「はじめてのアート」に最高の作品たち。企画展「Made in Art」出展作家を紹介

ライター
藝大アートプラザ編集部
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作品紹介

2023年12月2日(土)- 2024年1月21日(日)にかけて開催される企画展「Made in Art」。

テーマは「マイ・ファースト・アート」。今回、藝大アートプラザでは「はじめてのアートを買う!」をコンセプトに、平面・立体さまざまな作品を展示・販売します。

藝大アートプラザは、東京国立博物館や、東京都美術館、藝大美術館などさまざまな美術館に隣接し、あわせて立ち寄る方が多くいらっしゃいます。ただ、アートに関心はあるけれど、まだ現代の作家のアート作品を購入した経験がない方が多いのが現状。

アートを購入し飾る楽しみ」を体験いただけるような企画展に、ぜひお越しください。

この記事では出展作家について作品の写真とともにご紹介します。

※コメントは、Web担当による解説です。
※並びは展示風景のおおよその順路に従っています。
※写真にない作品もございます。ぜひ現地で全ての作品をご覧ください。

会期:2023年12月2日(土)- 2024年1月21日(日)

定休日:月・火曜休 
※祝日・振替休日の場合は翌営業日が休業
※展示入れ替えのため23日(月)〜27日(金)は休業

入場料:無料

公式Instagram:https://www.instagram.com/geidai_art_plaza
公式X(旧Twitter):https://twitter.com/artplaza_geidai

見たことがないけれど、共感できる

たかすぎ るな。
東京藝術大学デザイン科卒業。私たちが社会生活に勤しむうちに擦り切れていったり思想が小難しくなっていって忘れてしまう小さな心の動きや想像力があると思っています。それを制作で掬い上げることにより素朴であり同時に大きな存在である「愛」とはどんなものなのかを探究したくて制作しています。(作家コメント)


1997   神奈川県生まれ
2021   松坂屋上野店×藝大デザイン科イラスト・絵画コンペ グランプリ
2021   IAG AWARDS 池袋アートギャザリング B-gallery賞
2021   藝大アートフェス2021 アート・ルネッサンス賞
2022   東京藝術大学卒展 デザイン賞
2022   初個展~月からの手紙~ B-gallery
2022   KENZAN2022 C-DEPOT賞
2023   いい芽ふくら芽in TOKYO グランプリ
2023   IAG AWARDS 池袋アートギャザリング ターナー賞 WACCA IKEBUKURO賞
2023   第二回個展~無意識の旅~ B-gallery

活版印刷のアーティストが手掛ける

猪飼 俊介
ロンドン芸術大学出身。現在東京藝学デザイン科でテクニカルインストラクターを勤めており、普段は活版印刷を用いた作品を手掛けている。本展に出品の作品は、「引かれ合う木」がテーマ。流木をはじめとして、自然界にあるもので厳密に同じものは一つもなく、それは活版印刷も同じだと作家は語る。作家への詳しいインタビュー記事を藝大アートプラザのウェブメディアで公開中。

1982 東京生まれ
2008 ロンドン芸術大学卒業
2009 Kaikai Kiki デザイナー / ADを経てデザイン会社アルバトロデザイン設立
2015 デザイン振興会, ASEAN JAPAN主催 グッドデザイン賞
   メコンデザインセレクション受賞
2016 東京藝術大学 デザイン科 非常勤講師(現テクニカルインストラクター)就任

不思議に驚嘆する感性を

田羅 義史
藝大大学院デザイン専攻修了。普段の暮らしが便利になる一方、忙しくなる現代の矛盾を材料に違和感を形にしている。「常識を身につけるにつれ生きることに慣れるごとに不思議に感じ、興味を惹かれる感覚は鈍ってしまう。体験を通じて、不思議さに驚嘆する感性を思い出すきっかけとなることを願います」


1994  静岡生まれ   福岡・熊本・埼玉・広島で育つ。
2017  武蔵野美術大学 空間演出デザイン学科 卒業
2018  東京藝術大学  空間演出研究室 修士課程修了
2019  東京藝術大学  デザイン科 教育研究助手 (4年)
2023  横浜美術大学  プロダクトデザインコース 助手

