COLUMN & INTERVIEW コラム&インタビュー

第15回藝大アートプラザ大賞展受賞作家インタビュー 城山みなみさん(大学院美術研究科修士課程工芸専攻鋳金2年)

2021/03/03 インタビュー

ゲスト審査員賞を受賞した、城山みなみさんの「Seasonal Blocks」は、オリジナルのつみきです。箱にイチョウの葉のような形をしたカラフルなブロックが2組(48個)収められており、自由に組み合わせて、立体や平面などさまざまな形をつくって遊ぶことができます。これまで制作してきた作品や、留学の経験について伺いながら、鋳金専攻の城山さんが、なぜこの作品を作ったのか紐解いていきます。

「Seasonal Blocks」は、どのようなきっかけで誕生したものですか。

本作品はドイツ留学中に作りました。Design of Playing and Learning(学びと遊びのデザイン)学科に交換留学した際の課題が、Vom Stapeln und Stecken(積み重ねと差し込みから)という「つみき」の課題でした。課題中は制作が間に合わず秋色ヴァージョンしかできませんでした。悔しかったので後に改良し、四季の色にしてパターンブックを加え「Seasonal Blocks」が完成しました。


城山みなみ「Seasonal Blocks」

どのようなコンセプトで制作したのでしょうか。

わたしたちは遊びながら、勝手に多くのことを考え学ぶことができます。本作品は、伝統的な和柄からインスピレーションを受けて制作した春・夏・秋・冬の季節をテーマとしたつみきです。基本的な形は銀杏の葉のように見え、積み上げて遊べるだけでなく、組み合わせて模様を作って遊ぶこともでき、様々な表現をすることができます。つみきを通して、遊びの大切さや素晴らしさを再認識してもらいたいと思います。

丸や四角など通常の積み木の形ではなく、いちょうの葉のような形のブロックにした理由はありますか。

伝統的な和柄の青海波(同心の半円形を重ねて波を表した文様)をモチーフとしているため、このような形になりました。

ブロックの形は複数種類あった方が作ることのできる形の幅は広がりそうですが、あえて1種類に絞った意図はありますか。

もちろんブロックの形の種類が多い方が作れる形の幅は広がるかもしれません。しかし、このシンプルな形は可能性を秘めています。付属のパターンブックに描かれているように模様を作ることができますし、立体に組み上げることもできます。遊ぶ人の工夫次第で、様々な形にできるところが魅力的だと思っています。


城山みなみ「Seasonal Blocks」。遊び方の例。


城山みなみ「Seasonal Blocks」。遊び方の例。


城山みなみ「Seasonal Blocks」。遊び方の例。

とくに工夫したところ、苦労したところはございますか。

一枚板だと仕上がりも綺麗なのですが、作る時の手間がかかり値段が跳ね上がってしまいます。今回は、量産してこの形がたくさん集まった時にどのように遊べるかを重点的に考えたかったので、ブナのMDF(木材のチップを繊維化して加工した板の一種)を用い、レーザーカッターを使用しました。ブナの木はつみきによく用いられていて、つみき同士をぶつけたときや積み上げていて崩れてしまったときの音が綺麗です。つみきなので、塗料は子どもにとって安全なものを使用しています。

対象年齢は何歳ぐらいでしょうか。

2~3歳でも遊べるとは思いますが、念のため4歳からと想定しています。

パターンブックが付いていたり、ロゴが作られていたり、1点ものの作品というよりも、製品化を前提としたつくりだと感じました。

ギャラリーに置く作品なので誰かに買っていただくことを前提としました。自分が買うのであれば、箱まできちんとしたものがいいと思ったのでロゴを作り、パターンブックは遊ぶ時のヒントとなるように作りました。実はパソコンがあまり得意ではないので、良い機会だと思いロゴもパターンブックも自分の勉強のために作りました。

この作品を賞に推挙したNHKの倉森京子さんは、「Seasonal」というタイトルから、ゆくゆくは現状の色の組み合わせとは違うヴァージョンのブロックに展開できるように思い、その広がりに惹かれたとおっしゃっていました。そのような展開は考えていらっしゃいますか。

