アートに囲まれた空間で「異色トリオ」のハーモニーを堪能。「Trio Espoir アフターヌーンコンサート」レポート

ライター
中野昭子
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コラム

上野・藝大アートプラザでは企画展「藝大アートプラザ・アートアワード受賞者展」の開催期間中、アート作品に彩られた展示空間を舞台に、東京藝大音楽学部の学生によるスペシャルコンサートを全5回にわたり開催いたします。

2月の開催スケジュールはページ末尾をご覧ください

2024年1月28日(日)、記念すべき第1回として、現役藝大生による三重奏「Trio Espoir」のアフターヌーンコンサートが開催されました。西邑華梨(フルート)、菊田萌子(ヴィオラ)、湊あゆみ(ハープ)の3人による30分ほどの演奏で、曲目はデヴィーニュ「三重奏曲」とドビュッシー「フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ」。大変寒い日だったにも関わらず、大勢の来場者で賑わった当日の様子をリポートします。

当日は大変寒かったのですが、多くの来場者で賑わいました。

フルート、ヴィオラ、ハープ……美しい楽器の特徴を実感しながら音色に身を任せる

デヴィーニュ「三重奏曲」の演奏が始まると、繊細で柔らかいフルート、力強く温かみがあるヴィオラ、透明感に満ちたハープの音色が見事なハーモニーを奏で、会場には優雅な雰囲気が漂いました。銀色に輝く可憐なフルートや曲線と色味が艶やかなヴィオラ、華やぎのあるハープはいずれも楽器自体が芸術作品のように美しく、見ごたえがあります。

1曲目の演奏が終わったところで、奏者による楽器の説明が入ります。管に息を直接吹き込むことで伸びやかな音が出るフルート、音域が人の声に近いために心和むヴィオラ、上品な風情の裏側でペダルを駆使して音を出すハープといった各楽器の特徴を、各演奏者が解説。実物を見ながら楽器の構造まで詳しく知ることができました。

楽器の特徴や音色の説明。どの楽器も芸術作品のような美しさです。

2曲目のドビュッシー「フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ」は、フルート・ヴィオラ・ハープという編成の曲の中では最も有名な作品とのこと。この日の演奏は「第2楽章 間奏曲」と「第3楽章 フィナーレ」で、先刻の楽器の説明を思い出しながら音色に身を任せられる、大変豊かな時間となりました。

アーティストの演奏を聞きながら、アーティストが絵を描く

今回の来場者は、展示を見がてらコンサートに立ち寄った方や、コンサートのためにいらした方などさまざまで、アートに囲まれて音楽に浸るという、とても贅沢な体験を味わっていました。

中には、聞きながら熱心に感想をメモしたり、音や奏者の姿にインスピレーションを受け、創作を行う方も。彩り豊かな絵を描いていたのは、「藝大アートプラザ・アートアワード受賞者展」にも出展しているアーティストのGUOさん。音そのものは見える形で残すことはできませんが、その場で即興で絵として描くことで、一つのアートが別のアートへと広がっていきます。この絵を眺めるたびにこの日の演奏が甦るかもしれませんね。

GUOさんの絵はとてもカラフルで、三人の特徴も伝わってきます。なお、GUOさんは企画展「藝大アートプラザ・アートアワード受賞者展」にも出展しているので、会場で出展作を見ることができます。

奏者の西邑さん・菊田さん・湊さんは、以前からトリオを組んでいるとのこと。全員ピアノから音楽を始めており、西邑さんは住まいの向かいの家がフルート奏者で音に憧れたこと、菊田さんはピアノからヴァイオリンを選び、それからオーディションの際にヴィオラを勧められたこと、湊さんはハープ協奏曲の演奏を見て、エレガントな音色や佇まいに惹かれたことがきっかけで、今の楽器を始められたそうです。

今回の三つの楽器は、音色や性質などそれぞれに個性がありますが、奏者の性格や雰囲気にぴったり合っていて、素晴らしいハーモニーが生まれるのも納得させられます。楽器に関しては、持ち主によって音や響きが変わっていくので、演奏することで楽器を「育てていく」一方、楽器の反応で奏者が「育ててもらう」こともあり、常に探究を続けているそうです。

コンサートの感想を伺うと、3人は笑顔で「お客様との距離が近くて緊張したけれど、反応がダイレクトに伝わってきたのと、微笑んでいる表情などが分かって嬉しかったです」と。音楽が来場者へ届いたという実感を得られ、会場の温かい雰囲気を味わうことができる楽しい経験だった、と話していました。

「Trio Espoir」の「Espoir」はフランス語で「希望」という意味。これからも多くの人に希望を与える演奏を続けていってくれることでしょう。

スペシャルコンサート今後の開催スケジュール

2024年2月17日(土)第1公演13:00-13:30/第2公演15:00-15:30

「藝大発!サクソフォンとマリンバでみつめる、日本の音楽」

※当日12:30-13:30および14:30-15:30の間会計業務を一時中断させていただきます。
※録音・撮影はお断りしております

2024年2月18日(日)13:00-13:30

「藝大の軌跡-過去と現在を繋ぐ音楽たち-」

※当日12:30-13:30の間会計業務を一時中断させていただきます。
※録音・撮影はお断りしております

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