2011  Doodle4Google Googler賞”
2015  第8回 雪のデザイン賞 入賞
2019  第20回 CSデザイン賞 学生部門 『青写真』 銀賞エリア マネジメント協議会賞
    「SICF20」Spiral *表参道
2020 「これやん展 いんすぴ展」 * パークホテル東京
    六甲ミーツアート2020芸術散歩 *六甲ビジターセンター
2021  3331ART FAIR *3331アーツ千代田
2022  DESIGN TOUCH 2022 *六本木東京ミッドタウン
    125周年 花山天文台特別公開 宇宙と文化の日*京都大学
    15th SHACHIHATA New Product Design Competition
    中村勇吾賞受賞

チェコと日本の技術で最高のグラスを

クリスティーナ ヴェントゥロヴァー
チェコ出身。プラハ美術工芸大学在学中に富山市立富山ガラス造形研究所に留学し、同工芸大で修士号を取得後に東京藝大へ。ガラスビーズのオブジェは独自の方法で造形したもので、グラスの素材は高級グラスなどと同じくクリスタルの含有量が多いため、透明度が極めて高い。「言葉で表せないことを作品で表現したい。最後は自然のなりゆきになるところがあり、そこが面白い」と話す。


1994  チェコ共和国 プラハ生まれ

2013   ヴァーツラフ・ホラル美術高等専門学校陶芸専攻 卒業
2016   富山市立富山ガラス造形研究所 交換留学(3ヶ月間)
2017   プラハ美術工芸大学芸術学部ガラスデザイン専攻 卒業
2018   京都造形芸術大学美術工芸学科総合造形コース 交換留学(6ヶ月間)
2019   プラハ美術工芸大学芸術研究科修士課程ガラスデザイン専攻 卒業
2020   東京藝術大学美術研究科工芸専攻(ガラス造形) 留学(5ヶ月間)
2023   東京藝術大学美術研究科修士課程工芸専攻(ガラス造形) 卒業
現在   東京藝術大学美術研究科博士課程工芸専攻(素材造形・ガラス) 在学中

受賞歴
2015  「Sanssouci Junior Glass Match」 特別賞受賞
2017  「第9回 Stanislav Libensky Award展」 入選
2019  「第11回 Stanislav Libensky Award展」 入選
2021  「第71回学展 」 入賞
2022  「芸大アートフェス」 ゲスト審査員特別賞受賞
2022  「工芸都市高岡クラフトコンペ」 個人的な視点賞(寺山紀彦賞)
2023  メトロ文化財団賞受賞
2023  「Gallery美の舎 学生選抜展」 奨励賞受賞
2023  「 工芸都市高岡クラフトコンペ」入選

その他展示多数

生命力のような、感情のような

三上想
東京藝学大学院鋳金専攻修了。鋳金の技法をメインに制作している。宮崎県綾町在住の作者は「金属の強い存在感を借りながら、生命力のような、感情のような、生物が持っている本質的な営みを感じさせる生き物を作りたい」と話す。

1985   東京都生まれ
2007   東京藝術大学美術学部工芸科卒業
2009   東京藝術大学大学院美術研究科鋳金専攻修了
     修了制作作品買上げ賞受賞
2014   個展「三上 想展 -青銅と真鍮の植物たち-」(日本橋三越/東京)
2016   クラフトフェア「灯しびとの集い」出店(大仙公園/大阪)
2017   宮崎県綾町にて三三鋳金工房を開設
2021,23 個展「三上想 鋳金展」(studio knot gallery/東京)
その他展示多数

「自分が欲しいと思うもの」

川上椰乃子
学部で日本画を専攻、修士と博士課程では日本画の保存修復を学ぶ。丁寧な観察に基づいて、旅行先や日常生活で心動かされた、何気ない出来事を作品として描いている。日常生活でも常に目をこらしてテーマを探していると語る。今回は作者にしては珍しく、「自分が欲しいと思うもの」を想像で描いている。この企画展テーマに合わせた初めての試みである。


2018  東京藝術大学 美術学部絵画科日本画専攻卒業
2020  東京藝術大学 大学院美術研究科文化財保存学専攻 保存修復日本画修了
2023  東京藝術大学 大学院美術研究科文化財保存学専攻 保存修復日本画博士課程修了
現在、同研究室 教育研究助手

光のゆらぎを樹脂によって

官野 良太
多摩美術大学で彫刻を学び、東京藝術大学修士課程では美術教育を専攻。人の内面や記憶をテーマとして、透明樹脂が生み出す反射や透過によって「光の彫刻」を制作する。光の屈折や像の揺らぎなどの現象自体を作品に取り入れることで、モノとしてのリアリティ、対象の写実を追及している。


