マリンバとサックスの新作初演にライブペインティングも。藝大アートプラザ・スペシャルコンサートの様子をリポート

ライター
安藤整
関連タグ
コラム

藝大アートプラザでは2024年2月17日、「藝大発!サクソフォンとマリンバでみつめる、日本の音楽」と題したスペシャルコンサートを開催(写真下)。この日のために作曲された新曲が初演されるとともに、ライブペインティングも行われ、大勢の来場者が美術作品と音楽作品のコラボレーションを楽しみました。

「サクソフォンとマリンバでみつめる、日本の音楽」

このコンサートは、2024年1月27日から3月17日まで行われている企画展「藝大アートプラザ・アートアワード受賞者展」の開催期間中の特別プログラムとして、アーティストによる作品で彩られた展示空間を舞台に、藝大音楽学部の学生による演奏の場として全5回にわたって開催されるもの。第2回となった今回は、「藝大発!サクソフォンとマリンバでみつめる、日本の音楽」と銘打ち、サクソフォン奏者の立畠花音さん(音楽学部4年)と打楽器奏者の宮垣輝希さん(音楽学部器楽科3年)が演奏を披露。午後1時と3時から、2回にわたって、それぞれ3曲を演奏しました。

サクソフォン奏者の立畠花音さん(音楽学部4年)

打楽器奏者の宮垣輝希さん(音楽学部器楽科3年)

プログラムは、追榮祥(おいえしょう)作曲「アルトサクソフォンとマリンバのためのラプソディ」、日本の抒情歌メドレー(冬景色、この道、からたちの花)、そして、藝大音楽学部作曲科に在籍する松邑直樹さんによる新作「ソプラノサクソフォンとマリンバのためのLine at Infinity」の3曲。新作はこの日のコンサートのために作曲されたもので、藝大アートプラザでの演奏が「初演」となります。

ラプソディでは、珍しい組み合わせであるアルトサックスとマリンバがリズムよく、コミュニケーションをとるかのように曲が進み、聴衆も時折リズムを取りながら耳を傾けていました。続く抒情歌メドレーでは藝大の前身である東京音楽学校で学んだ山田耕筰の名曲をマリンバとサックスでアレンジ。

そして、初演となった新作は、作曲者の松村さん(写真下)が「絵画における直線や曲線などの表現を、音楽によって表したらどうなるのかをイメージした」という曲。全体として優しく穏やかな空気感に包まれていながら、時折ユニークでユーモラスな曲調もあり、マリンバとソプラノサックスという珍しい組み合わせによって幻想的な雰囲気を醸し出していました。

スペシャルコンサートには作曲者の松邑直樹さんも来場し、曲のコンセプトやそこに込めた思いなどを語った。

また、この新作が演奏されている間、日本画科で学ぶ中川理裟さん(写真下)によるライブペインティングも実施。この曲調から連想したという穏やかな風景画を、中川さんはわずか10分足らずで描き上げていました。

演奏後、立畠さんは「特に初演となった曲は、リハーサルとは異なり、お客さんと非常に近い距離で演奏していく中で自分が演奏しやすいものになっていった気がした。吹いていてとても気持ちよかった」と話しました。

一方、宮垣さんは「この日の初演作品をつくってもらうにあたっては、譜面をもらった後、マリンバとしては弾きにくい場所を調整するなどして、時間を掛けてつくりあげた曲。午後1時からの一度目はすごく緊張したが、2度目はかなりリラックスして演奏できた。今後もこの曲は立畠さんと二人で続けていきたい」とコメントしました。

また、中川さんを含む全員が「初めての挑戦だった」と語るライブペインティングについて、中川さんはできあがった作品を前に、「まさに演奏を聴きながら考えて描いたが、描き上げてみて曲の印象とも合っている作品ができたのでは」と語りました。

このスペシャルコンサートは3月末まで全5回にわたって開催されます。

スペシャルコンサート今後の開催スケジュール

2024年3月16日(土)13:00-13:35

「ハープデュオStellaHarparumによるアートとハープを楽しむ午後」

※当日13:00-13:35の間会計業務を一時中断させていただきます。
※録音・撮影はお断りしております

2024年3月17日(日)14:00-14:30

「珠玉のオペラコンサート

※当日14:00-14:30の間会計業務を一時中断させていただきます。
※録音・撮影はお断りしております

おすすめの記事