40歳を過ぎたオッサンが藝大アートプラザで初めてアーティスト作品を買ってみた!

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藝大アートプラザ
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藝大アートプラザでコラムを書かせて頂くようになって早くも3ヶ月が経過しました。いくつかの企画展で取材を重ねる中で、企画展の舞台裏を覗いてみたり、高額商品が売れる瞬間を見届けたりと、藝大アートプラザの面白さが徐々にわかってきたところです。

そんな中、ハタと気がついたのが、「そういえば自分は作品を見てばっかりで、アーティストの作品を買ったことが1度もなかった」ということです。

偉そうにアートライターなんて名乗って、こちらでレポートなどを書かせていただいていますが、僕の美術ファン歴ってまだたかだか5年くらいなんですよね。サラリーマン時代の末期に突如アートにハマったのが2015年の秋。それ以来、とにかく作品をいっぱい観て鑑賞眼をつけたい!と思って、これまではもっぱら美術館やギャラリーにひたすら足を運んで、「作品を観る」ことに集中してきました。去年は特に約400展くらい見たかなぁ・・・。

でも、「作品を買う」というコレクター的な趣味は、正直ちょっと自分には縁のない活動なのかなと思っていました。だって、大手百貨店や有力な現代アートを取り扱うギャラリーに行って、「あっ、この作品いいな」と思って値札を見てみると、何百万、何千万の価格がつけられていたりするわけです。そんな大金、サラリーマン時代に貯金を全くしていなかった自分に払えるわけがありません(笑)

だから、美術展に行くと、ポストカードやカタログなどのミュージアムグッズを持ち帰ることで、ささやかに「所有欲」を満足させる日々だったんですよね。

アート作品を初収蔵!何度か通っているうちに買いたくなりました

花と蕾展

でも、藝大アートプラザで取材をさせて頂くうちに、「あれっ、ここなら僕みたいな庶民でも作品買えるかも?!」と考えが変わってきたんです。

なぜかというと、若手作家を中心として、藝大アートプラザで展示販売されている作品って頑張れば「買える」ことが多いんです。ぐい呑み、グラスといった日常使いの陶磁器やイヤリング、ブローチのようなアクセサリー類などは数千円クラスで買える作品もゴロゴロあるんです。

また、若手アーティストが控えめに値付けした絵画や版画、彫刻などの小品の中には、驚くほど技巧的だったり、個性が際立っていたりするのにわずか数万円と控えめに値付けされた掘り出し物が見つかることもしばしば。

そこで、せっかく藝大アートプラザでコラムを連載させて頂いているのに、これは今買わずしていつ買うんだ!!ということで、思い切ってまずは一つ作品を買ってみることにしました!

そんな僕の藝大アートプラザでのアーティスト作品購入第一弾作品がこちら!

松田剣「掻き落とし三枚皿」(9,350円/税込)※筆者購入済
松田剣「掻き落とし三枚皿」(9,350円/税込)※筆者購入済

どうですかこれ? かわいくないですか??? もういい年したオッサンなのに(40代前半です!)柄にもなく惚れ込んでしまいました。

いわゆる美濃焼伝統の「粉引皿」ですね。ねずみ色に発色する胎土の上に白い泥を薄くかけて白化粧を施して、そこから白化粧を掻き落とすことで小鳥の文様を表現しています。

本作を制作したのは、現在岐阜県を中心に活動されている松田剣さん。土の香りが匂い立つような素朴な色合いの植木鉢や湯呑から、かわいいキャラクターが描かれたマグカップや豆皿まで幅広い作風をお持ちの実力のある陶芸作家なんです。

昨年からずっと常設展示コーナーに展示されていたのですが、作品の前を通りかかるたびに、「まだあるな。これ欲しいな、でもどうしよう・・・」とずっと逡巡していたのですが、ついに思い切って購入してしまいました!

お値段は、3枚セットで9,350円!

