日本で唯一の国立総合芸術大学であり、数多くの芸術家を輩出している東京藝術大学。今回はそんな藝大出身の漫画家9名と代表作を紹介します。
山口つばさ
講談社が発行する「月刊アフタヌーン」で連載中の漫画「ブルーピリオド」の作者。東京藝術大学を現役合格し、絵画科油画専攻を卒業している。その後、2014年夏に「月刊アフタヌーン」の四季賞で佳作を受賞。連載中の「ブルーピリオド」は「マンガ大賞」に2年連続でノミネートされ、2020年満を待して大賞を受賞。
代表作
ブルーピリオド
一ノ関圭
圧倒的な画力と優れた構成で高く評価され、数多くの漫画家がファンを公言している一ノ関圭(いちのせき けい)。藝大在学中に投稿した「らんぷの下」で、第14回ビッグコミック賞を受賞している。専攻は絵画科油画。小学館が発行する「ビックコミック増刊号」で2003年から漫画「鼻紙写楽」を不定期連載。その後、同作が単行本化され、2016年に第20回手塚治虫文化賞マンガ大賞、及び第45回日本漫画家協会賞大賞(コミック部門)を受賞。
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林田球
現在、Netflixで配信しているアニメも話題になっている、漫画「ドロヘドロ」の作者・林田球(はやしだ きゅう)。同作は、小学館が発行していた漫画雑誌「月刊IKKI」※1 にて2000年から連載をスタートし、移籍を繰り返しながらも2018年9月に最終回を迎えた。18年という長期連載ながら、読者に愛され続けた作品。荒々しいゴア描写と登場人物たちのユーモアが混在する独特な世界観に引き込まれる。そんな「ドロヘドロ」の作者である林田球は、東京藝術大学の絵画科油画を卒業している。デビュー作「ソファーちゃん」が、講談社が発行する「月刊アフタヌーン」の四季賞で準入賞を受賞。現在は、小学館が発行する月刊漫画雑誌「ゲッサン」で漫画「大ダーク」を連載中。
山科ティナ
4コマ漫画ならぬ「4スライド漫画」でAからZカップの女の子を描く作品「アルファベット乳」で、Twitterを中心としたSNSで話題となった漫画家・山科ティナ。高校1年生のころに、集英社が発行する「別冊マーガレット」でMANGAGP佳作を受賞しデビュー。その後、東京藝術大学デザイン科に進学し、在学中も漫画家として雑誌やweb、TVなどさまざまな媒体で活躍する。現在は、主婦と生活社が発行する雑誌「ar」で漫画「ショジョ恋。」を連載中。
代表作
ショジョ恋。─処女のしょう子さん─
#140字のロマンス
安倍吉俊
漫画をはじめ、テレビアニメの原作や脚本、キャラクター原案なども手がけ、幅広く活動している安倍吉俊(あべ よしとし)。先輩の漫画の制作を手伝ったことをきっかけに19歳のころから絵を学びはじめ、東京藝術大学の日本画科に進学。同大学の大学院美術研究科修士課程絵画専攻日本画科も修了している。在学中に描いた漫画「雨の降る場所」が、講談社が発行する「月刊アフタヌーン」の四季賞に入選しデビュー。2002年には、原作、脚本、キャラクターデザインを手がけたアニメ「灰羽連盟」が放映される。現在は、漫画原作者・久住昌之氏とタッグを組み、漫画「こどものグルメ」を電子書籍レンタルサイト「Renta!」で連載中。
カサハラテツロー
独特なメカ描写や大胆な画面構成で人気を博す漫画家・カサハラテツロー。東京藝術大学で絵画科日本画を専攻し卒業している。デビューは1993年。学研教育出版が発行していた児童誌「3年の科学」に掲載された漫画「メカキッド大作戦」がデビュー作となった。「月刊IKKI」で2003年から連載を開始した「RIDEBACK-ライドバック-」が話題となり、2009年にテレビアニメ化される。現在は、「鉄腕アトム」を原案とした漫画「アトム ザ・ビギニング」の作画を担当している。同作はウェブコミック配信サイト「コミプレ」で配信中。
代表作
メカキッド大作戦
RIDEBACK-ライドバック-
アトム ザ・ビギニング
今日マチ子
自身のブログで2004年からほぼ毎日更新している1ページ漫画「センネン画報」が口コミで広がり話題となった漫画家・今日マチ子。同作が文化庁メディア芸術祭において2年連続で審査委員会推薦作品に選出され、2008年に書籍化された。2018年には出版10周年を記念した単行本「センネン画報+10years」も発売。今日マチ子は、東京藝術大学の先端芸術表現科を卒業している。在学中からライターやイラストレーターとして活動する。大学の卒業制作をきっかけに漫画の制作をスタート。その後、戦争を題材とした「cocoon」や「アノネ、」、働く悩める女性たちを題材とした「ときめきさがし」や「もものききかじり」など、数々の作品を雑誌やWEBなどで連載。現在は、集英社が発行する「グランドジャンプ」で漫画「かみまち」を連載中。
代表作
センネン画報
cocoon
アノネ、
ときめきさがし
もものききかじり
大久保亜夜子
東京藝術大学美術学部先端芸術表現科を首席卒業している漫画家・大久保亜夜子(おおくぼ あやこ)。卒業制作である漫画「奇的」は、東京藝術大学大学美術館の買い上げ作品となっている。同美術館が漫画を買い上げるのは初めてのことで話題となった。その後、同大学の修士課程に進み、「奇的」をさらに描き継いだ作品「奇的buoyage」や、シリーズ第3段となる「奇的ー魂の事典ー」を発表。3作とも青林工藝舎から出版している。
岡部冬彦
昭和中期に活躍した漫画家・岡部冬彦(おかべ ふゆひこ)。東京藝術大学の前身、東京美術学校の図案科を卒業している。朝日新聞出版が発行する週刊誌「週刊朝日」で、子ども目線でサラリーマン家庭の暮らしをユーモラスに描いた漫画「アッちゃん」を13年間連載。1961年には、「アッちゃん」やせりふのない4コマ漫画「ベビーギャング」で第7回文藝春秋漫画賞を受賞している。また、外国漫画の影響を受けた作品「アツカマ氏」「オヤカマ氏」なども話題となり人気を博した。そのほか、日本の電気メーカーや製菓メーカーのキャラクターデザインなども手がけている。
代表作
アッちゃん
ベビーギャング
アツカマ氏
オヤカマ氏