COLUMN & INTERVIEW コラム&インタビュー

アートプラザ受賞者招待展 出品作家インタビュー その3 大島利佳さん(デザイン科3年生)

2018/09/21 インタビュー

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デザイン科現役学生の大島利佳さん。彼女の描く少女たちは、特別なことをしているわけではありませんが、そのなんとも言えない表情、日本画とも洋画とも言えない独特の描法と相まって不思議な魅力を発します。今回の出品作について、そしてここまでの道のりについて伺いました。

――今回、「アートプラザ受賞者招待展」に出品される新作は、女の子がモチーフになっていますね。このようなシリーズは、何がきっかけで描くようになったのですか。

もともと手を描くことが多かったんです。単なるきれいな手ではなく、表情とか、シワが寄っているような肉感が好きで描いていました。でも、デザイン科を受験する頃に、先輩の加藤ゆわさんの人物画を見て、それがすごく素敵で、それがきっかけで、私も人物画を描くようになりました。一昨年(2016年)、学部1年生のときにアートプラザ大賞展に出してからは、女の子を描くようになって、それからずっと描いています。

int_ohshima_zeitaku.jpg大島利佳「ぜいたく」

――モデルはいるのでしょうか。

描かれている女の子は、幼い設定なのですが、実際には自分をモデルにしています。ですので、自分に少し似てしまうのですけれども、自画像というつもりはありません。どちらかというと、表情が描きたいと思っていますね。特別なことが起きているわけではない、日常風景のシーンを切り取った絵が一番描きたいです。

――「画材はどのようなものを使っているのでしょうか。

だいたいはアクリル(絵の具)で描いていますが、赤みがかったような、ピンクがかった部分は、日本画の染料である水干(すいひ)を使っています。唇は、岩絵具を使って赤くしています。ハンコも自分でデータを作って彫ってもらったものを捺しています。和風に描くことが多いので、相性が良いです。

――和風が好きなのですか。

いま流行っているモチーフにほとんど興味がなくて、昭和レトロぽいイメージのものが好きだったので、そういったものを選んで描いています。大学の課題で、新しい和柄を作ったこともあります。学部1年生のときにも、今の日本画材の使い方ってなんだろうと思って、ドールハウスと胡粉を併用した、和洋折衷なものを作りました。

int_ohshima_shinken.jpg大島利佳「しんけん」

――今回の作品で、とくに苦労したことはありますか。

髪の毛には線を引いているのですが、それ以外については線描、つまり輪郭線をなくしています。以前は線を描いていたのですけれども、肉感ややわらかい表情を描きたいと考えたとき、線を邪魔に思うようになり、描かなくなりました。でも、遠目だと境が見えづらかったりしますので、その調整などに苦労しています。あと、やわらかい髪の毛に見えるように、7色くらいの色でグラデーションを作り、そこにプラモデル用の筆を使って、なるべく細い線を引けるようにしています。

int_ohshima_munemofuku.jpg大島利佳「胸もふくらむ」

――絵を描くようになったきっかけを教えてください。

両親が、小さな頃からやりたいことをやってほしいという方針を持っていて、小学校2年生くらいから小学校が終わるまで、週1回、絵画教室に通っていました。それで楽しいなと思ったのが絵との出会いです。

大学受験するときは、栄養学を学べる大学に行こうかと考えていて、迷っていました。ただ、勉強をしていくよりかは、描いて自己表現している方が自分には向いているなと思ったんです。将来自分が仕事として携わっていくうえで、やはり楽しくなければ続けられないだろう、だとしたら美術に関わりたいと思って美大受験を選びました。

int_ohshima_odekakewo.jpg大島利佳「おでかけを」

――デザイン科で絵画を描いている人はさほど多くないと思うのですが、もともとデザイン科に入りたくて受験したのですか。

美術に関わって就職したいという気持ちがあったので、仕事として美術に携わりやすいデザイン科の受験対策を始めました。ただ、受験対策で絵の具を使っているうちに、やっぱり絵が好きだなという気持ちが湧いてきました。そう考えた時、デザイン科でも大学院で、絵を描く人たち集まっている描画装飾研究室というところがあることを知りました。そこの出身の作家さんがさきほど話に出た加藤ゆわさんで、他にも好きな作家さんがたくさんいたので、ここなら私を受け入れてもらえるなと思って、日本画科などには変えずに受験しました。結果的に相性はよかったのかなと思っています。

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――今後もデザインではなく、絵の道に進む予定ですか。

今後も絵は描き続けていきたいです。親からは一度社会に出なさい、と言われていたので、迷っていたのですけれども、最近、ずっと絵を描き続けていたら認めてくれました。デザイン科の同級生はみんな就職していってしまうと思うので、今のうちから頑張って追い抜かされないようにしたいと思っています。

●大島利佳プロフィール
1995年  埼玉県生まれ
2018年現在  東京藝術大学デザイン科学部3年在学

受賞歴
2016年  KENZAN2016 カジキ美術賞受賞
2016年  第11回藝大アートプラザ大賞 準大賞受賞
2017年  IAG AWARDS 2017 B-gallery賞受賞
2017年  第12回藝大アートプラザ大賞 入選
2018年  美術新人賞デビュー2018 グランプリ受賞

取材・文/藤田麻希 撮影/五十嵐美弥(小学館)

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