文人たちの愛した「鶯谷」には見どころがたくさん!徒歩10分圏内の厳選スポットリスト

ライター
山見美穂子
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JR上野駅の一駅となり、北東に位置する鶯谷(うぐいすだに)駅。実は人気の下町エリア谷根千(やねせん/谷中・根津・千駄木)にも負けない歴史と見どころのあるまちなのです。知られざる鶯谷の魅力と、鶯谷駅から徒歩10分圏内にあるスポットを北口側から南口側に向かって、一挙に紹介していきます。

文人たちも愛した「根岸の里」とは?

かつて鶯の名所があったことから、駅名にその名が残っている鶯谷。地図を見ると、駅周辺の地名は「根岸」となっています。
浮世絵師の歌川広重が初代と2代にわたって絵を描いた江戸のガイドブック『絵本江戸土産』には「東叡山の北の麓 すべてここを根岸といふ 元より閑雅幽栖の地にて 文人墨客の世を避るもの ここに庵を結ぶも多く……」と解説が。

江戸から明治にかけて鶯谷の一帯は「根岸の里」と呼ばれ、しずかで景観がよく、裕福な商家のご隠居たちがこぞって別荘を構える“大人の隠れ家”のような場所でした。
また、江戸後期には優れた絵師・俳人として活躍した酒井抱一が、明治には作家の幸田露伴や東京美術学校で校長をつとめた岡倉覚三(天心)などが暮らし、多くの画家・文学者らが集ったエリアでもありました。
まちを歩いてみると由緒ある神社仏閣や、文人たちが通ったという飲食店などにも出会います。

子規庵

明治の俳人・正岡子規が暮らした建物を復元した子規庵。コロナ禍で休館していましたが、現在は月に数回、公開日が設けられています。
住所:東京都台東区根岸2丁目5−11
URL:https://www.shikian.or.jp/

子規庵

名月やわれは根岸の四疊半 正岡子規

*子規庵に移る前、根岸に下宿していた時代に読んだ俳句です

台東区立書道博物館

明治・大正・昭和にかけて洋画家/書道家として活躍した中村不折(なかむらふせつ)のコレクションを中心とした博物館です。中村不折は夏目漱石作『吾輩は猫である』の挿絵や、新宿中村屋の看板文字を書いたことでも有名です。
住所:東京都台東区根岸2丁目10−4
URL:https://www.taitocity.net/zaidan/shodou/

台東区立書道博物館

写真提供:台東区立書道博物館

旧陸奥宗光邸

明治時代に外交官として不平等条約の改正などに尽力した陸奥宗光が一時暮らしていた洋館が残されています。現在は個人の所有となっており、建物の公開はされていませんが、散策がてら外観を眺めることができます。
住所:東京都台東区根岸3丁目7−15

元三島神社

鶯谷の駅から屋根が見える元三島神社は、駅前のちょっと入り組んだ場所に建っています。江戸時代に浅草へ移転しましたが、地元の人の強い要望で村の鎮守様として根岸にも祀られたので、元三島神社と呼ばれているそう。下谷七福神のひとつ(寿老神)でもあります。
住所:東京都台東区根岸1丁目7−11

元三島神社 写真提供:台東区

御行の松不動尊

歌川広重の浮世絵にも描かれた御行(おぎょう)の松。輪王寺の宮様が木の下で休憩をした、また修行をしたと伝えられている松でしたが、昭和初期に枯れてしまい、現在は3代目、4代目となる木が植えられています。
住所: 東京都台東区根岸4丁目9−5

西蔵院_御行の松不動尊 写真提供:台東区

初代の松は高さが14mもあったそう 出典:『絵本江戸土産 10編. [8]』(国立国会図書館デジタルコレクションより)

萩の湯

都内最大級の広さを誇る銭湯、萩の湯。江戸っ子たちも愛した銭湯が、サウナブームで今また注目を集めています。レンタルタオルもあるので、手ぶらで立ち寄っても大丈夫。
住所:東京都台東区根岸2丁目13−13
URL:https://haginoyu.jp

