あなたの愛猫を彫刻作品に!「藝大の猫展2020」で、藝大アートプラザ初の受注制作企画画がスタートしました!

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藝大アートプラザ
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毎日非常に盛り上がっている「藝大の猫展2020」も、あっという間に展示も後半戦に入りました。筆者もスタートして以来、週1以上のペースで藝大アートプラザに顔を出していますが、この秋の来客数は本当に凄い!あらためてネコ人気の凄まじさに驚いているところです。

★伊藤店長による見どころ解説

さて、そんな「藝大の猫展2020」も折り返しを迎えた10/10からスタートした特別企画がこちら。藝大アートプラザ初の試みとして、藝大ゆかりの彫刻家アーティストによる受注制作がはじまりました!

本企画では、等身大サイズの猫彫刻作品を藝大ゆかりのアーティストが完全オーダーメイドで制作してくれます。どの作家にお願いしても価格は一律1作品220,000円。先着5名まで受付中です。

オーダーメイド制作を担当するのは、藝大の彫刻科の現役学生や卒業生の中から推薦された10名の精鋭たち。藝大アートプラザでの出品歴はもちろん、学内外のグループ展や個展などで高い評価を得ている将来性豊かなアーティストが集結してくれました。

その10名とは、以下の通り。チラシの裏側にわかりやすく一覧されています。

となると、気になってくるのは、「一体誰に頼もうかな?」という点ですよね。

同じ彫刻科と言っても、人によってはやきもの系(テラコッタやセラミックス)を得意にする人もいるし、古来から日本に伝わる漆を使った乾漆造の人もいれば、紙を主体で作る人もいたり、素材や技法、個性も本当にバラエティ豊かなんです。

そこで参考になるのが、彼ら10名が今回の「藝大の猫展2020」に出品した、猫をテーマとした彫刻作品です。展示室内で、ひときわ高くディスプレイされている約120cmの展示台「キャットウォークSHOW」をご覧ください。展示室内で鑑賞者と同じ目線に合うように設定されているので、あ、これか、とすぐわかると思います。

どうですか?!様々な表情やポーズの等身大猫彫刻が所狭しと置かれていますよね!

それでは、ここからは受注制作に参加する藝大ゆかりの10名のアーティストたちを、本展出品作と一緒にもう少し詳しくご紹介させて頂きます!

1. 岩井りとさん

「なぜだか、昔からアニメでよく出てくるような性格の悪そうなふてぶてしい太ったボス猫が心にグッと来るんです」と語る岩井りとさんの“初挑戦”が詰まった作品「でかけるねこ」(198,000円)は、ずんぐりとしたボス猫体型。今からまさに獲物に忍び寄っていくような、目をらんらんと輝かせた立ち姿が印象的です。


岩井りと「でかけるねこ」(198,000円)

実は、本作はいわゆる「窯」で焼かれたテラコッタ作品ではありません。乾いて固まったら石のような質感になる「ラドール」と呼ばれる石塑粘土で作られているんです。

ずんぐり体型を表現するため、約15kgと大量のラドールを使用。そのため、粘土に隠された内側では、骨格として太い針金を組み、針金の固定と粘土定着のために縄で強力に縛りつけるなど、見えないところで作家の創意工夫が重ねられています。

「ラドールは窯で焼く必要がないので自宅で制作が続けられるメリットがあったことと、粘土のなで心地が非常に好みだったので初めて挑戦してみました。ぜひ、ラドールならではの質感や独特の手触りを味わってほしいです。」とのことです!

2. 笠原悠介さん

猫が丸まった形をデフォルメしたような、ひとかたまりのセラミックの塊で表現した笠原さんの作品。釉薬をかけ、本焼きされています。手と足が胴体と一体化した形がかわいくて、なんだか巨大なもちや饅頭みたいです。


笠原悠介「おひざまる」(88,000円)

猫の特徴がシンプルかつ端的に表現された形が強く印象に残ったので、笠原さんにお聞きしてみました。

「膝に乗った姿を私目線で抽象化、理想化した形状になります。玉のような、クッションのようなものが膝の上に乗った感触を思い起こすような姿をイメージして制作しました。」

ちなみに、卒業制作では非常にコンセプチュアルで大掛かりな作品を手掛けていらっしゃった笠原さん。普段はこうした猫のような具象彫刻を手掛けることは少ないそうです。

今後は粘土での作品を模索しており、自分の体を型どるような抽象的な形を制作してみたい、とも語って頂きました。アイデアや技法の引き出しの広い笠原さんにお願いすれば、意外性のある作品が見られるかも?!

