神を藝術によって表す。企画展「藝大神話ーGEISHIN」前期

ライター
藝大アートプラザ編集部
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作品紹介

2023年6月3日(土)から7月23日(日)にかけて前後期で開催される企画展「藝大神話ーGEISHIN」。

神話をモチーフにした創作、神そのものを表現した作品、神の存在への問いかけ、世界、宇宙——。藝大アーティストたちによってさまざまな視点で紡がれた神々の物語を堪能できる企画展です。

2023年6月3日(土)〜6月25日(日)は前期展示として9人のアーティストの作品を展示・販売しています。

この記事ではそれらの作品を写真とともにご紹介します。

会期:2023年6月3日(土)〜7月23日(日)

前期:2023年6月3日(土)〜6月25日(日)
後期:2023年7月1日(土)〜7月23日(日)

営業時間:10:00〜18:00

定休日:月・火曜休 
※祝日・振替休日の場合は翌営業日が休業
※展示入れ替えのため 6月26日(月)-30日(金)が休業

入場料:無料

※コメントは、Web担当による解説です。
※並びは順不同です。
※写真にない作品もございます。ぜひ現地で全ての作品をご覧ください。

石の中に「かたち」が見える

池田 浩樹
石の原石を見て、見えたかたちを感覚的に彫り進めていく。「なぜ自分がそのようなことを続けているのかは、正直はっきりとはわからないのですが、その先にあるものに興味があるのだと思う」と作家は語る。


1989年 大分県大分市生まれ
2013年 多摩美術大学美術学部彫刻学科卒業
2014年 第12回 大分アジア彫刻展 入選
2015年 東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修士課程修了
2015年 第9回 荒川区長賞 受賞
2016年 第13回 大分アジア彫刻展 優秀賞受賞
2022年 第16回 大分アジア彫刻展 入選
2023年 グループ展「神田ラ淀屋橋」出展

現代版の曼荼羅

岩田 駿一
神話というテーマでの作品制作に当たり、身近なエリアを歩いて回ったという作者。神社やカレー店から「神アイドル」「ムラ神ホームラン」といった言葉からもインスピレーションを得たという。そうした観点から生まれたのが、現代版の曼荼羅と一連の作品。

1990年 千葉県出身
2015年 武蔵野美術大学油絵科版画専攻 卒業
2018年 東京藝術大学大学院油画科版画専攻 修了

この世とあの世の境にある「水」

岡 ともみ
時間・記憶・反転・光と影をキーワードに、「小さなモニュメント」をつくることをテーマに制作している作者。この世とあの世の境界にある存在として「水」を捉え、水滴が「黄昏時(誰そ彼時)」の光に当たり、地面に落ちる直前の様子を捉えようとしている。


2018年 「東京藝術大学卒業・修了展」 買い上げ賞
2018年 個展「どこにもいけないドア」(art space kimura ASK?P/東京)
2019年 ベルリン芸術大学 留学
2022年 個展「誰そ彼時の部屋」(art space kimura ASK?P/東京)
2022年 「東京藝術大学卒業・修了展」三菱地所賞
2022年 「第16回shiseido art egg」入選
2022年 個展「岡ともみ展 サカサゴト」(SHISEIDO GALLERY/東京)
2023年 「清流の国ぎふArt Award IN THE CUBE」入選
2023年 「学生CGアワード2023」優秀賞GOLD

形のないものを彫刻で表現する

小野 貴登司
形のないものを彫刻で表現したいというのが、自身の製作動機だと作者は語る。炎や雷、波や風動などの現象をモチーフにした作品を制作している。2次元では珍しくないモチーフながら、立体としてはかたちにするのが非常に難しくなる。この作品は炎と雷(いかづち)をモチーフにしたもの。


1980年 岡山県倉敷市生まれ
2003年 奈良教育大学文化財コース卒業
2004年 富山県伝統産業 井波彫刻在籍
2014年 東京藝術大学大学院美術研究科文化財保存学保存修復(彫刻)修士課程修了
2017年 同博士課程修了 博士号取得

2008年 南砺市美術展彫刻部門大賞受賞
2009年 新生展入選
2014年 お仏壇のはせがわ賞受賞
2018年 株式会社TERUMO Arts& Crafts 助成金

ボッティチェッリを墨で

香久山 雨
ルネサンス期のイタリア・フィレンツェ生まれの画家、ボッティチェッリの「プリマヴェーラ」をモチーフに、墨だけで描いた作品。自身の生い立ちと密に関係しているキリスト教美術を、日本土着の和紙と墨で描き出すことが、作者の核となっている。


1989年 東京生まれ
2023年 香久山雨 個展 (銀座奥野ビル ギャラリー巷房)
2021年 香久山雨 個展 (銀座奥野ビル ギャラリー巷房)

主なグループ展
2019年 美学校 超・日本画ゼミ 修了展 (アートコンプレックスセンター)
2018年 美学校 超・日本画ゼミ 修了展 (ギャラリー蔵)
2016年 “Group Show~Sommes-nous heureux?” (バンビナートギャラリー)
2013年 東京芸術大学卒業制作展 (東京都美術館)

「イケメン仏画」

木村 了子
油画の出身ながら、日本画に転向したキャリアを持つ。「美人画」と聞いたとき、多くの人がすぐに女性を思い浮かべることに疑問を持ち、「イケメン仏画」の制作を始めたという。聖と性、双方の美で魅了するイケメン美神を描くことで、自らも「救われたい」と願い、作者は描く。


