藝大、完全にジャングル化。企画展「GEIDAI ART JUNGLE returns 藝大密林化計画」後期

ライター
藝大アートプラザ編集部
関連タグ
作品紹介

2023年3月から5月にかけて前後期で開催される企画展「GEIDAI ART JUNGLE returns 藝大密林化計画」。

アーティストたちが創り出すさまざまな生き物たちで藝大アートプラザを「アートのジャングル」にしてしまおうという計画です。

4月22日(土)〜5月28日(日)は後期展示として12人のアーティストの作品を展示・販売しています。
この記事では後期展示の作品を、写真とともにご紹介します。

※コメントは、Web担当による解説です。
※並びは順不同です。
※写真にない作品もございます。ぜひ現地で全ての作品をご覧ください。


会期:2023年3月18日(土)〜5月28日(日)

後期:4月22日(土)〜5月28日(日)
前期:3月18日(土)〜4月16日(日)

営業時間:10:00〜17:00

定休日:月・火曜休 
※GWは営業。祝日・振替休日の場合は翌営業日が休業

入場料:無料

怪獣に秘められた二律背反

浅井拓馬
「小さい頃から怪獣が大好きで、自分なりのアプローチをしたい」と考える作者。怪獣は妖怪と同じようなものであり、加害性と被害性が交わる部分に強く惹かれると話す。そうした二律背反的な存在をドローイングによって表現し、人々が認識することは、「ある価値観や世界がこの世にあることを忘れないための、メモのようなものである」。


1990  茨城県生まれ
2014  東京藝術大学美術学部彫刻科卒業
2014  三菱地所賞
2015  第2回CAF賞 岩渕貞哉賞(審査員特別賞)
2016  東京藝術大学大学院彫刻専攻修了
2017  個展 1000億兆7百千万10兆1102年と半年(東京)
2020  映画『ネズラ1964』美術、造形
2021 月刊ホビージャパン H.M.S.2月号で参加
2022 個展 KAIJU drawing(群馬)
2023  映画『HOSHI35/ホシクズ』怪獣デザイン、造形

どことなく漂う違和感

内田 早紀
可愛げでありながら、どことなく気味悪さや違和感を漂わせる立体作品の数々。作者にとってジャングルとは「人間の手に負えない爆発的なエネルギー」であり「頭の中のようで、決まったものを見つけ出すのは難しい」ものであるという。


2021   東京藝術大学油画専攻 卒業
2021  グループ展『Face2021』(SONPO美術館・新宿)
2021  グループ展『TOKYO ART AWARD』(新丸ビル・丸の内)
2022  個展『かくれんぼする小さな夢』(三菱一号館記念資料室・丸の内)
2022  演奏会『はっぱのさざなみ もりのうみ』(森の小屋・伊豆高原)

死と生を行き来する感覚

柿坪 満実子
数年前に自らの作品が何者かに破壊されてしまった経験から、壊れやすいテラコッタの体を綿と布で包み、保護することをテーマにし始めたという。それらでテラコッタの形を覆うことは「骨に肉と皮膚を重ねて死と生を行き来するような感覚」と作者は話す。


1993 東京都生まれ
2019 「東京藝術大学久米桂一郎賞」受賞
2021 第24回グラフィック「1_WALL」ファイナリスト
2022 個展「面影を置く」 galleryBLUE3143 /東京
「Platform29.8」 ANB Tokyo /東京
2022 「コミテコルベールアワード2022」 グランプリ
2023 「今や光にすかしても」 roll /東京
     東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻 修了
    同大学彫刻科教育研究助手

木への弔い

黒瀧 舞衣
木を切るということは生物の時間を分断することであり、切り出した部分を積み重ねて作品とし、終わりのない時間を表現することで、木への「弔い」になると作家は考える。「積み木で遊ぶような手法でいろいろな木を積み重ねたり、崩したりを何度も繰り返してつくりました」。


1995  北海道出身
2023  東京藝術大学 博士課程美術研究科彫刻専攻 在籍
2021  武蔵野美術大学卒業・修了制作展 優秀賞
2021  クマ財団 クリエイター奨学金5期生
2021  彫刻と家 旧平櫛田中邸

曖昧になる虚構と現実の境目

鈴木 啓正
新型コロナウイルスのロックダウン期間中、さまざまな映像作品を鑑賞していたという作者。画面越しに見る虚構の風景と現実世界との境界が曖昧(あいまい)になる感覚を、油彩で表現した。作品のモチーフになっている植物が絵画の横に展示されており、虚構と現実の境界線を、観る人にも問うている。


1981 静岡県生まれ
2008 東京藝術大学大学院美術研究科 修了
2022 第7回星乃珈琲店絵画コンテスト 優秀賞受賞

鳥を愛する作者による彫刻表現

長久保 華子
漆芸のようにも見えるが、作品はいずれも木彫に岩絵具で着色したもの。微細な羽の表現は、自らも文鳥を飼い、鳥を愛する作者による高い技術力と表現力による。「目を奪われ、いろいろなことを忘れる瞬間が、人の癒しになるのでは」。


1988  東京都大田区生まれ
2010  東京藝術大学 美術学部 工芸科入学
2014  東京藝術大学 美術学部 工芸科 漆芸専攻 卒業
2016  東京藝術大学大学院美術研究科 彫刻専攻 卒業