1988 横浜市生まれ
2012 安宅賞
2013 東京藝術大学大学院 美術研究科 修士課程 芸術学専攻 美術教育研究室 修了
2013 第87 回 国展 彫刻部 新人賞
2014 第88 回 国展 彫刻部 国画賞
2021 いい芽ふくら芽 in Tokyo 2021 オーディエンス賞
2022 個展「pool」米魚ギャラリー 北京市 中国
2023 個展「残響」 NEPTUNE GALLERY 台北市 台湾
2023 個展「波光粼粼」磐鈺建設 台中市 台湾 

言葉では表し難い感覚

真鍋由伽子
藝大で日本画を専攻した後に、修士課程では銅版画を学ぶ。ふたつの領域を軽やかに横断しながら、現実と空想が交差する瞬間を描き出す。「言葉では表しがたい感覚や、アンビバレントな感情をかたちにしたい」と作者は語る。


1994  東京生まれ
2018  東京藝術大学美術学部 日本画専攻 卒業
2018 「ART FAIR TOKYO」東京国際フォーラム/東京
2018 「たたずむあの人」新宿伊勢丹本店/東京
2022  東京藝術大学美術学部 油画専攻版画第一研究室 修了
2022 「アートオリンピア2022」銅賞受賞
2022 「積水ハウスミーツアーティスト」SUMUFUMUテラス南青山/東京

自然との一体感と子供の頃の感覚

千村曜子
藝大油画技法材料研究室を修了。西洋の古典絵画の構造を持ちながら、水彩絵の具による絵画を制作する。額縁も作品に合わせて自身で制作をしている。散策や登山で出会う自然をモチーフとし、持ち運べる大きさのキャンバスであれば、下絵制作までを現地で行う。自然との一体感、子どもの頃からのそうした感覚が、制作の根底にあると語る。


1987  神奈川県生まれ
2011  東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業
2013  同大学大学院美術研究科絵画専攻油画技法材料第一研究室修了
2014〜2017 東京藝術大学油画技法材料研究室 教育研究助手
2023〜 東京藝術大学美術 非常勤講師(油画技法材料)

遠い記憶に思いを馳せる鳥たち

長久保 華子
藝大工芸科では漆芸を専攻、修士課程では彫刻を学び、木彫に漆と顔彩を施した彫刻作品を制作。動植物をモチーフに、微細な造形と岩絵の具による鮮やかな色彩が鑑賞者を惹きつける。「人に寄り添うような、気持ちが安らぐ作品になればと思いながら制作しています。 鳥たちの眼差しは、遠い記憶に思いを馳せる様子をイメージしています」


1988  東京都大田区生まれ
2010  東京藝術大学 美術学部 工芸科入学
2014  東京藝術大学 美術学部 工芸科 漆芸専攻 卒業
2016  東京藝術大学大学院美術研究科 彫刻専攻 卒業

無表情は祈りや願いの依代となるため

佐治 真理子
東京藝大大学院鋳金専攻修了。鋳物の伝統技術を生かし、彫刻作品や茶道具の制作を続けている。お面のような顔をもつ人型は祈りや願いの依り代となるよう、あえて表情を持たない表現にしている。「鋳金は素材を一度溶かして流すので、再生の意味合いがある。祭事の青銅器に用いられた技法であり、古来より祈りや願いの大きなエネルギーを伴っている」と語る。


1981  埼玉生まれ
2006  東京藝術大学美術学部鋳金専攻修了
2019  Metal &craft showcase(コレド室町)
2019  奇幻森林人形季 展 (中国北京798芸術区)
2021  国際工芸アワードとやま2020(富山県美術館)
2022  佐治真理子 鋳物作品展 「遊心」(ギャラリーhechi)
2021,2023 泉屋ビエンナーレ出品(泉屋博古館)
2023  TOKYO GEIDAI JAPAN ART WEEK(ニューヨーク)
現在 「コの字製作所」主宰、東京藝術大学工芸科助教

作品の持つ「分からなさ」

福島 李子
藝大彫刻科修士課程を修了後、文化服装学院で学ぶ。記憶や夢など、実在しないものを彫刻で作ることを試みている。ぬいぐるみや布、刺繍などの可変する素材を用いることで、作者がコントロールしきれない形が生まれる。それらが持つ緩やかな輪郭や軽やかさは、記憶やイメージの曖昧さを体現している。作品の持つ「分からなさ」も観る人に伝わったら面白い、と語る。