2016-17年 「今様-IMAYŌ: JAPAN’S NEW TRADITIONISTS」
      (ホノルル美術館 ハワイ大学マノア校 ハワイ USA、松濤美術館 東京)
2016-17年 「西遊誌-Asian contemporary Scene Part I」(芸倉美術館 Modern Art Museum 上海)
2018年   個展「多情仏心」(京都場 京都)
2019年  「国上寺本堂壁画披露 イケメン偉人官能絵巻」(国上寺 新潟)
2019-20年 「数寄景/NEW VIEW 日本を継ぐ, 現代アートのいま」
      (梅田阪急、三菱地所アルティアム、福岡三越、日本橋三越本店)
2021年  個展「楽園-PARADISE21」(DUB GALLERY AKIHABARA 東京)
  「美男におわす」(埼玉近代美術館、島根石見美術館)
 「FEMINISMS」(金沢21世紀美術館)
  「日本画のゆくえ」(栃木県立美術館)
2022年  キュレーション「NUDE礼賛礼賛ーおとこのからだ」
      (DUB GALLERY AKIHABARA 東京)

乾漆と螺鈿の技法を用いて

佐野 圭亮
日本の伝統的工芸技法である乾漆と螺鈿を用いた作品。乾漆は通常、各工程を分業で行うが、作者はすべての作業を一貫して行い、漆を用いたものとしては異例の大きさの胸像を半年近くかけて制作した。対になる作品として酒器が並ぶところも興味深い。


1994年 群馬県高崎市生まれ
2020年 東京芸術大学大学院修了
2017年 第65 回東京芸術大学卒業・修了作品展荒川区長賞
  第6回そば猪口アート公募展 特別賞
2018年 東京芸術大学安宅賞
  第54回神奈川県美術展工芸部門 大賞
  第7回そば猪口アート公募展 大賞
  2018 伊丹国際クラフト展 奨励賞(老松賞)
  AAC2018(Art meets architecture competition) 優秀賞
2020年 三菱地所 三菱地所賞
  日本漆工協会 漆工奨学賞
  東京藝術大学 杜賞 

2022年 第9回日展 新入選

影を描くことで浮かび上がる女性像

ザキール・サラム
頭の中に思い浮かべたイメージを、対象物そのものを描くのではなく、その影を描くことで浮かび上がらせる。作者はそうした試みによって、女性の力強い精神を描き出す。バングラディシュでファインアートを学び、現在は藝大油画技法材料研究室で研究者として勤める。


2000年 B,F,A Institute of Fine Art University of Dhaka Bangladesh(大学学部)卒業
2002年 M,F,A Institute of Fine Art University of Dhaka Bangladesh(修士課程)修了
2010年 東京藝術大学美術学部油画技法材料研究室研究生
2012年 東京藝術大学美術学部油画技法材料研究室修士課程 修了
2013年 東京藝術大学美術学部油画技法材料研究室研究者
受賞歴
2005年 PRIME MINISTER GOLD MEDAL AWARD(学部卒業制作首相賞), For Recognition
of excellent result in B.F.A. (Hon`s), Faculty of Institute of Fine Art, University of Dhaka.
From Bangladesh University Grand’s Commission.
2009年 文部科学省 奨学生
2015年 一般社団法人日本画院 佳作賞受賞 東京都美術館にて展示

立体から平面へ、そしてまた立体へ

塩出 麻美
立体を描いた二次元の作品を、三次元にすることは出来ないのか。そうした問題意識から、アクリル絵の具を盛り上げて描いた静物画に網や目の粗い布を押し付け、ところてんのように表面に浮き出てきたアクリル絵の具によって作品を構成している。静物画はセザンヌがモチーフになっている。


愛媛県生まれ
2016年 「Phase Transition – Existence of ON and OFF」gallery2 (バングラデシュ・ダッカ)
2017年 「東京藝術大学修了展」杜賞・帝京大学買い上げ賞
2017年 NAU美術連立展奨励賞
個展など
2017年 「シオデノミ4」Gallery b. Tokyo(東京 京橋)
2019年 「ある部屋」  奥野ビル306プロジェクト (東京 銀座)
2019年 「中之条ビエンナーレ」五反田学校 (群馬 中之条町)
2019年 株式会社モリモト(コーポレートコレクション)
2018年,2021年,2022年 「アートフェア東京2022」東京国際フォーラム (東京 有楽町)
2023年 「ARTISTS’ FAIR KYOTO」京都文化博物館(京都 中京区)

出展作家と会期

▼前期
池田 浩樹
岩田 駿一
岡 ともみ
小野 貴登司
香久山 雨
木村 了子
佐野 圭亮
ザキール・サラム
塩出 麻美

公式Instagram:https://www.instagram.com/geidai_art_plaza
公式Twitter:https://twitter.com/artplaza_geidai

会期:2023年6月3日(土)〜7月23日(日)

前期:2023年6月3日(土)〜6月25日(日)
後期:2023年7月1日(土)〜7月23日(日)

営業時間:10:00〜18:00

定休日:月・火曜休 
※祝日・振替休日の場合は翌営業日が休業
※展示入れ替えのため 6月26日(月)-30日(金)が休業

入場料:無料


写真撮影: 今井裕治

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