形態や色彩に「ノイズ」を施す

額賀 苑子
見る角度によってゆがんでいるように見えるこの作品は、立体としてはおぼつかない形態をしている。あえて形態や表面の色彩に「ノイズ」を施すことで、「そこにありながらも遠いような存在」を目指している。立体でゆがみが表現できるのは、作者の高い技術力を示してもいる。


1989  神奈川県生まれ
2013  東京藝術大学美術学部彫刻科卒業
2015  東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修士課程卒業

ペガサスと絵画の結びつき

平入 裕佳子
ペガサスと絵画に強い結びつきを感じている作者。ただし、作者が一番に見せたいものは「ペガサス/馬」ではなく、「その世界観」であり「心の世界の景色や空気」なのだという。展示の中心となる作品は、大きさに限界のある銅版画を、ペインティングとともに組み合わせたもの。


2000 静岡県生まれ
2018 東京藝術大学油画専攻 入学(’22年卒業)
2018 ACTアートアワード入選展示
2018 上野ステーションギャラリー展示
2020 グループ展「二十歳展」 静岡
2022 池袋アートギャザリング入選展示
2022 KENZAN 展示、村越画廊賞受賞
2022 いい芽ふくら芽in名古屋
2023 いい芽ふくら芽選抜展in銀座
2023 KOWAII展

コミュニケーションを生む「楽しい器」

保坂 朱音
作品は陶器でできた楽器になっており、振ったり叩いたり吹いたりすることで、素朴で楽しげな音を奏でる。作品を通して人とコミュニケーションを取ること、コミュニケーションツールとしての作品づくりをテーマにしている作者にとって、楽器は文字通り「楽しむ器」なのだという。


1997 栃木県鹿沼市生まれ
2021 東京藝術大学 美術学部 工芸科 陶芸専攻 卒業
2023 東京藝術大学大学院 美術研究科 芸術学専攻 美術教育 修了
2023 鹿沼版地域おこし協力隊 着任

日本画と版画の技法を融合

真鍋 由伽子
日本画を専攻した後、藝大大学院で版画を専攻。少し珍しい経歴をもとに、日本画と版画の技法を用いた日常と空想の境目を描いている。作家はそうした技法によって、「言葉では表すことのできない物事」を表現するとともに、新鮮さと独特の緊張感を感じると語る。


1994   東京生まれ
2022  東京藝術大学美術学部 油画専攻版画第一研究室 修了

2015  「ジ・アートフェア:プリュスウルトラ」スパイラルガーデン、東京
2017  個展「たたずむあの人」新宿伊勢丹本店、東京
2018  「ART FAIR TOKYO」東京国際フォーラム、東京
2022  「積水ハウスミーツアーティスト」SUMUFUMUテラス南青山、東京
2022  「アートオリンピア2022」銅賞受賞

恐竜を日本画で描く

水島 篤
恐竜というモチーフを日本画の技法によって岩絵具を用いて表現している作者。未知の部分や謎が多く残るからこそ、作品に想像を込められるという。日本画の定番である花鳥風月の描き方が、恐竜を取り巻く草花や雲の表現に見て取れる。


1990  東京都町田市生まれ
2019  東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻卒業
2021 「水島篤日本画展」福岡三越
「日本画6人展」アートスペース羅針盤
「第三回日本画恐竜展」ギャラリー路草
「4人展-記憶の邂逅-」耀画廊
2022 「日本画と恐竜展 福井県勝山市展」中上邸イソザキホール
「深海・古代生物展II」芝田町画廊
「水島篤日本画展」銀座三越
2023  「アートコレクション」小田急町田百貨店

ONE PIECE 20th×京都「京都麦わら道中記~もう一つのワノ国~」作画参加、掛け軸制作
「プラチナアート大賞展」ホルベイン賞

金属が姿を変えること=命の創造

水代 達史
金属を素材に、彫金の技法で作品を制作している。彫金技法は金工技法の中でも装飾・加飾を専門とする分野であり、本展への出品作にも作家の「装飾性」への追求が見て取れる。「平らな金属の板が手を加えることで有機的な形へと変容し、自身の制作対象とする生き物の形へと形成されていく様子は命を創造していく感覚に似た愉しさを感じます」。

1982 千葉県生まれ
2011 東京藝術大学大学院美術研究科彫金修了
2015 東京藝術大学工芸科彫金研究室非常勤講師
現在 金沢美術工芸大学工芸科准教授

2009 原田賞・台東区長奨励賞受賞
2010 Via Art 2010 審査員池内努賞受賞
2019 淡水扇賞優秀賞受賞
2020 宗桂会大賞受賞
2022 個展(galleria PONTE) 他展示多数

出展作家と会期

▼前期
須澤芽生/瀬戸優/福本健一郎/岩澤慶典/長谷川有里/樋口亜弥
渡邉渓/松下大一/浅野井春奈/勝川夏樹/色川美江/水代達史

▼後期
平入裕佳子/浅井拓馬 /内田早紀/水島篤/長久保華子/真鍋由伽子
保坂朱音/額賀苑子/黒瀧舞衣/柿坪満実子/鈴木啓正

公式Instagram:https://www.instagram.com/geidai_art_plaza
公式Twitter:https://twitter.com/artplaza_geidai

会期:2023年3月18日(土)〜5月28日(日)

前期:3月18日(土)〜4月16日(日)
後期:4月22日(土)〜5月28日(日)

営業時間:10:00〜17:00

定休日:月・火曜休 
※GWは営業。祝日・振替休日の場合は翌営業日が休業

入場料:無料

写真撮影: 今井裕治

おすすめの記事