3. 川合香鈴さん

自己紹介文にもある通り、猫だけでなく、幅広く動物をテーマとした彫刻やドローイング作品などを発表している川合香鈴さん。ご自身のTwitterでも、現在1日1作品のペースで主に絶滅危惧種とされる様々な動物たちを精力的にアップされています。

https://twitter.com/TorichanZ4/status/1288387698512683008

彫刻作品では、テラコッタに彩色するだけでなく、眼やしっぽなどに樹脂素材を使うなど、表現の多彩な引き出しも彼女の魅力。


川合香鈴「うん、いまかいさつでたところ」(部分図)

本展出品作「うん、いまかいさつでたところ」(110,000円)では、2つのしっぽと瞳の部分に「樹脂」が使われています。特に、一度素焼きしたテラコッタをくり抜き、樹脂を嵌め込んで表現された瞳の部分には要注目。キャットウォークの最先端で、来館者の方を強い眼差しで見つめています!

4. 田村嶺磨さん

本展では、ちょこんと座り、中空を切なげにみつめる黒猫が非常に印象的な作品「ひかげ」(110,000円)を出品。独特なマットな落ち着いた黒と凹凸がしっかり表現された肌の質感は、漆の特性が生かされています。そう、本作はやきものではなく、粘土で原型をつくり漆を染み込ませた布地を貼り付ける乾漆技法で仕上げられています。


田村嶺磨「ひかげ」(部分図)

SNSでお聞きしてみたところ、漆を素材とした彫刻は今回が初挑戦だったとのこと。色々材料の配合を調整しながら制作した苦心作です。

ちなみに、田村さんは趣味の料理づくりも達人級。制作のことや日常のつぶやきの中に、時折凄く美味しそうな食事がちょくちょく登場します!

https://twitter.com/Tamu_rema

5. 中莖あかりさん

台湾など海外のグループ展をはじめとして、在学中から国内外で彫刻家として活躍中の中莖あかりさんの作品。人体から小動物、妖怪のような想像上の生き物まで、幅広いテーマで制作されています。本作「ねこ」(110,000円)は、半目開きで気だるい感じの流し目で、ちょこんとおすわりしながらこちらを見つめてくる白猫が凄くかわいい!


中莖あかり「ねこ」(部分図)

情報発信にも積極的で、ご本人のTwitterのタイムラインを遡ると、粘土で形を作り終えた時、焼き上がって窯から取り出す直前など、節目節目で写真や動画をアップしてくれていますので、制作過程もよくわかって面白いですよ!

https://twitter.com/akari_room/status/1241200594829758465

https://twitter.com/akari_room/status/1298518429335347200

6. 藤崎りらさん

テラコッタやセラミックスといった“やきもの”系の作家が大勢を占める中、竹や木、紙といった軽い素材のみで造形する「張り子」という日本伝統の技術を応用して制作したのが藤崎りらさん。


藤崎りら「帰りを待つ猫」(38,500円)

和紙のシワやデコボコを活かして動物のリアルな質感を表現された本作は、切なげにこちらを見返してくる猫の切なげな表情も絶品です。

また、見た目の重量感に比べると、圧倒的に軽いのも「張り子」ならではの特徴。展示中の作品に触ることはできませんが、特別に許可を頂いて作品を持たせていただいたら、他作品に比べて圧倒的に軽かったのが印象的でした。

これは別の方のインスタグラムにアップされていた作品ですが、変わったところでは「卵の殻アート」などにも挑戦される(https://www.instagram.com/p/B5r2gQXAvL-/)など、繊細な素材を使いながらも、素材の特性を上手に活かしたリアルな造形に非常に長けた作家さんです。

7. 三谷和花さん

のびをしてびよーんと長くなった可愛らしい子猫が大好評だった2019年度の作品「世界でいちばん」(https://twitter.com/artplaza_geidai/status/1122329848423288833 )に引き続き、今年度もまた、同様のコンセプトで「blessed」(82,500円)を出品。

床に伸びきってウトウトとまどろむ猫は表情だけでなく体全体から愛くるしさが強力に放射されています。彩色も非常に丁寧。とにかくどの角度から見ても可愛すぎて、SNS映え必至。多くの人が彼女の作品をスマホで撮影しているのもうなずけます。