倉森京子さんに選んでいただき大変嬉しく思っています。今回は12色で四季を表現しましたが倉森さんのおっしゃっている通り、別の色で展開しても素敵になりそうな予感がするので今後検討したいと思います。また、今回モチーフとした青海波以外にも伝統的な和柄はたくさんあるので、別の柄でもつみきを作ってみたいです。

倉森さんは、バウハウスのブロックを想起したとおっしゃっていましたが、そのようなものは意識しましたか。

本作品において特にバウハウスを意識したということはないです。それよりもヨーロッパのつみきが好きで日頃たくさん見ているので、その影響はあるかと思います。

鋳金の専攻でいらっしゃいますが、普段から木工の作品を作っているのでしょうか。

コンセプトに合わせて素材を変えて作品を作っています。今回のように木を用いることもありますし、過去には和三盆(砂糖)で作品を作ったこともあります。鋳金専攻というこだわりはあまりないです。

受賞作のほかには、どのような作品を作っているのでしょうか。

最近は他者と関わって展開する作品を作っています。修了作品はつみきをモチーフに遊べるものを制作しました。鋳造したアルミのキューブが重いため1人では上手く遊べず、自然とコミュニケーションが生まれます。遊び方は他者に委ねられており、形態が毎回変化していく作品になっています。YouTubeに動画をあげていますので良かったら見てください。


城山さんの修了作品「Pixelated Landscape」。穴の空いたブロックと棒を使って、鑑賞者が自由に組み立てていく。


組み上げた作品の一例。


組み上げた作品の一例。

ところで、なぜ美大・藝大を目指したのでしょうか。

子供の頃から絵を描くより、ものづくりの方が好きでした。幼稚園~小6までアトリエ教室に通っていました。一応課題はあるのですが、集中してさっさと終わらせて、みんなと遊んだりおやつを食べたりすることも好きでした。とても自由な習い事で毎週金曜日が楽しみでしたね。そのアトリエの先生は今でも恩師です。 その後、高校生になって、美大か一般大学かどちらに進学するか悩んだ時に、美術の先生から「あなたは藝大行きなさい」と言われて、それから藝大を意識するようになりました。

なぜ工芸のなかの鋳金を選んだのでしょうか。どのようなところが鋳金の魅力ですか。

自分で作った形が、そのままの表情で金属に置き換わるところが魅力的だと思い、選びました。今は研究室の雰囲気や、一人で行う作業とみんなで行う作業の絶妙なバランス感が好きです。鋳金は大きな作品になる程一人でできない作業が多いです。特に吹き(金属を溶かして鋳型に流す作業)の日は同じ研究室の友人に手伝ってもらいます。研究室ではそれが当たり前なので、みんな嫌な顔一つせずにお互いに助け合いますが、その作業が終わったらお疲れさま~と言ってパッと自分一人の作業に戻ります。マニアックかもしれませんがその瞬間が結構好きです。

ドイツ留学はどのような経験だったのでしょうか。

いい経験でした。話すと長くなるので一言で言うと、挑戦した期間です。また留学したいですね。

今後の目標や野望があったら教えてください。

ゆくゆくはまた海外で暮らしたいです。もちろん、ものづくりが続けられればベストです。

●城山みなみプロフィール

1993 年  東京都生まれ
2017 東京藝術大学美術学部工芸科 卒業
卒業制作 東京都知事賞受賞
2018 ハレ・ブルグ・ギービヒェンシュタイン芸術大学(ドイツ)交換留学
2019 ミュンヘン美術院(ドイツ) 研究生
2020 一般財団法人佐々木泰樹育英会 奨学生
2021 東京藝術大学大学院美術研究科工芸専攻鋳金 修了
修了制作 三菱地所賞受賞


取材/藤田麻希 写真/作家提供(2枚目のみ撮影/五十嵐美弥[小学館])

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