1994  千葉県生まれ
2019  東京藝術大学美術学部彫刻学科 卒業
2021  東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻 修了
   文化服装学院II部服装科 1年在籍
    図鑑展ワンダーランド! 藝大アートプラザ/上野(東京)
    買える藝大 MIYASHITA PARK/渋谷(東京)
    藝大アートフェス2021「The surface」優秀賞
第69回東京藝術大学卒業・修了展示「Watching you」台東区長奨励賞
   台東区長賞展示 上野中央通り地下歩道/上野(東京)
2022  Met“y”averse~メチャバース、それはあなたの世界~ 藝大アートプラザ/上野(東京)

恐竜とおばけと鳥の生活模様

高井 碧
藝大デザイン科博士課程在籍中。七宝、木、漆など様々な素材を研究しながら、動植物が暮らす穏やかな世界観を作品化している。アートを生活に取り入れることで、共感で繋がる社会の実現を目指す。七宝で描かれるのは、恐竜とおばけと鳥の3者の生活模様。「異なる生態であっても一緒に暮らしている様子を作りたかった。七宝の色は天然石で絵を描いてるようで、自然と協働する部分がある」

幼少期に遊んだ遊具をイメージ

島方皓平
工芸科では染織を専攻。現在は女子美術大学デザイン・工芸学科で教鞭をとる。染織に限らず多様な素材を用いることで、生活に取り入れやすいアートピースを模索している。幼少期に遊んだ遊具をイメージソースに、積み木をテーマとした作品。

イタリアで出会う動物や遺跡がモチーフ

國川 裕美
彫刻科では石彫を専攻。絶滅危惧種の動物をモチーフとすることから始まり、現在は制作拠点を置くイタリアで出会う動物や遺跡がモチーフとなっている。イタリアの農家で飼われている羊や鶏はおおらかで、作品に量感を与えている。「石は固く、作るのに時間がかかるので、考えながら形を探っていくことができる。粘土は逆に即興的に形を作っていけるので、どちらの手法も続けている」と語る。


1988  東京都生まれ 
2011  久米桂一郎賞受賞 
2013 東京藝術大学美術学部彫刻科 卒業 東京都知事賞受賞 
2015 東京藝術大学大学院 美術研究科彫刻専攻修士課程修了 取手市長賞・東京都知事賞・修了作品買上げ
2018 國川裕美展-ささやかな森- 日本橋高島屋美術画廊X
2019 公益財団法人ポーラ美術振興財団在外研修員(イタリア)
2021 公益財団法人吉野石膏美術振興財団在外研修員(イタリア)
2023 國川裕美展~paradiso~ 日本橋高島屋美術画廊X・ポーラミュージアムアネックス-自立と統合
   ART FAIR TOKYO2023 (財団ブース:クロッシングセクション)

みえないものをカタチにし、よそおう

SUNI
藝学大学院在学中にドイツのコンテンポラリージュエリー作家ダニエル・クルーガーに師事し、ジュエリーを学ぶ。「invisible → visible みえないものをカタチにし、よそおう。」をテーマに制作しており、現実には見たり触れたりできなくても、確実に「在る」世界を、地球の景色を切り取った絵画のような天然石や貴金属を用いて仕立てている。


SOONHYANG KANG (SUNI)
2006  サロンドプランタン賞受賞 
2007  Burg Giebichenstein Hocshule Fur Kunst und Design Halleに留学 
2008  東京藝術大学大学院美術研究科修了 
現在SUNI Art & Jewellery 主宰 蔵前にアトリエショップを構える。

アヴァンギャルドであり伝統的

今井 完眞
京都市出身。伝統と現代アートの感覚をユニークに融合させ、洗練された陶芸作品を数多く創作している。国立工芸館などで開催された「ポケモン×工芸展」(2023年)に参加するなど、注目が高まる一方、それぞれの作品は技能とディティールを突き詰めつつ、アヴァンギャルドであり伝統的で、デリケートな美しさと力強さを宿す。

1989  京都出身 
2015  東京藝術大学院陶芸専攻修了

漆絵で描く心象風景

大崎 風実


1992   神奈川県生まれ
2017   東京芸術大学 工芸科漆芸専攻 卒業
2019   東京芸術大学大学院 美術研究科漆芸専攻 修了

会期:2023年12月2日(土)- 2024年1月21日(日)

定休日:月・火曜休 
※祝日・振替休日の場合は翌営業日が休業
※展示入れ替えのため23日(月)〜27日(金)は休業

入場料:無料

公式Instagram:https://www.instagram.com/geidai_art_plaza
公式X(旧Twitter):https://twitter.com/artplaza_geidai

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