上野・谷中エリアのレトロ喫茶店3選。展覧会巡りの休憩にもおすすめ!

ライター
藝大アートプラザ編集部
関連タグ
上野 谷中 コラム 上野散歩

文化や芸術の中心として発展してきた上野・谷中エリア。文化施設やギャラリーが立ち並び、また歴史ある建築物なども数多く残されています。そんな上野・谷中エリアには、昭和の雰囲気漂うレトロな純喫茶がたくさん。今回は上野周辺に喫茶店が多い背景や編集部おすすめの3店をご紹介します。

日本初の喫茶店は上野にあった

コーヒーが日本に伝来したのは江戸時代といわれています。「生類憐みの令」で有名な徳川綱吉が将軍のころ。日本ではじめてコーヒーの味の感想を随筆したのは大田南畝で、その内容は「焦げ臭くて味ふるに堪えず」。当時の日本ではコーヒーの苦味はあまり受け入れられなかったようです。それからしばらくコーヒーは限られた人しか口にできない飲み物でしたが、明治21年4月13日、東京・上野に日本初の本格的な喫茶店「可否茶館」が登場します。当時、上流階級では表面的な欧化主義が広まっていましたが、「可否茶館」の創業者である鄭永慶(ていえいけい)はアメリカ留学で本場のコーヒーハウスを訪ねた体験や知識を活かし、一般庶民がコーヒーを飲みながら知識を吸収・共有し、皆で楽しめる場としての喫茶店を開業しました。

上野駅前に喫茶店が多い理由

「可否茶館」の登場により庶民にもコーヒーが広まり、多くの喫茶店が誕生します。特に上野は、明治16年7月に開業してからさまざまな線がどんどん開通し、多くの人々が利用するターミナル駅となったので、待ち合わせ場所や乗り換えの待ち時間のあいだ時間を潰せる場所を必要する人が多かったといいます。喫茶店はそんな人々にぴったりの場所。当時のニーズに合わせて、長時間ゆったりと過ごすことができる喫茶店が多く開業しました。

▼上野駅の歴史について詳しくはこちら
誕生から140年。上野駅の歴史と、構内で見られるアート作品

そんな上野駅前や上野から少し足を伸ばした谷中エリアにある喫茶店を紹介。レトロでかわいいだけではなく、新しい挑戦を続けるお店をピックアップしました。

上野「珈琲王城」

「珈琲王城」は上野駅からわずか徒歩2分。連日買い物客で賑わう商店街・アメ横のなかにある純喫茶です。創業は昭和50年で、半世紀以上ものあいだ多くの人々に愛され続けてきました。メニューのラインナップにフードやドリンクの味、内装、外装、どれも創業当時からほとんど変わらぬまま。ゴージャスなベルベットの椅子、天井に吊るされた大きなシャンデリア……王城に一歩足を踏み入れると、ノスタルジックな雰囲気に包み込まれます。新型コロナウイルス流行の影響により経営が厳しくなることもありましたが、コーヒー豆やコーヒーチケットの販売など新しいサービスに挑戦したり、SNSでお店の状況を包み隠さず正直に発信することで、今でもお客さんが途絶えず、愛され続けています。

住所:東京都台東区上野6-8-15
営業時間:8:00〜19:00
公式Twitter:https://twitter.com/coffeeoujyou

現在では行列の人気店、閉店の危機を何度も乗り越えたオーナーが心がけていることとは?
▼「珈琲王城」についてもっと詳しくはこちら

昭和50年創業、上野の純喫茶「珈琲王城」の歴史とこれから

谷中「喫茶ニカイ」

日暮里駅から徒歩約8分、築50〜60年の古民家の2Fにあるのが「喫茶ニカイ」です。2019年にオープンした新しいお店ですが、店内にはすりガラスの窓やステンドガラスのランプなど、どこか昭和を感じる建材やインテリアがたくさん。BGMには80年代のJ-POPが使われており、あの頃にタイムスリップしたかのような懐かしい気分に。喫茶ニカイの名物「ニカイのクリームソーダ」は、写真映えする美しい見た目が印象的。オーナーのこだわりでその味わいにも工夫がほどこされていおり、「今まで飲んだ中で、いちばん美味しいクリームソーダ」と語るお客さんの声も少なくないのだとか。

住所:東京都台東区谷中6-3-8-2F
営業時間:11:00〜18:00
公式Instagram:@kissa.nikai

喫茶店なのに裏メニューに「塩もつ煮込み」。知れば知るほど奥の深い「喫茶ニカイ」の魅力
▼「喫茶ニカイ」についてもっと詳しくはこちら

谷中散歩の新名所。〈喫茶ニカイ〉は昭和レトロの宝庫だった

谷中「カヤバ珈琲」

昭和13年に創業した「カヤバ珈琲」。谷中の町のシンボルとして多くの人に愛されてきた喫茶店です。平成18年に惜しまれつつ閉店しましたが、お店の復活を願う町の有志により約2年後に営業を再開しました。リニューアルオープンの際、老朽化した箇所の修繕や店内の改修は行われましたが、外観はほとんど当時のまま。大正5年(推定)築のカヤバ珈琲の建物には、レトロな注目ポイントがたくさんあります。店内にも、昭和の時代に使用していた椅子やカウンター、すりガラスの窓など、当時と変わらぬ健具も残されています。一方で、メニューでは新しい挑戦を続けるカヤバ珈琲。喫茶店の定番メニューであるブレンドコーヒーがなく、浅煎りのフルーティーなコーヒーを味わう提案を続けていたり、コロナ禍で名物メニューである「たまごサンド」のブラッシュアップに踏み切ってみたり。古き良き落ち着く喫茶店の雰囲気のなかで、お客さんのニーズに合わせた新しいサービスを提供する。それがカヤバ珈琲が長く愛されている理由のひとつかもしれません。

住所:東京都台東区谷中6-1-29
営業時間:月-金/8:00-18:00
土日/8:00-19:00
公式Instagram:@kayabacoffee

老若男女に愛される「カヤバ珈琲」。大人気定番メニューのパンを変更した理由とは?
▼「カヤバ珈琲」についてもっと詳しくはこちら

谷中散歩の新名所。〈喫茶ニカイ〉は昭和レトロの宝庫だった

おすすめの記事