Making a gift into Art―アートをプレゼント 出品作家インタビュー 伊吾田道子さん

ライター
藝大アートプラザ
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インタビュー

作家として活動しながら、アートプラザのスタッフとしても仕事をしている伊吾田道子さん。大学・大学院と漆芸を専攻した後、彫刻の研究生になり、今回の展覧会にはテラコッタを出品しています。なぜ彫刻の分野に転向したのか、お話を伺ってきました。

学生時代は漆を専攻されていたのですよね?

学部と大学院は漆を専攻していました。当時も器ではなく、乾漆などで立体をつくっていたのですが、形を作ることで彫刻に対する密かな憧れがあったのだと思います。工芸科からすると、彫刻は力強く、空間や重量に対する意識もかっこよく見えていました。修了制作でも大きな乾漆像を作っていたのですが、そのうち思いがふくらんで形の勉強をしてみようと、大学院修了後に研究生という制度を利用して、2年ぐらい彫刻専攻のテラコッタの先生に教わりました。

今回の出品作品について教えてください。

鳥が飛んできて、少年に何かを告げているイメージでつくりました。イタリアの彫刻家のマルティーニの作品に、人と鳥をモチーフにしたものがあって、それを見ていいなと思ったのがきっかけです。ただ、ポーズははじめから頭に思い描いていたわけではなく、つくりながら、だんだんとイメージが固まってきました。

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伊吾田道子「知らせ」

テラコッタについて教えてください。

一般的な陶芸は粘土で成形して800度で焼いて、さらに釉薬をつけて1200度ぐらいの高い温度で焼き締めているのですが、テラコッタは粘土で形をつくって、800度で焼いて終わりです。そのままだとピンク色で味気なくなってしまうので、水彩絵の具で彩色しています。テラコッタはふんわりしているのが特徴で、色がかすれていたりすることも良さになります。

アートプラザの仕事の後に制作しているのですか?

休みの日や、仕事が終わって少し時間があるときに制作しています。

どのようなきっかけで美大を目指したのでしょうか。

中学校の担任の先生が美術の先生で、美大向けの予備校があることを教えてくれました。絵を描くことやものをつくるのが好きだったので、高校から予備校に通い始めて、美術の道に進みました。工芸を選んだのは、手先のしごとが好きだったことと、母が集める器やきれいなものを見るのが好きだったからです。そのときも彫刻と迷っていて、今思うとそれが頭の片隅に残っていたのかもしれません。工芸科で漆を専攻したのは、蒔絵などの平面表現もできて、乾漆ならば粘土で立体像をつくることもできるからという理由です。


●伊吾田道子プロフィール
1987年 神奈川県生まれ
2014年 東京藝術大学大学院美術研究科工芸専攻漆芸 修了
2014〜16年 同大学大学院美術研究科彫刻専攻研究生
受賞歴
2014年 メトロ文化財団賞「平成25年度東京藝術大学修了制作展」
個展
2016年 「想うかたち」ぎゃるりじん/神奈川
2017年 「記憶の中」ぎゃるりじん/神奈川


取材・文/藤田麻希 撮影/五十嵐美弥(小学館)

※掲載した作品は、実店舗における販売となりますので、売り切れの際はご容赦ください。

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