萩の湯

写真提供:萩の湯

萩の湯

写真提供:萩の湯

笹乃雪

仇討ちを終えた赤穂浪士に輪王寺の宮様が笹乃雪の豆富を差し入れしたというエピソードのある豆富料理の笹乃雪。正岡子規や夏目漱石も訪れた老舗です。現在は休業して移転準備中ですが、令和5年夏頃に再開の予定とのこと。
住所:移転準備中
URL:http://www.sasanoyuki.com/

竹隆庵岡埜

江戸っ子たちが好んだこごめ餅(お米の粒々が残る餅)で大福を作り、輪王寺の宮様に献上したところとても喜ばれ、評判になったという「こごめ大福」が名物です。
住所:東京都台東区根岸4丁目7−2(本店)
URL:http://www.chikuryuan-okano.com/

手児奈せんべい

ガラスケースの中におせんべいが並んだ、昔ながらの店構えが目印です。
住所:東京都台東区根岸4丁目9−5

谷根千、入谷、上野方面へのアクセスも良好

文人たちが愛した鶯谷駅周辺の「根岸の里」からは、少し足を伸ばして谷根千へ、また朝顔市で有名な入谷方面、博物館のある上野の山へも歩いて行けます。実はこの辺りは駅と駅の距離が短いので、歩いてみると意外と近いことに驚くはず。

谷中霊園

多くの文化人や著名人の墓があることで有名な谷中霊園。日本画家の横山大観や彫刻家の朝倉文夫もここに眠っています。日暮里駅が最寄り駅ですが、鶯谷駅北口からも700m、徒歩10分ほどで到着します。
住所:東京都台東区谷中7丁目5−24

谷中霊園_夏 写真提供:台東区

入谷鬼子母神(真源寺)

安産子育ての神様が祀られている入谷鬼子母神は、初夏の朝顔市でも有名です。福禄寿が祀られている下谷七福神のひとつでもあります。地下鉄の入谷駅からは徒歩1分ですが、JRの鶯谷駅からも徒歩3分。
住所: 東京都台東区下谷1丁目12−16

入谷鬼子母神 写真提供:台東区

入谷朝顔まつり 写真提供:台東区

東京国立博物館

実は上野の森の奥に位置している東京国立博物館までは、鶯谷駅の南口から歩いて6~7分。途中坂道がありますが、お花見シーズンなどに上野駅周辺の混雑を避けたいなら、あえて鶯谷駅を利用してみるのも一案です。
住所:東京都台東区上野公園13−9

昭和の歓楽街から新しい東京を発見する街へ

鶯谷は、昭和のはじめに集団就職や出稼ぎのために上野へ出てきた人々が利用する宿泊施設が林立し、その後は歓楽街としても栄えた町です。
近ごろは浅草や東京スカイツリー、谷根千エリアへのアクセスも良いことから、新しいホテルやカフェなども続々と登場しています。

ランダバウト東京

文人たちが愛した鶯谷を旅の拠点にして、新しい東京の魅力を発見してほしいと2020年にオープンしたライフスタイルホテル。宿泊者以外も気軽に利用できるカフェレストラン&バーがあります。
住所:東京都台東区根岸3丁目4−5
URL:https://landabout.com/

東京キネマ倶楽部

元グランドキャバレーの施設を活かし、大正時代のオペラハウスをイメージして改装したというレトロな雰囲気のライブハウス&レンタルスペースです。イベント情報をチェックしてお出かけを。
住所:東京都台東区根岸1丁目1−14
URL:http://www.kinema.jp/

言問茶屋

在原業平が京から東国への旅の途中、隅田川で詠んだ歌にちなんでその名がついたという「言問(こととい)通り」に面しているカフェ&ベーカリーです。天然酵母のパンが評判。
住所:東京都台東区下谷1丁目12−12

名にし負はば いざ言問はむ 都鳥 わが思ふ人は ありやなしやと
(都という名がついているなら訪ねてみよう わたしが思う人は無事であろうか)
在原業平

温故知新の魅力あふれるまち、鶯谷で新感覚の下町散歩を楽しんでみませんか。

アイキャッチ:『絵本江戸土産 10編. [5]』(国立国会図書館デジタルコレクションより)

参考書籍:台東区史 通史編Ⅲ 上巻

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