三谷和花「blessed」(部分)(82,500円)

https://takadanobaba.keizai.biz/photoflash/1121/

まだ学科生として在学中ながら、積極的にグループ展等にも出品を重ねるなど、将来が非常に楽しみな作家さんの一人。

8. 村岡佑樹さん

まるで大きな貯金箱のような、ずっしりと重量感のあるネコが印象的な「なんだよ」(55,000円)インタビュー(https://artplaza.geidai.ac.jp/column/2020/10/2020-2.html)にもあるとおり、100m離れたところから見てもその「ふてぶてしい姿」がわかるように作ったとのこと。

本展では、本作の他に「修復」と「本物/偽物」の関連性を問う知的な「Sense of values-Bizen-」(各49,500円)という作品も展示販売されています。


村岡佑樹「Sense of values-Bizen-」(各49,500円)

インタビューでもある通り、具体的な形を表現する写実的な作品にとらわれず、コンセプチュアルな鋭さを備えた作品を柔軟な発想で作り出せるのも村岡さんの魅力。意外性あふれる作品に仕上げてくれるに違いありません!

9. 雷康寧さん

香港出身。すでにプロの彫刻家として活躍していた中、藝大の大学院に入り直したという意欲的な若手作家です。本展出品の「Body Contour – Cat」(264,000円)は、つるつるした曲面上に、どこか中華的なルーツを感じさせる神秘的な装飾が印象的なネコの作品。


雷康寧「Body Contour – Cat」(264,000円)

非常になめらかで繊細な仕上がりで、造形的な表現力も抜群!!作品をひとつ置いておくと、周囲の空気を凛と引き締めてくれそう。

SNS等ネットで作品を検索する時は、雷康寧(ルイ・ホンネイ)さんという和名以外にも、彼女のイングリッシュネーム「Josephine H. N. Lui」でも検索してみてください。猫だけでなく、様々な生き物を手掛けていらっしゃいますね。

https://twitter.com/josephinelui44

10. 若林祐季さん

本展に出品された白と黒の一対の猫たち「雪雲流水」「待宵」(各77,000円)は、田村嶺磨さんと同じく、乾漆造で仕上げられています。


若林祐季「雪雲流水」(左)「待宵」(右)(各77,000円)

手の跡をしっかり残した田村さんの作品に対して、若林さんの制作した猫は奈良時代の乾漆造の仏像を見ているような滑らかさ。その落ち着いた佇まいをずっと見つめていると、心が穏やかに安らいでくるような瞑想効果を感じました。ちなみに2匹いるうちの「白」のほうは、剥落防止のため、胡粉や鉛白ではなくアクリル絵の具による彩色が施されています。

申込方法は簡単!まずはスタッフにお声がけ下さい!

最後に、もう一度、申込方法をまとめておきますね。

チラシにも記載されていますが、まず店内の「キャットウォークSHOW」上に展示された各作家の作品などを見て、どの作家に頼みたいか決まったら、スタッフにご相談ください。

スタッフが詳しくあなたの要望を聞き、作家との間に立って制作イメージを固めるサポートをします。制作する彫刻作品の詳細や納期などが決まったら、あとは手付金を支払って作品の完成を待つだけ。簡単ですね。

ぜひ、心ゆくまでキャットウォークSHOWを見て頂き、「この人に任せてみたいな」と思える作家をじっくりと選んでみてくださいね。世界に一匹だけの、あなただけのオリジナルの猫彫刻作品は、一生の思い出になるはずです。

もし、頼みたい作家が決まらなかったり、もっと詳しい作家情報が欲しかったり・・・という時は、迷わずスタッフに相談してみましょう。藝大アートプラザのスタッフは、全員がアートに詳しい専門家。各作家についての詳細資料も豊富に用意されています。

さて、大事なことなので最後にもう一度書いておきますが、本展でのオーダーメイド猫彫刻制作は、先着限定5名まで!申込の最終締切期限は展覧会最終日となる11/15です。ぜひあなたの愛猫をモデルに、世界に一つしかない等身大の猫彫刻アート作品を手に入れてくださいね!

展覧会名:企画展「藝大の猫展2020」
会期:2020年9月19日 (土) ~ 11月15日 (日)
開催時間:11:00~18:00
休業日:9月23日(水)、28日(月)、10月5日(月)、12日(月)、19日(月)、26日(月)、11月2日(月)、9日(月)


取材/齋藤久嗣 撮影/五十嵐美弥)

※掲載した作品の価格は、全て「税込価格」です。
※掲載した作品は、実店舗における販売となりますので、売り切れの際はご容赦ください。

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