この世にたった一つしかない、アート作品が1万円せずにサクッと買えてしまいました! 今回はお皿単体のみの購入でしたが、もう少し高額な作品の場合は専用の木箱もちゃんと用意されていることも多いそうです。

お会計を済ませると、一つ一つ包装紙や緩衝材でしっかり包んで頂き、万全の状態で持ち帰ることができました。

包装
店員の方がレジで丁寧に包んでくれます。

食卓
最後に、万全を期してプチプチでしっかりガードします。これで万が一持ち帰る時に落としてしまっても大丈夫!

現在購入して約1ヶ月過ぎたのですが、ある時はおかずを盛ったり、ある時はケーキを取り分ける時に使ったり、醤油皿に使ったりと、出番が無い日はありません。ヘビーローテーション中です!

食卓
愛でるだけではもったいない!食卓で大活躍中です!

白化粧の上にかけられた釉薬が薄めなので、水にくぐらせると白化粧が透けて、鼠色の土肌がほんのり浮かび上がってくる「陶器」ならではの表情の変化なども面白いんですよね。毎日の食卓に「うつわを愛でる」という楽しみが加わりました。

食卓
齋藤家は家族3人。この皿に載せて食べさせると、苦手なトマトも子供がちゃんと残さず食べてくれます!

たしかにこれくらいの豆皿であれば、スーパーや陶器市などで安いものなら1枚100円もしないかもしれません。しかし、こうやって日常使いする中で、毎日ずっとアートのある風景を楽しむことができるので、本当に買って良かったなと思います。

購入後、僕みたいに藝大アートプラザで「購入初体験」する人ってどれくらいいるんですか?と伊藤店長に聞いてみると、「結構いらっしゃいますよ。親子連れで作品をご覧になって、お子さんのために数千円のアクセサリーを買ってあげている親御さんはよく見かけます。結構みなさん楽しんで買って帰られますね。」とのこと。

アート作品を「買う」という体験が気軽にできる藝大アートプラザ

花と蕾展

好きなアート作品を「買って」、日々の作品の中で毎日気軽に楽しむという経験は、「観る」とはまたちょっと違う、新鮮なアート体験をもたらしてくれます。藝大アートプラザは、まさにアートを買う楽しみ、所有する楽しみを味わうための最初の第一歩を踏み出すにはちょうどいい場所だと思うんですよね。

また、何度か通ううちに、好きな作家さんが見つかると思います。次はいつ出展されるんだろう?とわくわくしながら毎回企画展に通ってみるのもいいですよね。僕も、松田剣さんの次の新作はもちろん、何名かチャンスがあったら買ってみたいな!と思っている作家さんがいます。ぜひ一緒に作品を「買う」楽しみをみつけてみませんか?

松田剣さんの作品は、「花と蕾展」でも展示販売中です!

花と蕾展

今日ご紹介した松田剣さんの作品は、4月26日まで開催中の「花と蕾展」でも購入できます!

松田剣「植木鉢 白焦」(4,400円/税込)
松田剣「植木鉢 白焦」(4,400円/税込)

焦げ目がまだら模様についた、土臭い素朴な作品。植木鉢は松田さんが得意とする作陶ジャンルの一つです。

松田剣「赤イケル」(6,600円/税込)、「白イケル」(6,600円/税込)
松田剣「赤イケル」(6,600円/税込)、「白イケル」(6,600円/税込)

こちらはユーモラスな表情が楽しい一輪挿し。「イケル」という作品名は花を「活ける」から来ているのですね。本展には出展されていない別の作品では「オケル」くんシリーズという小物置きなどもありました。

展覧会名:「花と蕾展」 会期:2020年3月20日 (金) ~ 4月26日 (日)

※本展期間中3月20日(金)~3月30日(火)は10:00~17:00までの短縮営業です。
※4月1日以降(水)以降も17:00までの営業となりました。
※3月28日(土)、29日(日)は臨時休店致します。


取材・撮影/齋藤久嗣 撮影/五十嵐美弥(小学館)

※掲載した作品は、実店舗における販売となりますので、売り切れの際はご容赦ください。

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