Making a gift into Art―アートをプレゼント 出品作家インタビュー 柴山千尋さん

ライター
藝大アートプラザ
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インタビュー

作家として活動しながら、アートプラザのスタッフとしても仕事をしている柴山千尋さん。水道の蛇口や蚊取り線香など、日常のなんてことのないモチーフを、非日常的なビビッドな色彩で描きます。柴山さんにご自身の作風について、どうやってこの作風にたどり着いたのかについて伺いました。

今回の出品作は何をモチーフにしていますか?

「うずふたつ」は実家で庭仕事をするときに炊いている蚊取り線香を、もう一つの「森柱森柱森」は近所にある木々に埋もれた電柱を描いています。私は、人工のものが畑に捨てられていたり、植物のなかに車が埋まってしまっているような、ものの持っている哀愁や植物の強さを感じさせる状況に惹かれています。きれいな景色を見ているとき、そういうものはゴミとして扱われて見えなくなっているのですけど、そのような、人が注目しなさそうなものを主役にしたいと思っています。

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柴山千尋「うずふたつ」

ビビッドな色を用いるのには、何か理由がありますか?

自分がモチーフに対して感じているのは哀愁なのですが、アウトプットするときには強さを全面に出そうとしています。妙なたたずまいとか、内側にある不気味な美しさに色をリンクさせている感覚です。目立たないモチーフを選んでいるからこそ、強く描いた方が、異質な感じが際立って面白くなると思います。絵の具をパレットで混色してから使う人が多いと思いますが、私はあえて色は混ぜず、チューブから出した色をそのまま置いて、色同士の当て方で強さを見せていきます。

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柴山千尋「森柱森柱森」

藝大目指したきっかけを教えてください。

小さい頃から絵を描くのが好きで、近所の絵画教室で小学校3年生のときから油絵を習っていました。また、小学校の美術の教育実習の先生が「東京にある美大は勉強ができなくても入れる」と言ったんです(笑)。勉強が嫌いだったので、その言葉を真に受けて、「やった! 絵を描いて大学に入れるんだ」と思って、小学生のときには美大に行くのが目標になっていました。それ以来、中学に進学したら美術部に入り、高校は美術系の高校に進み、目標に向かって励んできました。

アートプラザの仕事が終わってから制作するのですか?

仕事がある日は難しいので、休みの日をまるまる使って描いています。作家活動がメインにできたらよいなと思いますが、こうやって作品を発表させていただく機会もできたので、今後もアートプラザの仕事は続けたいです。

今後の展望はありますか?

来年の12月に個展を控えているので、直近はそれに向けて頑張りたいです。長い目で見た場合は、描き続けることが一番の目標ですが、受賞歴がまだないので、いずれ賞をとることも視野に入れていこうと思っています。


●柴山千尋プロフィール
1989年 埼玉県生まれ
2011年 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻 卒業
     三菱商事アート・ゲート・プログラム 第13回、第14回 入選
2013年 SATプロジェクトvol.17「柴山千尋展」(東京・企画:報美社)
2014年 個展「柴山千尋展」(東京・企画:報美社)
     「うつす 東京藝大出身作家4人展」(大阪)
     「まばたきいつつ 水の旅」(東京)
2015年 「まぶたのうら」(神奈川)
2017年 「ACT ART COM -アート&デザインフェアー2017-」(東京)
2018年 個展「柴山千尋展」(東京)


取材・文/藤田麻希 撮影/五十嵐美弥(小学館)

※掲載した作品は、実店舗における販売となりますので、売り切れの際はご容赦ください。

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