にもらって帰るやいなや、我先にと箱を開けていたのを覚えています。

淡いベージュ色の、どこかノスタルジックかつモダンさを兼ね揃えたゴーフルは、東京土産として確固たる地位を獲得しています。そのゴーフルが銘菓の「上野風月堂」で、かつては和菓子を作っていたことを知る方は少ないかもしれません。

いつからか、こんなにファンタジックな乙女心溢れるデザインの包装紙が使われていたことも初めて知りました!

ゴーフルという銘菓が生まれた背景、包装紙のひみつ、そして時代の変化に合わせて進化し続ける「上野風月堂」に話を聞きました。

江戸時代に創業した上野風月堂

風月堂が誕生したのは、1747(延享4)年のこと。
初代の大住喜右衛門が大阪から江戸に下り、京橋で店を開いたのが始まりです。

江戸での評判が高まり、二代目の時代には「寛政の改革」で有名な松平定信から「風月堂」という屋号を賜ります。

明治時代初頭に入ると、五代目喜右衛門が洋菓子の製造を始めました。ビスケットやリキュール・ボンボンを製造していたと記録に残っています。

そして五代目の息子である省三郎が上野広小路に店を構えたのが、現在も続く「上野風月堂」の始まりでした。

昭和生まれのゴーフル

風月堂を代表する「ゴーフル」は、1929(昭和4)年に東京で誕生しました。明治時代から作っていた「カルルス煎餅」という炭酸煎餅で培われた、2枚の鉄板で生地を焼く「はさみ焼」の技術を生かして誕生したのが「ゴーフル」でした。

サクッとした食感と、ほんのり甘じょっぱさを感じるような生地にクリームを挟んだ懐かしさを感じる味わいが特徴で、口の中で溶ける軽やかな口あたりも魅力のひとつ。生地とクリームのバランスも絶妙で、甘すぎないところも後を引く美味しさです。

現在では、バニラ・ストロベリー・チョコレート3種類のクリームのほか、季節やイベントに合わせた限定も登場します。

春には桜、夏には日向夏、ハロウィンのパンプキンプリン、クリスマスのショートケーキと、多種多様なクリームが登場し、地域限定で加賀棒茶もあるのだとか!

森羅万象が描かれた包装紙のデザイン


「包む」ということは、贈る相手へのおもてなしが込められています。その思いを汲み取るのが包装紙の役目であり、デザインは重要な役目を背負っています。

上野風月堂の包装紙は、老舗洋菓子屋というイメージからは想像できないモダンなデザイン。2013年に紙袋や包装紙のデザインをリニューアルしました。

描かれているのは多様な世界が絡まり合ったひとつの空間。

さりげなく、「UENO-FUGETSUDO」や「OSUMI SHOTEN」のテキストやロゴもあちこちに散りばめられています。

あえて下絵を施さず、無我の境地で描き上げたとのこと。

作家名こそ非公表ですが、その作家のオリジナリティがふんだんに発揮された作品であることは間違いありません。

イメージソースはその作家が暮らす里山や、上野風月堂のすぐそばにある上野公園の自然からインスピレーションが湧いたのだとか。

「ゴーフル」と同じく上野風月堂を象徴する「東京カステラ」は、伝統の6面焼き製法で現在に至るまで職人がひとつひとつ焼き上げます。そんな手作業の素晴らしさが、この包装紙にも込められているようです。

伝統の味を守りつつ、新たな進化を遂げる上野風月堂。その歴史に思いを馳せながら味わってみませんか。

上野風月堂 基本情報

住所:東京都台東区上野1-20-10
電話:03-3831-3106
公式サイト:https://www.fugetsudo-ueno.co.jp

おすすめの記事